佐藤泰志のレビュー一覧

  • そこのみにて光輝く

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    仕事を辞め、曖昧に生きていた達夫がパチンコ屋で出会った拓児。
    百円ライターをあげた事がきっかけで拓児の住む家に行くことになる。そこはサムライ部落と言われるバラックだった。
    深く関わらない方がいいと思っていた達夫だったが拓児の姉千夏に惹かれていく。
    高齢の母、寝たきりの父と刑務所上がりの弟との暮らしの為に身体を売っていた千夏。
    終始どんよりとした雰囲気だったが、言葉にしなくても惹かれあっていく達夫と千夏や、家族思いの拓児の無邪気さには引き込まれて行った。
    閉鎖的な環境から抜け出したいのに抜け出せずに、だからと言ってやりたい事も解らずに、ただ歳をとって行く。
    そういう大人を見て私も地元を離れた一人

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    2022年01月29日
  • そこのみにて光輝く

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    陽の当たらない『そこ』でそれぞれ生きる登場人物たち。
    全体的に暗い雰囲気がずっと続きますし、決してハッピーエンドでもないですが読み終わった後何故か不思議と引きずることなくむしろ清々しい気分になりました。

    結構生々しい描写があるので嫌いな人は嫌いかもしれません。

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    2021年05月16日
  • きみの鳥はうたえる

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    青春を感じる。
    ずっとどこかに暗い影があって、それが作品の味になっているような気がする。

    草の響きもよかった。
    気持ちと季節の移り変わりの描写も美しい。
    その中に人としての葛藤を感じる。

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    2020年09月02日
  • そこのみにて光輝く

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    パチンコ屋で男と出会うところから始まる主人公の人生
    話の展開はそれなりに楽しめました
    内容はあまり書かないほうがいいと思いますが
    もうちょっと続いてほしかったです

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    2020年08月27日
  • そこのみにて光輝く

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    ネタバレ

    数年前に、映画化されて話題になっていたのを知っておりまして、それで読んでみよう、と思い手に取った次第です。映画の方は、まだ未見です。池脇千鶴、凄い好きなんですよね、、、映画の「ジョゼと虎と魚たち」が、ホンマにもう、大好きで仕方ないのですよね。おっといきなり話がそれているじゃん。いかんいかん。

    で、ある程度読み進めていた状態で「ふーむなるほどねえ、こんな感じなんだねえ」と思いながら、なんとなく、小説の最後の方の部分をチラッと見ましたら。すげえビックリしました。
    「この小説、1985年の作品なんだ!!」
    と、そこで初めて知りまして。

    映画化されたのが、結構最近だった記憶があったので、てっきり、

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    2020年03月09日
  • きみの鳥はうたえる

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    映画が評判で気になっていたら、原作があるというので読んでみた。
    まさか今から40年近くも前の小説だとは。
    読んでみて思ったのはノルウェイの森みたいだなぁということ。細部が似てるとかそういうのではなく、流れている空気感が。でも佐知子はどちらかといえば直子じゃなくて緑かな。私も夜遊びした雨の日の帰り道、ひとつの傘のなか二人の男にはさまれて歩いてみたい。
    そして実写映画のキャスト、柄本佑はてっきり静雄だと思いながら読んでたら、「僕」役なんですね。なんか意外。映画も早く観てみよう。

    併録されていた短編「草の響き」の方が好きだった。自律神経失調症と診断され仕事を辞め、医者にすすめられるがままストイック

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    2019年09月16日
  • きみの鳥はうたえる

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    青春時代の爽快感
    平凡だけど疾走するような毎日
    恋愛と友情
    こころを思わせるような、

    若い頃の、ドキドキとなんとも言葉に出せない感情がうかがえる
    彼らの心情とか、本音ははっきりと分からず、情景だけがつらつらと流れていくのだけど
    なんとも夏の暑い日のような雰囲気を感じた

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    2019年08月04日
  • 海炭市叙景

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    人々がITの世界に新たなそれを見いだすまで
    現代とはフロンティアの失われた時代だと
    思われていたかもしれない
    しかし実際のところ、必ずしもそうではなかった
    人々はノスタルジーの世界を破壊して、フロンティアの土台を作った
    かつて人々の暮らしと男たちの誇りを支えていた炭鉱は閉鎖され
    畜糞まみれの農村風景も潰されて、やがて郊外のそれへと変わっていった
    しかしそんな都市の清潔さとひきかえに
    人心はじわじわ荒廃していった
    いかに都市化したとて東京にかなうわけではない
    雪ばかり多くて、海炭市には夢がない
    人々は…特に若いものたちは、幻想のなかの東京に憧れて
    うわついていた
    最初は、海炭市という架空の街を

