蓮見圭一のレビュー一覧

  • 水曜の朝、午前三時

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    ネタバレ

    許されざる恋。
    隔たる立場のカベを越えられず、それでも越えようとあがく2人。
    時代と世間が胎動しようとしはじめた矢先の恋、あともう少し遅ければ成就した、あともう少し早ければ出会う事すらなかった。
    戦後を区切る節目の1970年、その象徴たる大阪万博をバックに2人の恋は21世紀の俺たちにどんな物語を見せてくれるのか…

    とまぁ、こんな感じの恋愛小説なんですけど、俺はその物語の本筋も去ることながら、主人公直美さんがなんともエエキャラで、そっちの動きが楽しかった。生活を崩した才女、もうちょっと脱線できたら、直美さんはオノ・ヨーコだったかも知れないのになぁ

    恋の相手の臼井さんも、没落貴族(?)の両親も

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    2014年03月01日
  • 水曜の朝、午前三時

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    何不自由なく、誰に縛られるでもなく、思いのままに生きられたらどんなに楽しいかしらと思う人は、沢山いるけれど、実際そのように生きている人はほとんどいないでしょう。家族のしがらみ、世間の目、お金、仕事、見栄や建前、そして心身の健康。関わる相手の気持ちも然り。時間はどうしたって戻せないのだから、人はあの時こうしておけば良かったという後悔や懺悔をかかえながらでも、その時その時の最善を選んで生きていくしかないんじゃないかな?ということ。直美のテープのラストは私を勇気付けてくれました。多分これから何度も思い返すだろう 。

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    2013年09月06日
  • 水曜の朝、午前三時

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    「目の前にあるものすら見えないふりをしているのが今の時代なら、誰もが見えないものまでも見ようとしていたー恐らく、それがあの時代でした。」1970年、高度成長時代の真っ只中、直美は大阪万博のコンパニオンになり人生の宝探しに出た。古めかしい昭和の慣習に対して熱くぶつかるというよりは、むしろ内心の訴えに耳を澄ませ冷静に人生を楽しむかのような彼女の姿勢に共感。昭和世代にはサイモン&ガーファンクルの曲が聴こえてきそうな心地よく味わい深い小説でした。

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    2013年06月08日
  • 水曜の朝、午前三時

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    45歳の若さで逝った翻訳家で詩人の四条直美が、娘のために遺した4巻のテープ。そこに語られていたのは、大阪万博のホステスとして働いていた23歳の直美と、外交官としての将来を嘱望される理想の恋人・臼井礼との燃えるような恋物語だった。「もし、あのとき、あの人との人生を選んでいたら……」。失われたものはあまりにも大きい。愛のせつなさと歓びが心にしみるラブストーリー。

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    2013年04月12日
  • 八月十五日の夜会

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    祖父の遺灰を故郷の海に返すために、東江秀二は沖縄に向かいます。そこで、祖父の友人から預かったテープを聴くことになります。そこには語られなかった沖縄のもうひとつの真実がおさめられていました。場所は伊是名島。日本でありながら言葉の通じない人々に対する差別。語られることのないリンチや殺人。戦争の時代の暗黒が淡々と語られています。
    前後の秀二の時代(現代)があるからこそ、本文(テープの部分)が際立っています。
    年老いていく当時の若者のすごした時代が、哀しく思えてきました。

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    2009年10月04日
  • 誰の中にでもいる彼

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    夜光虫、テレーゼ、結構な人生、心の壁 愛の歌。この4作が良かった。良かったと感じた順番も、この通り。
    蓮見さんの文体には、彼の哲学/美学が、そのまま表れているように思う。センテンスが短く、端的で、言葉の選択に無駄がない。まるで詩歌のような美しさを湛えている。短編だと、その美質がより冴える。
    前述の作品は、題材と相俟って素晴らしかった。
    これほど彼の作品には好感を持っているのだが、ただ一つ、ミソジニー的な視点が散見されるのが、本当に残念。
    ある時代を描く際に、登場する人物や背景が、旧弊な意識を纏っていることは「作中の事実」で構わないが、作者の価値観/蔑視が「現実」として響いてしまうことは、いい作

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    2020年12月13日
  • 水曜の朝、午前三時

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    ただのラブストーリーかと思いきや…!でした。温かくて、切なくて、時に甘酸っぱかったり、苦しかったり。人生で大切にしたいなと思える言葉が沢山詰まっていました。時々読み返したくなるような本です。

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    2020年04月21日
  • 水曜の朝、午前三時

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    ネタバレ

    万博を舞台にした恋愛小説。
    恋人の出自の問題であったり、昭和を感じさせる部分もあり。行間の雰囲気の出し方は独特で良いと思った。

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    2020年03月16日
  • 別れの時まで

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    いつもミステリーばかりなので、たまには恋愛小説でも思って読んだ作品。
    序盤は引き込まれるような入りだったが、途中から少しサスペンス要素が入り込み、刑事やら公安やら、ややきな臭い展開に移っていった。
    そしてそれと同じくして、ところどころ首をかしげたくなるような登場人物たちの言動が目につくようになってきた。
    例えば、よく知らない土地で気になった人物を見かけたシーンで、自分と知人の子供をほとんど素性のわからない男に預けて車で追跡するとか、「それはオカシイやろ」と言いたくなるような場面や会話が、少なくなかった。
    最たる例は、エンディング。なぜああいう結末に至ったのか、さっぱりその心理が理解できないし、

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    2019年08月29日
  • 誰の中にでもいる彼

