【感想・ネタバレ】編集者の仕事―本の魂は細部に宿る―のレビュー

あらすじ

本の良し悪しは、読まなくても分かる。なぜなら「いい本」には、オビから奥付まで随所に工夫が凝らされているから――。「1頁が存在しないのはなぜか」「目次と索引こそ技量が問われる」「余白の意味」「明朝体の美しさ」「本文紙は白ではない」など、数々の名著を手がけた編集歴四十余年のベテランが、本づくりについて縦横に語る。“電子書籍元年”と言われる今こそ伝えたい、昔ながらの「紙の本」の知られざる魅力!

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Posted by ブクログ

編集の仕事の面白さ、不思議さがよくわかる一冊。本に対する見方が変わります。

本を読むとき、その内容ばかりを気にしているような気がするけれど、実はそうではない。内容の良し悪しはもちろん重要だけど、内容を気持ち良く読者に伝えるためにはいろんなことが工夫されている。

本のサイズ、紙の種類、フォント、文字の大きさ…。とにかくいろんなことが、工夫されている。本を読むとき物理的にいちばんよく見える部分になされている工夫なのに、いちばん見逃されている工夫。

でもきっとそれは、見逃されてしまうくらいのものがいちばん読者にとって自然で心地よいものだからなのだろう。逆にいろいろ気になってしまうようでは、編集者が正しく仕事ができていないということになるのだろう。

何より、著者の「本」に対する愛や思い入れが感じられる。手元の本を、編集者の視点で読み返したくなる、本をもっと大切にしたくなる、そんな本でした。

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2014年05月13日

Posted by ブクログ

テキストだけべたっとあってもそれは材料だけがそこにある。これを一つの料理のように、飾り付け、中身の味を調え、満足する「もの」として売る。それが本だ。
確かにCDの売り上げは減った。でも編集者ががんばれば本はそのまま残るかもしれない。
あの手にしたときの重量・におい・見やすさなど著差のような編集者がいて生まれてくるものだと思う。
電子所駅には負けない。

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2010年06月21日

Posted by ブクログ

精神論は基本的にない。徹底的に細部にこだわった技術論。素晴らしい。
例えば縦組中に現れる英文字はポイントを0.5程度落とすといい。これは知らなかった。今度試してみよう。
写真は小口側上部に。こんな原則は知らなかったが、大筋そのようにしている。やはりそうなのかと言う感じ。
奥付けは左ページに。これは守れない。そういう余裕はない。
キリがない。。
一番驚いたのが校正は編集者の仕事ではないということ。これは大手固有の話ではないか。

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2024年12月04日

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編集者なら読んでおいて損はない。単に自慢話ではなく、印刷や紙、レイアウトなど、汎用的な話が多く、役立つ。

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2017年09月05日

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なぜコピーした本の活字は読みにくいのか。また電子書籍はよみにくいのか。モノとしての本をさぐることにその答えがあった。今の時代だからこそ読む価値があるのでは。一昔前では単なる雑学本になってしまっていただろう。

・一次元の原稿を三次元に、の章全般
・校正にお金をかけない(時には全く)出版社が多いのは残念。その通り。

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2012年11月27日

Posted by ブクログ

本の良し悪しは、読まなくても分かる。なぜなら「いい本」には、オビから奥付まで随所に工夫が凝らされているから―。「1頁が存在しないのはなぜか」「目次と索引こそ技量が問われる」「余白の意味」「明朝体の美しさ」「本文紙は白ではない」など、数々の名著を手がけた編集歴四十余年のベテランが、本づくりについて縦横に語る。“電子書籍元年”と言われる今こそ伝えたい、昔ながらの「紙の本」の知られざる魅力。

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2012年07月28日

Posted by ブクログ

新書というものは、どうしても実用寄り&ハウツー的指南的なものが多いので、その面白さは知識が得られて面白い、ということが主流かと思うのだが、たまに、知識としてというより、読み物として面白い、そして稀に感動すら覚える、というものに当たることがあります。

これがその稀な例の一つ。
とても面白かった!

平易な言葉でしっかり描写している。
その事柄を知らない人を相手にしているくどさ・啓蒙くささが感じられない。
そして対象への愛が感じられる。

いいものを読みました。

それにしてもこの最終章、ああ、なんと贅沢な「幻の本」でしょう!