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    2019年02月21日
  • 海炭市叙景

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    未完なのが残念。後半の作品では希望(諦念のなかの、だけど)を感じさせるだけに残念。
    解説で『ワインズバーグ・オハイオ』との関連を指摘しているけれども、納得。郊外文学とでも言うべきジャンルがあるのかもな。
    ふと、ビリー・ジョエルの『アレンタウン』を思い出したり。

    再購入2012/07/22JPN350
    処分日2014/09/20

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    2018年10月14日
  • きみの鳥はうたえる

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    映画をずっと観たり、顔馴染みの飲み屋で突然サッカーをはじめたり、どこか懐かしく、また羨ましくもある。

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    2018年09月12日
  • 移動動物園

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    ひりひりするなー。そこ書きますか…という汚さもふくめ、不器用な若者たちの、仕事をし、生きていく様子が胸に響く。自分はもう若くないわという実感とともに。

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    2018年02月05日
  • そこのみにて光輝く

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    同名映画を観てから読んだ。これは映画の方が確実に良い。原作は1センテンスがかなり短めの文章で淡々とした印象。主人公の二人も映画のイメージが強く、少し淡白に感じてしまった。しかし、映画の続きと思われるストーリーも語られており、セットで悪くない。

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    2017年06月15日
  • そこのみにて光輝く

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    久し振りに、こんな本を読んだかな。純文学作品なのだろうか。
    大衆小説が読みなれているが、この作品はスラスラ読める。
    しかし何が言いたいのか考えみると、どん底でも踏ん張って生きている家族に、色んな愛を忘れた男が介入していく物語。
    その中で起こる事は、かなり現実的なのではないのだろうか。そう考えると、今の私の生活はかなり幸せなのだろうと思った。

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    2017年04月15日
  • そこのみにて光輝く

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    ぬめぬめしている。腐った魚の死体がぷかぷかしている川の上に夕日が落ちるような、夏の夕方のべたべたした感じ。今よりマシになりたいと思ったら何かしら選んで嫌でも捨てていかなきゃいけないんだろうけど簡単に捨てられるものばっかりじゃないから捨てられないゴミが腐っていく。捨てたらもう見切りつけるしかないのにうだうだしてると今度自分が腐るな〜っていう小説だった。

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    2016年07月28日
  • 移動動物園

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    生前は目立つ評価を受けずに夭折したものの、近年の再評価が著しい佐藤泰志のデビュー作。

    表題作をはじめとしてここに収められた3つの短編は、いずれも寄る辺なき労働者の生活をビビッドに描きだす。この時点で、独特の言語感覚に基づく風景や心理描写のテクニックが荒削りながらもみられ、その後の傑作に繋がる片鱗をうかがわせる。

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    2016年07月02日
  • 移動動物園

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    1977年発表の表題作と1982年、83年発表の2作品を収めた短篇集。
    普段は芥川賞の候補になるような作家の作品は読まないのであまり比べることは出来ないが、このように内面を掘り下げる作家はやはり、2015年近辺の現代にはそう居ないだろうなと思う。

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    2015年06月14日
  • そこのみにて光輝く

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    ネタバレ

    行きたかったのに映画を見そびれたので、まず小説から読もうと手にとった。
    映画の予告動画を見ての印象を持って読み始めたのだが
    どうも映画のあらすじと比較すると、映画は結構設定を変えているようだ。


    全体に漂う倦怠感は心地よく感じる部分もあり
    注意深く具体的な名称を出さないが、分かる人にははっきりとわかる
    町の描写もあるが
    けして自分の知っている函館の姿ではなかった。

    共感出来る人物も個人的には出てこず、
    あまり最後まで入り込んで読めないままに終わってしまった。
    強いて言えば松本が気になった程度。
    原作どおりで、二部まで描いてくれるなら映画も興味があるのだが
    そうでもなさそうな気もして映画を見

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    2014年09月22日
  • 移動動物園

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    夢中になって頁を繰るとまではのめりこめず。
    でも、「水晶の腕」はそこそこがっつり読めた。
    淡々とした筆致の中に、宝物が隠れてる気配。

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    2011年07月31日
  • 海炭市叙景

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    年末恒例の「おすすめ文庫王国」からのチョイスはまず3位のこの本から(だけども今年のベストテンは今イチ食指が動かんなぁ…)。
    さてこの本、函館市と思しき北国の地方都市・海炭市に暮らす18の人々を淡々と描く。
    バブルの末期に開かれていく街並みに反比例しながら衰退していく人々の暮らしや心根。冬から春へ季節が移ろう中で、しかしどこまで行っても暗く貧しく悲しく絶望的な人々。
    確かにあの頃から日本はおかしくなっていき、そうした閉塞感は良く描けていると思うけど、新しい年を待つ年の瀬に読むには、聊か救いが無さ過ぎる…。

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    2015年10月03日