蓮見圭一のレビュー一覧

  • 誰の中にでもいる彼
    安っぽいドラマだと思われるかもしれない。
    でも私が蓮見圭一の小説にハマるのは、そのどれもが「誰の中にでもいる彼」というタイトルが象徴するような、誰にでも何かしらあるであろうドラマにこそ価値を求めるからである。
    わかったようでわからない、それでもそれに振り回され、囚われる人生に各々がどう取り組んでいる...続きを読む
  • 誰の中にでもいる彼
    表題作と「ハッピー・クリスマス、ヨーコ」、「アーノンクールのネクタイ」がよかった。
    表題作の、「彼」との会話が凄く好き。「会社の金だと思って、この馬鹿。」〜「ワインぐらい、選ばせてやりましょうよ」の流れがほんとうに秀逸だと思う。「彼」は曲者のようですごく純粋な、妙に味のあるキャラクターですてき、奥さ...続きを読む
  • 八月十五日の夜会
    主人公の秀二が、祖父の死をきっかけに出向いた沖縄で出くわす、太平洋戦争終結前後の沖縄のとある離島での出来事を吹き込んだテープが物語の大半を占める。
    戦争の悲惨さというステロタイプのことばでは表しきれない、凄惨さ、やりきれなさ、人間の業などが丹念に描かれる。
    こんな戦争の体験は、われわれにしっかり語り...続きを読む