蓮見圭一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
安っぽいドラマだと思われるかもしれない。
でも私が蓮見圭一の小説にハマるのは、そのどれもが「誰の中にでもいる彼」というタイトルが象徴するような、誰にでも何かしらあるであろうドラマにこそ価値を求めるからである。
わかったようでわからない、それでもそれに振り回され、囚われる人生に各々がどう取り組んでいるか、取り込んできたか、小説を読みながらいろんな像が頭の中に浮かんでいる。
収録されている短編の「テレーゼ」、「夜行虫」は怖かった。著者の「八月十五日の夜会」も併読しているせいか、戦争のことを考えることが多くなった。道端を歩いてすれ違う人の顔を見ながら、私はこの人達と同じ日本人として一緒に戦争に向か