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    標題作を含む7編の短編集。
    ーー人生には忘れがたい瞬間があるーー
    「水曜の朝、午前三時」でも直美と臼井が出会うシーンで使われたこの言葉が、この短編集の作品「誰の中にでもいる彼」と「ハッピー・クリスマス、ヨーコ」でも使われている。歳月と共に恋は色あせ、危機を迎えた夫婦の夫が、妻に出会った運命の時を思い出して語るシーン。燃えるような恋とその顛末を語るにつれ、心境に変化が生まれる過程がなんともいい。

    1話だけ趣向が異なる「夜光虫」は、戦争中、潜水艦の中で激しい爆雷の攻撃を受け、死に直面して考えたことを孫に伝える元海軍医官の話で、これも秀逸。このモチーフがのちの作品「八月十五日の夜会」に引き継がれて

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    2018年09月23日
  • 水曜の朝、午前三時

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    いい話でした。恋愛がからむよく売れた本にありがちなキャッチーな嘘を、できるだけつかわずに滑りよく書こうとする姿勢みたいなものを感じました。

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    2018年01月13日
  • 水曜の朝、午前三時

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    過去の恋愛の告白小説。大阪の万博会場の高揚感がよく伝わってくるが、半分を経過してもなかなか本題がエスカレートしないので困惑しながら読み進めていた。突如、衝撃の真実が明らかになり、物語に加速感が出る。告白の手法も珍しさがある。本の選び方も参考になった。

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    2017年09月26日
  • 別れの時まで

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    久々に蓮見さんの小説を読んだ。 ベストセラー”水曜の朝~”以来の長編恋愛小説。 しばらく恋愛ものから遠ざかっていた分、期待して読みました。 はて、蓮見さんの文体ってこんなに、「まどろっこしい」感じだったけ? と思いながら読んでいたのですが、当人が元編集者だからか、それとも個人好みか、余計な抽象的描写は省かれていて、淡々と内容が進み、読むスピードが段々と早くなっていく、とどのつまり、夢中になった次第なのです。 大人の、しかもバツ1・子持ち同志の恋愛ですが
    身も心もドップリ浸かりきった重々しいものでない為に、真実味がありましたね。 劇団員の伊都子の元男の素性が素性なだけに、主人公の男は
    翻弄されま

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    2013年08月01日
  • 水曜の朝、午前三時

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    直美さんの、様々な選択に迫られる辛さが伝わってきた。
    本全体でみると、自分には合わなかったかなぁ。この手のラブストーリーは自分には読み辛い。

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    2013年07月22日
  • 別れの時まで

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    女性の穏やかに直情的(クールビューティというのか?)な魅力には、なかなか対抗できない。いわんや特徴のない小市民(否定する感情は全くなし)にとってをや・・・。
    詳述されていない、本作のクールビューティが子まで生した相手の魅力の方が、気になる。

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    2013年04月19日
  • 水曜の朝、午前三時

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    微妙です。
    心に引っかかりそうで引っかからない・・。
    そんな感じの小説でした。

    実は大分と前に読んでいたけれど・・・
    もう1度、今の自分の現状で読んでみよう・・
    と思い、、、。

    以下、本文より引用。

    「迷った時は急がずに立ち止まりなさい。慌てたって、いいことは一つもありはしないのです。物事を理性的に、順序立てて考えるのは悪いことではないし・・・・・・・・・(省略)
    何にもまして重要なのは内心の訴えなのです。あなたは何をしたいのか。何になりたいのか。どういう人間として、どんな人生を送りたいのか。それは一時的な気の迷いなのか、それともやむにやまれぬ本能の訴えなのか。耳を澄まし

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    2013年03月24日
  • 水曜の朝、午前三時

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    ノスタルジック。古き良き恋愛。現代の基準とは多少のズレはあるものの、潜在的な価値観によってどこか惹かれてしまうような魅力を持つ女性や男性が出てくる。特に臼井さんの独特な翳りのある雰囲気は、大人の男性を思わせ、身を委ねたいと思ってしまうと同時に、垣間見えるやわらかな表情に母性をくすらぐられてしまうという純粋な魔性である。こういう男性はなかなかえがけない。ましてや、男性作家がえがいているとは考えられない。しかし、語り手である僕にこそ、蓮見圭一自身が反映されている。秘めたる羨望にも似た恋心は、きっと誰もが持つ、少年時代の秘密だ。

    ストーリー自体はおそらく母親世代なら懐かしんで読めるであろう万博が中

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    2013年02月28日
  • 水曜の朝、午前三時

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    うーん。。。
    私にはちょっとわかんなかったかなあ。
    でも、『もしあの時こうしていたら…』みたいなことって誰にでもあると思う。
    今でもまあまあ幸せだけど、もしあの時こうしていたら。
    こういうのって考え始めたらきりがないのだろうけど、考えちゃうことが多いな。
    直美さんは、ずっとずっと心のどこかでこんなことを考えて生きていたんだなって思うと、胸が苦しくなります。

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    2013年02月13日
  • 水曜の朝、午前三時

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    古めかしいようでなんだか若い恋愛のお話。基本主人公の語りなので情熱が生に感じました。
    万博のことは過去のことの世代なので、その一人の視点、しかも中からの視点が大筋とは別に面白かったです。

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    2012年12月21日
  • 八月十五日の夜会

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    終戦間際の沖縄諸島での戦争の話。
    追い詰められた兵隊の人間模様と葛藤にドキドキしながら引き込まれる。
    本当にそうだったんだろうなぁと思える、理不尽な殺人行為。
    しかし、殺すことを命じる上官の心境も察することができる。
    同じ立場であったら、自分もそうしたかもしれない。
    とにかく戦争は人を狂わせている。
    終戦を知った後の日本人の返り身の早さというのも、国民性が出ている
    気がする。
    これ以上、突っ込んで当時の話を知りたいとは思わないが、この小説を
    読んで、戦争とはそうだったんじゃないかということに改めて思いを馳せる
    きっかけとなった。

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    2011年08月14日