外尾悦郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
凄い本を読んだ。とにかく圧倒された。
サグラダ・ファミリアもガウディも一応その名は知ってはいた。が、恥ずかしながら本書の著者、外尾悦郎のことは知らなかった。サグラダ・ファミリアの彫刻に携わる日本人だ。
巨大な岩山や森など、人間の力が及ばない自然の造形を見たとき、人は畏敬の念を抱くものだと思うが、サグラダ・ファミリアを目の前にしたときに感じる迫力も、その感覚に近いものがあると著者は記す。著者がこの彫刻に一生を捧げるもとになる考えだ。
ガウディは本当に人間を幸せにするものをつくろうとした。人間がつくる最高のものを神に捧げようとした。建築や彫刻などの造形だけでなく、光や音も組み合わせた総合芸術。 -
Posted by ブクログ
バルセロナに住むことになったので、サグラダファミリアの彫刻を担当したという外尾さんのこの本を読んだ。
サグラダファミリアだけでなく、数々のガウディ建築に触れながらガウディがいかにしてこうしたデザインを生み出し、作り上げてきたかがよく分かる。
自然、特に植物から造形を学び、機能とデザインと象徴を一つの問題として解決してきたガウディ。
7.5、17.5という基準数値、サグラダファミリアを巨大な楽器とする構想。
ガウディ亡き後、ガウディならどういうものを作ったか、想像しながら創造していく営み。
サグラダファミリアをただ美しいと眺めるのも良いけれど、こうした背景を知った上で楽しむのもまた良い -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルの通り、ガウディは建築という形で最大限の伝言を残している。そして外尾さんは、それを彫刻家として、また一人の人間として、しっかりと受け取っていることが伝わってくる一冊。
本書で1番印象的だったマラガールの詩を引用しておく。
終わりなき形成の何という喜びであろうか。
この聖堂の建設に一生の命以上のものを捧げている男が、慎み深くも、その完成を見ようとせず、後の世代の人々に建設の継続と完成を託していることを私は知っている。
この慎み深さと自己犠牲の下に、神秘主義者の夢と詩人の研ぎすまされた楽しみとが脈動しているのだ。
なぜなら、一人の命よりも長い年月を要する作品に、また、将来の幾世代もの人 -
Posted by ブクログ
サグラダファミリアの彫刻家である外尾氏が、ガウディの建築、人生、思想などについて説明した本。
子供の頃、北野武が外尾氏の案内でサグラダファミリアを訪れている番組を観たことがある。何故かその番組の印象がずっと残っており、大人になってからバルセロナを二度訪れ、ガウディの建築を観てまわった。一番好きなのはグエル公園だったが、サグラダファミリアも確かに壮大な建物だった。偉そうに講評できるような知見もないが、人工物の中にいながら、自然の中にいるような感覚になれるのは、独特な気がする。
機能性、象徴性、デザイン性を全てが重なる建築方法を発見し、それを自らの建築に実装したガウディは、まさしく二の句が継げ -
Posted by ブクログ
バルセロナに行くとガウディを意識せずにはいられないくらい、街は彼の作品に溢れている
中でもサグラダファミリアは100年以上かけて作られる教会として注目を浴びており2026年の完成予定に多くの人の期待が膨らんでいることと思う
私は20年ほど前にサグラダファミリアの塔の上まで登りバルセロナの街を見てきた
そして今年。もう一度訪れる機会があり20年前との違いに圧倒された。
人々の注目が集まり資金や機械の導入などの流れもあるようだが、完成に向けて作り込まれたサグラダファミリアは、それは素晴らしい体験ができた。
その世界中が注目する教会に日本人の彫刻家が携わっておられたことは驚きと日本人の誇りだと思 -
Posted by ブクログ
19世紀から20世紀にかけて活躍したスペインの建築家・アントニオ・ガウディ。
バルセロナにある、100年以上も建築中の大聖堂・サグラダ・ファミリアの構想や設計をした
主任建築家としてもっともよく知られています。
そんなガウディの人間性や建築家、芸術家のとしての、
群を抜いた質や集中力、発想力などの高さや秘密などを説明してくれる。
それと同時に、サグラダ・ファミリアで彫刻の仕事をされている著者による、
ご自身の仕事の様子、だからこそわかるサグラダ・ファミリアを見る上で留意すべき点
なども盛り込まれています。
ガウディの伝記でもあるし、解説本でもあるし、ガウディの秘密を解いていく本でもあります