蓮見圭一のレビュー一覧

  • 水曜の朝、午前三時
    サイモン&ガーファンクルの歌(Wednesday Morning, 3 AM)をタイトルにした本作、久々に読む文芸作品だと思う。再読だけど。
    物語に流れるノスタルジックと洋楽、大阪万博を覚えてる世代じゃないけれどなにか懐かしくなる。 死を前にした母が、昔の、いや今も胸を焦がしている恋愛について語る...続きを読む
  • 水曜の朝、午前三時
    友人にお勧めされたので読んでみました。
    著者の作品は初めて読みましたが、文体かなり好みです。

    1970年の大阪万博を舞台とした恋愛小説ですが、単純な在日朝鮮人との悲恋話として語ることのできない一冊です。
    50年前と現代では差別に対する考え方にギャップがあるとは思いますが、そのあたりは当時の世相や風...続きを読む
  • 水曜の朝、午前三時
    直美さんの短くて長い人生の話。
    ある半年間に起きた出来事。
    ドキドキしたり、切なくなったり、
    でもまさかね。
    そしてまたまさかね。
    前に読んだ気がしてたんだけど、こんなに衝撃を受けるくらい本当に忘れていたなら、自分も大人になった証拠や。
  • 水曜の朝、午前三時
    主人公がとても知的明瞭で、冒険心が強い。何かしたいけど、うまくやり切れない。大阪万博という華やかだけれど、まだまだ不安定な日本だった時代に、葛藤を抱えながらも、気高く、力強く生きていく姿がとってもカッコいいです。
    ツンとしていて、音楽や文学、哲学等にも精通していて、おしゃれ。頑固だけれど、自分の考え...続きを読む
  • 水曜の朝、午前三時
    素晴らしかった。
    宝物にしたい文がたくさん出てきた。
    抜粋
    「その人が言ったことをそんなに気にしなければいけないほど、お前はその人のことを重視しているのか」
    「人生とは宝探しなのです」
  • 水曜の朝、午前三時
    初めて読んだのは何年も前だが、読後の切なさとともに強く印象に残っている作品。たまに読み返したくなる本。
  • 別れの時まで
    大人でなければ読めない小説である。

    親が子を想い、恋人に焦がれ、自らの在り方について思い悩む。人生において、一通りの経験を積んだ者にしかわからない哀しさが描かれている。

    早紀と隆。この二人の子供が持つ真っ直ぐな正しさが主人公だけではなく、読者の心も苦しくする。そう、「正しいことは人を傷つけやすい...続きを読む
  • 水曜の朝、午前三時
    高度成長期、逆らえない風潮と世間体、そういう目に見えないものに胸を締め付けられる。例えその時代を生きていなくとも、今に。
  • 水曜の朝、午前三時
    がんで死を間近に控えた女性翻訳家が、自分の恋愛について娘に送った手紙(手紙を書くために録音したテープ)。 大阪万博では、コンパニオンをホステスと呼んでいたそうで、ストーリーとは別の部分で感動(?)しました。 面白かったです。
  • 水曜の朝、午前三時
    45歳の若さで逝った、知的で魅力的な翻訳家で詩人の直美。彼女が娘のために遺したテープには、大阪万博で働いていた23歳の直美と、将来有望なエリート学生・臼井との切ない恋とその後が語られていた。恋の痛みと人生の重みを描く、大人のラブストーリー。
    .
    国籍や肩書きへの固執、亭主関白的な父親...続きを読む
  • 水曜の朝、午前三時
    ー生と死、静寂と激情

    友人から勧められた本です。
    淡々とした語り口調の中に感情の激しさ、秘められた想い、出会いと繋がりがある小説で、思ったりよりもするする読めました。

    45歳の若さで脳腫瘍で亡くなった直美が、娘のために遺したテープ。その中には23歳の直美が大阪万博のホステスとなり、将来外交官を期...続きを読む
  • 水曜の朝、午前三時
    1970年の大阪万博、時代が激しく動き出した頃に一生引きずるような恋をした人たち。
    いま読んで必要なことたくさんかいてあった気がします。
    その頃から何にも変わってない。
    人間なんて、そんなに変わらない。
    直美の考え方に共感するところは多々あり。政治的な考え方とか。
    それにしても、地元千里感満載過ぎて...続きを読む
  • 水曜の朝、午前三時
    すごーく良かった。人生に対する力強い応援。けどテーマのひとつである差別については唐突でうまく受け入れられなかった。
  • 水曜の朝、午前三時
    「この人生に私が何を求めていたのか
    ここまで根気よく付き合ってくれたなら、もつわかったでしょう。私は時間をかけて、どこかにあるはずの宝物を探し回っていたのです。ただ漠然と生きていては何も見つけることはできない。でも耳を澄まし、目を見開いて注意深く進めれば、きっと何かが見えてくるはずです。」45歳でな...続きを読む
  • 別れの時まで
    編集者の松永は、母の手記に応募してきた毛利伊都子と出会い恋に落ちた。

    互いに片親ということもあり、松永と娘の早紀と伊都子と息子の隆はなんの問題もなく交流を深めていた。

    その矢先、松永は隆の父親である三田という男の行方を追っているという警察に伊都子の行動について捜査協力を迫られる。

    好きな女であ...続きを読む
  • 水曜の朝、午前三時
    108円で、良い作品に出会えました。

    お初の作家さんなのですが、とても上手い作家さんだと思います‼️
  • 水曜の朝、午前三時
    70年代を舞台にした恋愛小説が好きな私にはドンピシャな小説でした。
    日本は高度成長で一見華やかな時代だけど世界は冷戦の最中で、そういう時代を察するとこの主人公の感じる「怖さ=差別」というのが理解できるような気がしました。

    (海外で長く過ごした才女である鳴海さんを登場させて「私は差別主義じゃないわ」...続きを読む
  • 水曜の朝、午前三時
    1人の女性が死の前にして娘に残したテープ。そこには彼女の生き方全てが詰まっていた。

    耳を澄ましてじっと自分の心の声を聞くこと。歩き出すのはそこからでいい。自分の今にたくさんの気づきを与えてくれた。
  • 八月十五日の夜会
    好物のテーマのひとつである太平洋戦争・沖縄戦もの。
    大岡昇平『野火』を彷彿とさせるような、乾いてざらざらした死の感覚。裏切りと欺瞞の連鎖。
    サディスティックな描写の中に、生の根源に触れるような深みがある。
    読み進めるのが苦痛になる人もいるだろうな。「戦う相手を間違えてるんじゃないか」というコメントが...続きを読む
  • 水曜の朝、午前三時
    大阪万博の華やかな世界の中で生涯忘れられない恋をした主人公。

    その時代にタイムスリップしたような感覚で興味深く、どんどん読み進めたくなる。
    誰にでもあるのかもしれない、正しさだけは説明がつかない心が求める恋の物語。