マイクル・ムアコックのレビュー一覧
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エルリック・サーガの第4弾。
「法」と「混沌」の戦いというメインテーマがぐぐっとクローズアップされた本作。
エルリックは「混沌」の神を守護神とするメルニボネ人ではあるが、「法」の側として戦うことになる。
「混沌」が支配する世界のグロテスクさの描写や、「混沌」と「法」の戦いの理由、ストームブリンガーの存在の意味、エルリックのなすべき使命、など重々しいシーンが続いていく。
そんな中でも失われない、エルリックと彼をとりまく戦士との友情。
エルリックとムーングラム、そしてストームブリンガーの最後のシーンはエルリックの肌の色と同じ、真っ白の風景に見えて美しい。
このシリーズ、7巻まである。う -
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エターナルチャンピオンシリーズ、エルリックサーガ第3弾。
今までは普通の(?)ファンタジー小説だったこのシリーズも、だんだんその特徴である平行世界・時空を越えた展開をみせるようになってきた。
宿敵、セレブ・カーナを追うエルリックが出会う、眠り続けるマイシェラという女王が導くお話。
そして父の魂を入れた薔薇の小箱を探す中に出会う、予言能力があるファット一家や<薔薇>、そして詩人・ウェルドレイクたちとの戦いの話。
<薔薇>たちとの戦いでは、特に詩人・ウェルドレイクの歌う歌がポイントになっており、そこここに美しい歌がちりばめられていて、もとより美しい文章がなお酔いしれるような文章になっている -
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エルリックサーガの二冊目。
メルニボネを後にして旅を続けるエルリックとストームブリンガーの冒険が描かれている。
このシリーズは異次元の平行世界でも同じような冒険が行われているという設定があるらしく、ここでその設定が初めて現れる。
ある国の海岸で今にも死にそうになっているエルリック(いつものことだが)の前に、船が現れる。その船には数人の戦士が乗っており、その戦士たちとともにエルリックは戦うことになる。その戦士たちの中に「お前にあったことがある」という戦士がいる。それが、平行世界の設定の一幕。
そうやって戦い続けるエルリックが、とうとうメルニボネに帰る時がやってくる。
それは彼にとって残酷で冷 -
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先の「太陽の書」シリーズを4冊読み終えてから(あ、感想書いてないね……)、やたらファンタジーばかり読んでいます。あれこれ読んで、ふと書店で手に取ったのがこの作品。
世界に冠するメルニボネという島国の皇子が主人公。白子として生まれてきたため、薬を常用しないと生きていけない。
また、そのような人と違う形で生まれてきてしまったため、メルニボネ人の持つ残虐性や独善性といった性質を持ち合わせていない。いつも「正義とは何か」などと考えていて、「王として不適切」と考える家臣が増えている。
いとこのイイルクーンとの確執と戦い。黒い剣、ストームブリンガーを手に入れるいきさつ。国と愛するサイモリルをおいて旅に -
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衝撃のラストから、どうやって話が続くのだろうと思ってしばし間が空いてしまった永遠の戦士エルリックシリーズ。なんと第二次大戦のドイツから始まります。その子孫の物語として現実世界と繋がってくるのかと思いつつ読み進めると、なにやら多元宇宙とか時空を超えて転生するとかファンタジー世界の理屈が展開されてきて腰がひけてくる。この死をも超越したなんでもありあり感が苦手なんだよな。緊迫感がうすれるよね。でもムアコックはそこで脅威の粘りを発揮し、見事にエルリックの血を引く末裔の物語につなげていく。これはこれで面白いか。でもエルリックの矛盾した内面の葛藤を描いて迫力があったこれまでの作品と違ってエンタメ色が強い。
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文庫新刊コーナーにあったのでびっくり。再編成(編集?)本のようで昔より分厚くなってました。アンチヒーロー物として発想された小説。皇子だけどひ弱く、魔剣をもつときだけ元気。コルム・ホークムーン・エレコーゼとあわせてエターナルチャンピオンシリーズを構成し(キャラはエルリック、話はコルムが好きです。「紅衣の公子コルム」サーガを幾度読み返したことか)、大団円を読み終わった後、私はもうファンタジーを読めなくなってました。大団円後もエルリックサーガは英国で新刊が出つづけ、そのため今回の再編成本刊行になったようです。80年代日本のヒーローファンタジー物に多大な影響を与えてるとおもいます。