佐藤泰志のレビュー一覧

  • そこのみにて光輝く

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     好きな世界だ。ヒリヒリする感じがいい。
     映画も公開当時観たが映画の方がリアリティがあってよかったな。

     佐藤泰志は好きな作家だ。

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    2023年09月29日
  • きみの鳥はうたえる

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    『きみの鳥はうたえる』
    知らないはずの昭和の夏のにおいがする。(自分とは縁のないような)眩ゆいきらめきに満ちた日々の中に、ときおり恋愛・家族・生きることについての鈍い痛みがはしる。「僕」の捉えどころのなさ、佐知子の軽(やか)さ、静雄のナイーブさ…時に首を傾げる点もあったが、決して広くはない世界で、一見飄々と生きているようでも実は各々抱えたものがあるという物語は、時の流れによって色褪せることのない普遍的な題材だと思う。夏の入り口のこの時期に読んで非常に心がヒリついた一編だった。

    『草の響き』
    映画のビジュアルを見ていて、てっきり妻が出てくるものだと思っていたから意外だった。走ることを通じて内省

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    2023年07月02日
  • きみの鳥はうたえる

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    原作が小説とは知らず先に映像を見てしまった(あまりやらないようにしてる)
    こんなに古い原作だったとは
    これからあの映画を作ったって考えるとあの映画は成功してる気がする(映画好きだった)

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    2023年06月30日
  • そこのみにて光輝く

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    ネタバレ

    なかなかきつい境遇。
    でも、その中にも幸せはある。
    主人公がなんだか人を惹きつける魅力がある。
    ただし、浮気したのは残念だった。

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    2023年02月02日
  • 大きなハードルと小さなハードル

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    佐藤泰志作品の映像化は欠かさず観てるので未読だった『夜、鳥たちが啼く』の制作が決まってこの文庫購入。
    まずこちらから先に読んでしまったけど、収蔵順に読んだほうがよかったかな?
    Ⅰ部の5編は連作で登場人物が繋がってます。
    Ⅱ部の2編は書かれた時期、掲載順などは全く関係ないのですが、通しで読むとこの順番の妙がわかりました。編集者ってやはり凄い!

    (ちなみに映画は「夜、鳥たちが啼く」の一編からだけでなく、この一冊の中からいくつかのエピソードを入れ込んでいます。ですから一冊丸ごと読んだ方が映画は更に面白くなるのではないかと。)


    小説は独特の〝視点〟の取り方に初めは混乱しましたが、そういう事ならそ

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    2022年12月24日
  • そこのみにて光輝く

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    10年近く前に映画を観て、ずいぶん暗くて行き場の無い街と人々だな、と感じた。函館行きを前に佐藤泰志「海炭市叙景」を読み返したのに続き、こちらも読んだ。映画の物語は忘れていて千夏が魅力的だったことだけ覚えてる。小説の中でもおんなじだ。炭鉱、造船所、歓楽街、競輪場、刑務所、と楽しみにしている函館旅行がますます魅力的になるキーワードであふれているな。そんな情景を描くのが上手だし、さらに後半の松本に惹きつけられることに驚く。ほんの少しの描写で松本(および元妻)を魅力的に際立たさせる、相当の筆力だよ。もっと早く評価されるべき作家だったな。残念。

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    2022年11月10日
  • 海炭市叙景

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    短編集ではあるが、同じ時代、同じ街で起こる出来事が、各ストーリーごとにすれ違ったり、遠まきに絡んでいるところがあり、一冊でひとつの物語という感覚もあった。1本目のまだ若い廃墟がとてもよかった。冒頭から引き込まれて、短編ならではの切れ味があって楽しめた。
    あとは、裂けた爪、猫を抱いた婆さん、昂った夜、が良かった。

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    2022年11月07日
  • 海炭市叙景

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    ずっと以前に読んでいるはずだが、静かな文章と味わいのあるストーリー、登場人物。村上春樹と同世代で、一時期は期待もされながらも評価されず失意のうちに自死したのは無念だったでしょう。
    作品の舞台である函館に行き、その閉塞感や寂寥感に少しでも触れてみたい。

