マイクル・ムアコックのレビュー一覧

  • ストームブリンガー

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    エルリック・サーガの第4弾。
    「法」と「混沌」の戦いというメインテーマがぐぐっとクローズアップされた本作。


    エルリックは「混沌」の神を守護神とするメルニボネ人ではあるが、「法」の側として戦うことになる。
    「混沌」が支配する世界のグロテスクさの描写や、「混沌」と「法」の戦いの理由、ストームブリンガーの存在の意味、エルリックのなすべき使命、など重々しいシーンが続いていく。

    そんな中でも失われない、エルリックと彼をとりまく戦士との友情。
    エルリックとムーングラム、そしてストームブリンガーの最後のシーンはエルリックの肌の色と同じ、真っ白の風景に見えて美しい。

    このシリーズ、7巻まである。う

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    2015年07月25日
  • 暁の女王マイシェラ

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    エターナルチャンピオンシリーズ、エルリックサーガ第3弾。
    今までは普通の(?)ファンタジー小説だったこのシリーズも、だんだんその特徴である平行世界・時空を越えた展開をみせるようになってきた。

    宿敵、セレブ・カーナを追うエルリックが出会う、眠り続けるマイシェラという女王が導くお話。
    そして父の魂を入れた薔薇の小箱を探す中に出会う、予言能力があるファット一家や<薔薇>、そして詩人・ウェルドレイクたちとの戦いの話。


    <薔薇>たちとの戦いでは、特に詩人・ウェルドレイクの歌う歌がポイントになっており、そこここに美しい歌がちりばめられていて、もとより美しい文章がなお酔いしれるような文章になっている

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    2015年07月25日
  • この世の彼方の海

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    エルリックサーガの二冊目。
    メルニボネを後にして旅を続けるエルリックとストームブリンガーの冒険が描かれている。

    このシリーズは異次元の平行世界でも同じような冒険が行われているという設定があるらしく、ここでその設定が初めて現れる。
    ある国の海岸で今にも死にそうになっているエルリック(いつものことだが)の前に、船が現れる。その船には数人の戦士が乗っており、その戦士たちとともにエルリックは戦うことになる。その戦士たちの中に「お前にあったことがある」という戦士がいる。それが、平行世界の設定の一幕。

    そうやって戦い続けるエルリックが、とうとうメルニボネに帰る時がやってくる。
    それは彼にとって残酷で冷

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    2015年07月25日
  • メルニボネの皇子

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    先の「太陽の書」シリーズを4冊読み終えてから(あ、感想書いてないね……)、やたらファンタジーばかり読んでいます。あれこれ読んで、ふと書店で手に取ったのがこの作品。

    世界に冠するメルニボネという島国の皇子が主人公。白子として生まれてきたため、薬を常用しないと生きていけない。
    また、そのような人と違う形で生まれてきてしまったため、メルニボネ人の持つ残虐性や独善性といった性質を持ち合わせていない。いつも「正義とは何か」などと考えていて、「王として不適切」と考える家臣が増えている。

    いとこのイイルクーンとの確執と戦い。黒い剣、ストームブリンガーを手に入れるいきさつ。国と愛するサイモリルをおいて旅に

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    2015年07月25日
  • メルニボネの皇子

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    まともなヒロイックファンタジーを初めて読みました。
    井辻明美の訳が実に耽美かつ流麗で、主人公エルリックの、ひいては作品世界全体の魅力を最大限引き出すのに成功してます。
    皇帝エルリックが高慢で物憂げで生きるのが億劫で、パーティーで踊るより思考に耽って本と戯れていたいキャラクターで、頭いいくせに割と迂闊。
    ムアコック先生の
    「俺はマッチョイズムなんで大嫌いだ!」
    という魂の叫びが聴こえます。だがそこがいい。

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    2010年06月21日
  • メルニボネの皇子

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    初めてエルリックに出会ったのは、中学の頃だろうか。
    それまでのファンタジーに付き物な、アメリカナイズで
    マッチョなヒーロー。
    それとは真逆の、美しく白くほっそりとした彼に
    私は夢中になった。
    人並に動くためには、薬の力に頼らざるを得ない
    アンチヒーロー。アルビノの赤い瞳から血の涙を
    流してでも、魂を啜るおぞましい剣に身を委ねな
    ければならなかったのだ。

    彼の長い苦悩は、私の喜びとなった。
    続けば続くほど彼は苦しむというのに。

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    2010年02月23日
  • ストームブリンガー

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    虚空に消えていくストームブリンガー。
    「さらば友よ、我は汝の千倍も邪悪であった」
    エルリックの心臓を貫き、呵呵大笑して去っていく
    その剣の姿を見ながら、私は嘆息するしかなかった。

    しかし、それは一時の別れに過ぎない。
    またどこかの次元で巡り合う二つの魂を思い、
    私はもう一度ため息をついた。

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    2010年02月23日
  • メルニボネの皇子

