後藤和智のレビュー一覧
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3人の著者が、バトンをわたすようにして、それぞれの立場から「ニート」言説について切り込んだ本。問題意識としては「三者三様」という面もありながら、その中心点として「ニート」という言葉が析出するところに妙がある。
第一部の本田由紀のパートが、俗流「ニート」論のまやかしをわかりやすく示している。だいたいのところは
・統計で見れば、ニート(働く気がない若者)は増えていないし、以前からわずかである
・そもそもイギリスの「ニート」は、経済的に恵まれず低学歴な若者が社会から排除されるのを問題視するために生まれた言葉だった
・しかし日本では15~34歳までと対象が大きく拡大され、しかも「失業者」が除外 -
Posted by ブクログ
言ってることは正しいけど、それはもうわかってるでしょ、
とどうしても思ってしまう内容。
"ニートとひきこもりを近似値で見ること自体が間違え、更に言えばひきこもりを否定的に見ること自体が間違え(要約)"
"典型的なのは、2003年に内閣府が刊行した「平成十五年度版国民生活白書」における認識です。この白書の中では、「フリーター」問題は企業が若者、特に新規学卒者の採用を抑制したことから生じており、一番重要な原因は企業側にあると言い切っていました。"
ニートという単語が張り切る前にフリーター論がそういう風に転んでいたのは初耳でした、おしい。
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Posted by ブクログ
ネタバレ「ニート」という言葉は、もうあまり聞かなくなった気がするけれど。
・イギリスの「NEET」=16~18歳、学生でもなく働いてもいない、失業者を含む
日本の「ニート」=15~34歳、〃、失業者を含まない
・少年犯罪は凶悪化も増加もしていない。むしろ終戦直後の方が、いずれの点においても悪い状況にあった。
・同書の中でも述べられている通り、「ニート」論に限らず、あらゆる若者バッシングの構造を見抜くヒントが示されている。政治、経済、雇用といった側面から問題解決が図られるべきところを、教育や精神論にすり替え、自己の醜く耐えがたい部分を若者に投影することで溜飲を下げる人々がいるという。これは私自身にも無 -
Posted by ブクログ
ニート問題の論じられ方、そういう論じられ方にはどういう構造的問題があるのはをデータに基づいて分析し問題提起した1冊。3部構成でそれぞれ3にんの著者がテーマ別に論じている。
1部ではニートの定義と、本当に必要な支援策について。問題なのは非希望型と非求職型の人、ひきこもり、犯罪親和層を一色淡にしていることだ。非希望型とは今働く必要も予定もない人。非求職型とは働く意欲はあっても病気やけがで働けない人のこと。非希望型には教育機関への入学準備者や結婚を控えた女性、身障者なども含まれており、そもそも実数は増えていない。色々なライフスタイルの人が、データ上でひきこもり・犯罪親和層と同じ扱いを受けている。非