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    2022年11月01日
  • そこのみにて光輝く

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    映画を先に見たので、登場人物全員に演者さんたちを重ねて読んでしまったのが、惜しかったなあと思った
    こういうのって本と映画どちらが先がいいのだろう、、
    それでもやはり、千夏は魅力的な女性だと思う

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    2022年05月25日
  • そこのみにて光輝く

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    千夏と達夫の距離感も、達夫と拓児の距離感もすき。

    映画観た後での原作だったから、結構キャラクターイメージが違ったなあ。拓児は、菅田将暉みたいにガリヒョロではない。

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    2022年04月04日
  • きみの鳥はうたえる

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    ネタバレ

    草の響きの映画をみるかDVDを買うか迷って、まずは原作から入った。きみの鳥は〜は、正直、よくわからない。若いとはいえ、古い時代とはいえ、ずいぶんいい加減で行き当たりばったりの男女だなと思っていたら、予想外の展開。そこを突き詰めればテーマは重いものになるのだろうけど、突き詰めることもなく。不思議。映画見てもよくわからなかった。
    草の響きは逆にわかった。もちろんノッポの自殺の理由も明確にはわからないけど、主人公の感じる心の動きは理解できた。

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    2022年02月26日
  • 海炭市叙景

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    佐藤泰志『海炭市叙景』小学館文庫。

    未完の遺作。海炭市という海に囲まれた北の地方都市に暮らす人びとの悲しみだけを切り取って集めたような連作短編集。幸せの欠片など一つも描かれず、人びとの悩み、苦しみ、悲しみ、喜び、絶望だけが淡々と綴られる。

    読んでいると暗澹たる気持ちになるのだが、人生など楽しいことよりも辛いことの方が記憶に残るのだから、これが真実なのかも知れないと何故か突然腑に落ちる。

    本体価格619円(古本100円)
    ★★★★

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    2021年12月06日
  • きみの鳥はうたえる

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    映画「草の響き」を観て、「きみの鳥はうたえる」を鑑賞後に小説を読んだ。普段はあまり読まない小説も、映画にのめり込んでしまったので、のめり込んで読み終わることができた。映画とストーリーがちょっと違うけど、きみの鳥はうたえるは今この年齢で読んで良かったと思う。

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    2021年10月30日
  • きみの鳥はうたえる

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     『きみの鳥はうたえる』に集録されている「草の響き」を先に読み上げた。
     同タイトルの映画を先に観たところ、今の自分の状況と重なるところがあり、原作を読んでみたいと思い購入したもの。
    個人的な感覚では、スラスラ読めて情景が目に浮かびやすい、というものではないが、ところどころで立ち止まりながらゆっくり読むと良いように感じた。一度ざっと読んで、今は2周目を、今度はじっくり読んでいる。
     また、主人公と同じように、走り、心臓が張り裂けるくらいの体験をすると、また違った感想が持てるかもしれない。
     2周目を読み終えたとき、どういう感想が持てるのか、楽しみだ。

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    2021年10月25日
  • 海炭市叙景

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    ネタバレ

    20210917
    海炭市叙景を読んで
    函館の文学館の吉田さんの紹介で佐藤泰志の小説を読みたいと思って入りやすいと紹介された海炭市叙景を買った。
    最初の章で出てくる函館山、あまり自分が見た光景が舞台になっている様子を見た事がなかったのでそれだけで感動した。不思議な感じだった。
    吉田さんが佐藤ひさしの中高の1つ下という話も他の小説と比べて特別な感じがした。筆者が近いというか。

    そんな特別な小説として読み始めて、1~18章を読んだ。
    吉田さんは最初の話が暗くて辛いといったことを仰っていたが、私はそんなに暗く感じなかった。
    何でだろう。
    救いようがない兄妹であることは確かだけれど、その前に思いやりや