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    復刻、待ち遠しかったです。
    旧版の方も初版から持ってましたが読み返ししすぎてちょっと表紙がぼろぼろに…(;´Д`A ```
    こっちはもう痛まないように大切にしまっておきます。新たに、時系列と翻訳の元本に基づいてしなおされました。井辻さん、ありがとう!!
    久々に読むと、エルリック、若いですね。
    ファンタジー好きというならこのシリーズを読んでくれと言いたいですね。

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    2009年10月04日
  • スクレイリングの樹

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    前巻に比べたら格段に面白かったー。
    ウルリック紹介パートを経て、いよいよ現実世界編という感じ。
    前三部作の設定もうまく編み込まれてた。

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    2012年12月13日
  • メルニボネの皇子

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    永遠の戦士シリーズで一番好きです。
    このシリーズは、沢山出ておりますが、ほとんどの登場人物が微妙に交差していて、さらに多重世界で形成されております。ですから、同じ名前でも同じ人とは限らない感じなので、少し混乱される方もいると思いますが、取敢えずガンガン読み進んでいけば、なんとなく判ってくると思います。判ってくるとより一層面白くなると思います。

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    2010年08月25日
  • この世の彼方の海

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    解説で詳しく説明されているが、この巻の最初に収録されてある「この世の彼方の海」はエターナルチャンピオンシリーズの設定を飲み込んでないと辛いかもしれない。
    この話は読み飛ばしても結構なので、次の<夢見る都>をどうぞ。

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    2010年06月21日
  • 夢盗人の娘

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    面白かった。空想世界と現実世界が交差するだけでなく主人公二人も交差するとは!玉、剣につぐ新たな鏡の千年はこういうことかと勉強になりました。ナチスがらみで重くて一気に読めなかったけど、読み終えたらまだまだ読みたいとおもってしまいました。エルリック様、あんたやっぱりかっこいいよ、どこまでかっこいいんだ!

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    2009年10月04日
  • 夢盗人の娘

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    衝撃のラストから、どうやって話が続くのだろうと思ってしばし間が空いてしまった永遠の戦士エルリックシリーズ。なんと第二次大戦のドイツから始まります。その子孫の物語として現実世界と繋がってくるのかと思いつつ読み進めると、なにやら多元宇宙とか時空を超えて転生するとかファンタジー世界の理屈が展開されてきて腰がひけてくる。この死をも超越したなんでもありあり感が苦手なんだよな。緊迫感がうすれるよね。でもムアコックはそこで脅威の粘りを発揮し、見事にエルリックの血を引く末裔の物語につなげていく。これはこれで面白いか。でもエルリックの矛盾した内面の葛藤を描いて迫力があったこれまでの作品と違ってエンタメ色が強い。

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    2025年08月29日
  • 夢盗人の娘

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    メルニボネのエルリックのサーガは前巻で完結しましたが、3巻続くようです。

    舞台はナチス政権化のドイツ。エルリックのこの世界での分身であるウルリック・フォン・ベック伯爵が主人公です。タイトルは「ウルリック・サーガ」でも良いかも。

    序盤以降はエルリックも出てきます。夢の中だったり、一人の身体に二つの魂が同居してたり、物理的にも別だったり。

    多元宇宙の設定がわかるような説明的なセリフが多いのも特徴です。

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    2017年08月09日
  • ストームブリンガー

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    ネタバレ

    エルリック4冊目。「メルニボネのエルリックのサーガ、ここ終わる。」ということで、世界を終わらせて死んだエルリック。昔読んだのはここまで。いつの間にかあと3冊も出版されてたのね。

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    2017年07月27日
  • 暁の女王マイシェラ

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    根暗なヒーロー、エルリックの3巻目。「暁の女王マイシェラ」と「薔薇の復讐」の2編。後者は、ジプシーの国の台車に乗って移動する村や町が舞台だが、「移動都市」っていう別のSF小説と記憶が混同していたことがわかった。

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    2017年07月24日
  • ストームブリンガー

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    ネタバレ

    最愛の妻を何者かに拉致されたエルリック。魔剣ストームブリンガーを手に探索の旅に出るが、“新王国”の地は、“混沌”と手を結んだパン・タン=ダリジョール連合軍に侵略されつつあった。戦乱の渦中に否応なく巻きこまれるエルリック。だがこれらは、迫り来る“混沌”と“法”の怖るべき戦いの前哨戦にすぎなかったのだ!「魂の盗人」「闇の三王」「忘れられた夢の隊商」の3中篇と、表題長篇『ストームブリンガー』収録。

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    2014年04月02日
  • この世の彼方の海

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    文庫新刊コーナーにあったのでびっくり。再編成(編集?)本のようで昔より分厚くなってました。アンチヒーロー物として発想された小説。皇子だけどひ弱く、魔剣をもつときだけ元気。コルム・ホークムーン・エレコーゼとあわせてエターナルチャンピオンシリーズを構成し(キャラはエルリック、話はコルムが好きです。「紅衣の公子コルム」サーガを幾度読み返したことか)、大団円を読み終わった後、私はもうファンタジーを読めなくなってました。大団円後もエルリックサーガは英国で新刊が出つづけ、そのため今回の再編成本刊行になったようです。80年代日本のヒーローファンタジー物に多大な影響を与えてるとおもいます。

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    2009年10月04日