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2011年06月23日

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新潮社に40年勤務し書籍編集に携ってきた著者が、編集者の仕事について語った本。
本はその中身だけでなく、装丁や紙の種類、文字組み、余白のとり方、ノンブルの位置など、本を読みやすくするための様々な工夫の上に成り立っている。
私も仕事柄、編集の一端は見てきたつもりだけど、初めて知ったことや、改めて認識したこともあり、まるで先生に教えてもらっているような感じで楽しく学ばせてもらった。
特に、新潮文庫の上がカットされてないのは、子供のころから疑問に思っていたので、謎が解けてすっきり。
今は電子書籍の仕事にも取り組んでいるけれど、折りに触れてこの本を思い出し、「読みやすく編集する」ことの大切さを忘れないようにしたい。

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2010年10月15日

Posted by ブクログ

新潮社で40年にわたり編集に携わった柴田光滋(1944-)による、書籍編集の紹介。

【構成】
1 本とはモノである
 作りの良し悪しを見分けよう
 一次元の原稿を三次元に
2 編集の魂は細部に宿る
 すべては判型から出発する
 頁はどこから始まるの?
 目次と索引は技量が問われる
 校正、畏るべし
3 活字は今も生きている
 グーテンベルクの感謝
 明朝体は美しい
 欧文書体はファミリーにわかれる
 約物と罫線を使いこなせ
4 見える装幀・見えない装幀
 紙には寸法も色も重さもある
 函入りかジャケットか
 表紙は最後まで残るもの
5 思い出の本から
 昭和は文学全集の時代であった
 十二冊プラス幻の一冊

 普段あまり気にすることなく消費をしている本だが、本の設計者である編集者は一体何を目指しているのか?ということを教えてくれる一冊。

 本書は、原稿の編集作業というよりは、原稿をいかに物理的な「本」するのかということに焦点があてられている。判型、段組、フォント、余白、柱、ノンブルと本の内容と読みやすさを考量して最適解を見つけることがいかに難しいか想像に難くない。編集という仕事の奥深さの片鱗を理解できただけでも読んだ価値はあった

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2012年02月18日

Posted by ブクログ

電子書籍という、本の内容だけのデータをダウンロードして
読書を楽しむような時代になりつつあります。
しかし、そういう合理化や効率化でそぎ落とされてしまう部分、
それは装丁で選ぶ本自体のサイズや紙質やデザインだったり、
フォントのサイズや種類、配置などもそうですが、
本という物体まるごとをつくりだすこと、
つまり、受け手のことを考えて表現し楽しませるための工夫について、
本書は「編集者の仕事」として紹介・説明しています。

そうそう、そうなんですねえ。
文庫や新書ばかりに触れていると、
それほど本の体裁というものを気にしなくなりますし、
それこそ電子書籍のほうが検索とか楽でいいじゃん、
なんて思うようになるかもしれないですが、
本そのものの物体としての魅力について、
その豊かさを軽視するのはちょっと違うかな、と思いました。
単行本なんかは、表紙から材質や紙質、行数と文字数など細かいところまで
いろいろ考えて決定して、内容だけじゃなく、
トータルでの本としてひとつの作品になります。

そのことに気付いたのはけっこう最近。
糸井重里さんの小さいことばシリーズを購入して、
その、「本」としての愛おしくなるような作りに感じ入ってからです。
それまで、本ってのは、文字だけが大事でしょ、
みたいな人でしたから、
それは若い頃にほとんど教科書だけで
文章に触れてきた害悪の部分だなあと
今になっては思うところです。

春に『小説王』を読んだときに、
小説家と二人三脚で作品作りをしていく編集者がでてきて、
本書でもそういった、本の中身作りの場面で、
編集者がどういったことをしているのかを第一に知りたかったのですが、
それについては、最終章の「思い出の本から」から推測するしかなかったですね。

それはそれとして、
本という物体の豊かさを作ってきた仕事の種類を知るための
よいチャンスになる本でした。
読みやすくて、さらりとですが編集の仕事を知ることができました。
こういう分野のとっかかりとしてよいものだと思いました。

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2019年07月30日

Posted by ブクログ

2010年6月20日初版。

本の本。編集者がどのような視点を持って本を作っているかの解説本である。普段本を読んでいる人でもあまり意識しない細部へのこだわりや専門用語を知ることができる。

編集者の方は「常識」なのだろうが、本好きや著者の方は案外おもしろく読めるかも知れない。

電子書籍の時代だからこそ、本が持つ良さについて振り返ってみるのも重要だと思う。

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2018年10月09日

Posted by ブクログ

読みやすい本でした。
電子書籍で読んだので文字などをについては少しとまどいましたが、わかりやすく解説されています。
ですが、何故か記憶にあまり残っていない…
集中力と覚えなきゃという危機感がないからでしょうか。
読みながら、ここ最近読んだ本は、読んだなという気にはさせられましたが、何も自分の中に残らなかったり、自分で何も考えなかったりすることが多く、最後のページまで目を通したなというすこしの達成感が得られるだけだったなと思いました。
もう少し真剣に読まなければと考えさせられました。

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2015年06月19日

Posted by ブクログ

ある冊子を作る機会があり、基本的なことを知ろうと思って読みました。

新書・文庫・単行本など、決まった型があるものだと思い込んでいましたが、そのもの全体として、「本」なのだということがよくわかりました。

電子ブックが増えていますが、紙媒体がなくならないのは、編集者の魂が宿っているからなのかもしれません。

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2012年09月09日

Posted by ブクログ

「金閣寺が地味に見えなければその本当のよさはわからない」らしい。

こういう本の存在意義がわからんのだがなー。

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2012年07月31日

Posted by ブクログ

176ページ
 書誌とは、大雑把に言って著作の考証で、改題、すなわち初出を含む作品の来歴の解明、さらには著作一覧や年譜の作成などの作業を含む総称です。
  ◆改題→解題

