佐藤泰志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
仕事を辞め、曖昧に生きていた達夫がパチンコ屋で出会った拓児。
百円ライターをあげた事がきっかけで拓児の住む家に行くことになる。そこはサムライ部落と言われるバラックだった。
深く関わらない方がいいと思っていた達夫だったが拓児の姉千夏に惹かれていく。
高齢の母、寝たきりの父と刑務所上がりの弟との暮らしの為に身体を売っていた千夏。
終始どんよりとした雰囲気だったが、言葉にしなくても惹かれあっていく達夫と千夏や、家族思いの拓児の無邪気さには引き込まれて行った。
閉鎖的な環境から抜け出したいのに抜け出せずに、だからと言ってやりたい事も解らずに、ただ歳をとって行く。
そういう大人を見て私も地元を離れた一人だ。
初作家さんだが、41歳の若さで自死されてしまっていることを知った。
他の作品と映画も観てみたい。
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Posted by ブクログ
ネタバレ数年前に、映画化されて話題になっていたのを知っておりまして、それで読んでみよう、と思い手に取った次第です。映画の方は、まだ未見です。池脇千鶴、凄い好きなんですよね、、、映画の「ジョゼと虎と魚たち」が、ホンマにもう、大好きで仕方ないのですよね。おっといきなり話がそれているじゃん。いかんいかん。
で、ある程度読み進めていた状態で「ふーむなるほどねえ、こんな感じなんだねえ」と思いながら、なんとなく、小説の最後の方の部分をチラッと見ましたら。すげえビックリしました。
「この小説、1985年の作品なんだ!!」
と、そこで初めて知りまして。
映画化されたのが、結構最近だった記憶があったので、てっきり、2000年以降になって、書かれた作品だと思ったのです。まさか、1985年とは!ビックリだ。ホンマにビックリしました。
読み進めていて、全然、「この作品、えらく古臭いなあ、、、」って思い、全然感じなかったんですよ。携帯電話は出ないよね。パソコンも出てこないねえ。くらいは感じたので、てっきり、2000年代に書かれた、1970~80年ごろ?を舞台にした、作品なのだろうなあ、くらいに思いながら、読んでいたのです。まさか、マジで、まあまあ昔に書かれた作品だとは。全く、分からなかった、、、
そういう意味では、不思議に思ったのは「ある作品が、古臭いと感じるか?抜群に新しいと感じるか?の違いは、いったい何処で感じれば良いのか?」という事を教えてくれた作品ですね。不思議です。自分には、マジで、この作品が1985年に書かれたものだとは、全く、分りませんでした。
これが、映画や、漫画や、音楽だったとしたら、ある程度、分かると思うんですよね。ある程度、ですが。
「ああ、なんとなく、映像が古い気がする。なんとなく、絵が、古い気がする。音が、昔っぽい気がする。昔の作品だな。多分、多分だけど」
というのが、わかりやすい、気がするのです。でも、小説で。完全に、字だけを相手にして、その作品が、いつの時代に書かれたものか?ということを、大体でも把握すること。それは、可能なのや否や?と、思ったのですよねえ。
小説としては、こういう、ジメッとした感じ、嫌いではないです。うむ。日本の小説。という感じ。ただ、不思議なのは、個人的な受け止め方ですが、決して、絶望に振り切れていない感じを、読んでいて感じた事。間違いなく、こう、現実的には悲惨な境遇であろうし、人生ままならぬ、、、という物語の進行具合ではあるものの、なんだろう。決してこう、ドン詰まり感は、ない。
「そこのみにて光輝く」
というのは、
「其処のみ」なのか?
「底のみ」なのか?
どっちだ?と思いつつ、なんだろう。決して滑稽ではない、不思議な、明るさを、感じる作品なのだなあ。そう思うんですよね。 -
Posted by ブクログ
映画が評判で気になっていたら、原作があるというので読んでみた。
まさか今から40年近くも前の小説だとは。
読んでみて思ったのはノルウェイの森みたいだなぁということ。細部が似てるとかそういうのではなく、流れている空気感が。でも佐知子はどちらかといえば直子じゃなくて緑かな。私も夜遊びした雨の日の帰り道、ひとつの傘のなか二人の男にはさまれて歩いてみたい。
そして実写映画のキャスト、柄本佑はてっきり静雄だと思いながら読んでたら、「僕」役なんですね。なんか意外。映画も早く観てみよう。
併録されていた短編「草の響き」の方が好きだった。自律神経失調症と診断され仕事を辞め、医者にすすめられるがままストイックにランニングに夢中になっていく青年の話。ぬるい夜風を切りながら走っていく心地よさと草いきれが肌で感じられる。走っているときに知り合い、次第に親しくなっていくヤンキーたちとの絡みも微笑ましい。一緒に走り始めたノッポ。彼はなぜ自殺したのだろう?
ユー・キャント・キャッチ・ミー。ゴールなんか、いらない。 -
Posted by ブクログ
人々がITの世界に新たなそれを見いだすまで
現代とはフロンティアの失われた時代だと
思われていたかもしれない
しかし実際のところ、必ずしもそうではなかった
人々はノスタルジーの世界を破壊して、フロンティアの土台を作った
かつて人々の暮らしと男たちの誇りを支えていた炭鉱は閉鎖され
畜糞まみれの農村風景も潰されて、やがて郊外のそれへと変わっていった
しかしそんな都市の清潔さとひきかえに
人心はじわじわ荒廃していった
いかに都市化したとて東京にかなうわけではない
雪ばかり多くて、海炭市には夢がない
人々は…特に若いものたちは、幻想のなかの東京に憧れて
うわついていた
最初は、海炭市という架空の街を
変化する一つの生命体のように書こうとしていたのだろう
脳髄は物を思うに非ず
街が、一種の神なのである
しかしその試みは
作者の自殺によって中断されたのだった
ラストの一行が死のすべてを象徴しているようにも思えなくはない
つまり
ある絶望を隠そうとするなら死ぬしかないのだ、という…
佐藤泰志が死んだのは平成2年のこと
バブル真っ只中ではあったが -
Posted by ブクログ
ネタバレ行きたかったのに映画を見そびれたので、まず小説から読もうと手にとった。
映画の予告動画を見ての印象を持って読み始めたのだが
どうも映画のあらすじと比較すると、映画は結構設定を変えているようだ。
全体に漂う倦怠感は心地よく感じる部分もあり
注意深く具体的な名称を出さないが、分かる人にははっきりとわかる
町の描写もあるが
けして自分の知っている函館の姿ではなかった。
共感出来る人物も個人的には出てこず、
あまり最後まで入り込んで読めないままに終わってしまった。
強いて言えば松本が気になった程度。
原作どおりで、二部まで描いてくれるなら映画も興味があるのだが
そうでもなさそうな気もして映画を見るのにも少し二の足を踏んでいる。