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    2021年09月17日
  • 海炭市叙景

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    ネタバレ

    海炭市という北方の架空の街を舞台にした群像劇、となっている。

    語り手は次々と変わっていき、それぞれの視線で街とそこに住む自分という存在が語られていくのだが、ぜんぶを読み終えてふと誰にも寄り添えきれなかったような気がしている。街という絶対的な共通項はあるのだけれど、転々ばらばらな感情であり、街を統合するひとつの感情としてこの登場人物たちをまとめることができなかった。

    第一章の話にとても好きなのがいくつもある。ひとつひとつの掌編のクオリティがめちゃめちゃ高いなと思う。思えば先生に薦められたのもこの小説のいちばんはじめに書かれている「まだ若い廃墟」だった。前半の話のほうが、廃れていく街がすぐそこ

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    2021年09月14日
  • 黄金の服

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    ネタバレ

    読んでいるときの感覚は「黄金の服」がいちばん好きなのだけれど、たぶん「オーバー・フェンス」のほうが書こうとしていることの確固さはあるのだろうなと思う。佐藤泰志の描く北方の街はそれだけ人物の思いが反映されやすい場所のようだ。
    「黄金の服」の舞台は東京で、そこにいる若者たちはふわふわとどこか浮ついている。
    「泳いで、酔っ払って、泳いで、酔っ払って、そして、と僕は思っていた。木曜日にはサーカスへ行く。日曜日までには本を一冊読み終る。」
    主人公はこう語る。24歳の時間の流れ方としてはあまりにも緩やかで、こんな生活をしていいのかと彼はすこし思っている。彼と関わる幾人かの若者のその後はというと、道雄は大学

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    2021年08月03日
  • そこのみにて光輝く

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    ずっと読みたかった佐藤泰志作品。終始暗鬱としているけど、ねばついていない独特な雰囲気。結末がまったく読めず、読み進めたい気持ちと読み進めるのが怖い気持ちがずっと介在していた。
    達夫も拓児も千夏も、妹も松本も、全員が人に愛される要素がある人柄なのに、どうしてこうも一筋縄ではいかない世の中なんだろう。血の繋がりがなくても、家族、友人というのは一生をかけて大切にしたい、すべき存在だと改めて教わりました。

    作中で、若さに対するこだわりみたいなのがちょくちょく垣間見れた気がするけど、著者の思想なのかな。年老いたこの家族の姿というはどうなるのか、想像したい。

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    2021年06月25日
  • きみの鳥はうたえる

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    ネタバレ

    『きみの鳥はうたえる』と『草の響き』という話が入っていた。
    きみの鳥はうたえるの作中に流れている雰囲気は好き。限りなく透明に近いブルーかな、雰囲気が近いと思ったのは。たぶんいい場面なんだろうなという場面がおおかった。(傘を差して三人くっつき合って歩くところなど)だがそれをじっくり感じる間もなく次に流れていったところが少なからずあった。
    もう一編の草の響きがとにかく好きだった。これはまた誰かに薦めたいほど。文章もひたすら体のうちに入ってきたし、主人公の思いの馳せかたが好きだ。墓地にいる暴走族とのかかわりが優しく、そして愛おしい。
    それでもなんでこの本の題名がきみの鳥はうたえるなのか読み終わってか

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    2021年05月13日
  • きみの鳥はうたえる

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    21歳の男女三人を描いた作品。
    こういう純文学の主人公はどうしてもきっちりとした日常生活に耐えられない人になってしまうのか。
    書店でバイトをする主人公・僕。しばしば無断欠勤、刹那的、時に暴力的。
    同居人の静雄に至っては職も無く、人の好意にたかって生きている。
    そして主人公の彼女になった同い年の佐知子は、静雄に惹かれて行く。

    作者・佐藤泰志は私より少し上だけど近い世代。
    (私とはかなり違う生き方だけど)若い時はこんなだったよなと振り返らされる。
    閉塞感の中、もがいているのか?流されているのか?
    「自由に生きる」と思いながらも、それを謳歌している訳でもなく、どこか苦しんでいる。
    時代は変わったけ

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    2020年09月06日