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2012年04月08日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
本の良し悪しは、読まなくても分かる。
なぜなら「いい本」には、オビから奥付まで随所に工夫が凝らされているから―。
「1頁が存在しないのはなぜか」「目次と索引こそ技量が問われる」「余白の意味」「明朝体の美しさ」「本文紙は白ではない」など、数々の名著を手がけた編集歴四十余年のベテランが、本づくりについて縦横に語る。
“電子書籍元年”と言われる今こそ伝えたい、昔ながらの「紙の本」の知られざる魅力。

[ 目次 ]
1 本とはモノである(作りの良し悪しを見分けよう;一次元の原稿を三次元に)
2 編集の魂は細部に宿る(すべては判型から出発する;頁はどこから始まるの?;目次と索引は技量が問われる;校正、畏るべし)
3 活字は今も生きている(グーテンベルクに感謝;明朝体は美しい;欧文書体はファミリーに分かれる;約物と罫線を使いこなせ)
4 見える装幀・見えない装幀(紙には寸法も色も重さもある;函入りかジャケットか;表紙は最後まで残るもの)
5 思い出の本から(昭和は文学全集の時代であった;十二冊プラス幻の一冊)

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年05月23日

Posted by ブクログ

本のタイトルのみならず、目次や索引が大事だといわれれば、
素人ながらも、「そういうものなんだろうな」と思う。

ところが、フォントの書体や大きさなんかも、
それぞれにこだわりを持つともなれば、感嘆せざるをえない。

なるほど、「本はモノである」ということなのか。

ただし、興味がある人でなければ、
かなり細かい話なので、ためにはならないかもしれない。

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2011年03月20日

Posted by ブクログ

「本とはモノである」
この言葉が印象的だった。

内容はもちろん重要であるが、内容が良ければ本の形などといった3次元的なものはどうだっていいというわけではない。

この本はこれからやってくる(既に来ている?)であろう電子書籍時代の中で、本というモノの存在価値を改めて実感させる。

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2011年01月29日

Posted by ブクログ

自分が本に携わる仕事をしているので、当然ながら題材に大きな興味を引かれて読んだ。「本とはモノである――。」という点が冒頭からしっかり強調されている点で良書だと感じて読み進めました。

本は文字や絵が書かれた紙が束ねられただけものと言えばそうなのだが、それが完成に至るまでに細部でいろいろな要素があって、そのひとつひとつが読者の印象を変えることもあるわけです。この本の中でもグーテンベルグの印刷の話も出てきたりするが、モノとして歴史も長い分、培われてきたものも大きくて、確かに職人芸的な部分も強い。

もちろん内容が一番大事ではあるのだが、書籍の仕組によって受け手のイメージも変わるし、価格も変わるから届く読者も増減する。忘れがちではあるのだが、細部のこだわりを大事にしていこうという点を再確認することもできた。

ただ、最終章の「思い出の本から」という章には疑問を感じた。老人の懐古趣味とはこういうことを言うのだと思う。2010年のタイミングでこの本を出版する意味は、帯にもあったとおり電子書籍も意識してのもの。それについて展望を論ずる必要まではないが、最後の章が著者の思い出って・・・。あまりに未来を見てなさすぎでは?

それまでの内容はすごく興味深かったのに、最後で少々がっかりしました(笑) 編集者の仕事、という点では良書には変わりないんですけどね。

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2011年01月14日

Posted by ブクログ

編集者としての職人魂を感じる。著者が言う「本とはモノである」という定義から、モノ作りに対する意気込み等が良く伝わる本。今後電子かの流れがあるかもしれないが、一つの時代の区切りとして語り継がれるかもしれない。

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2010年10月06日

Posted by ブクログ

本が出来上がるまでに、編集者は何をしているかを記す作品。

目次、索引、段組、フォント、装丁・・・・ありとあらゆる本の部品が、どういう経緯で現在のようなスタイルになっているかを、「読みやすさ」という軸を中心に教えてくれる。

一つ一つの解説を通して、編集者はどういう哲学に基づいて本を作っているか、編集者はどういう技術を持っているかを、具体的に検証することができる。
のどに魚の骨がつまったような違和感を、読者に感じさせないために、ここまで行っていたのかということに、思わず唸ってしまう。

電子書籍問題と絡めてこの本を論ずるとすると、
紙の手触りや、読みやすい紙色への意識、ページのめくりやすさ、などの技術は、電子書籍が持ち得ない性質でもあるし、追いつくべき課題であろう。

読み終わったあと、デザイン性と質の高い工芸品として、本を評価する機運があるんだなと思わせてくれた。


編集者の真髄と心意気を堪能させてくれた、味のある一冊。

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2010年07月11日

Posted by ブクログ

知ってるようでほとんどしらない編集、書籍の仕事を垣間見た。本好き、活字好きならちょっと読んで見る価値はあるかも。

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2010年07月10日

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