外尾悦郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
2026年6月10日、ガウディ没後100年にあたるこの日、サグラダ・ファミリア最大の塔である「イエスの塔」の完成記念式典が行われた。
私が行ったのは1991年5月。生誕のファサードは完成していたが、受難のファサードを作っている最中といった時期。
当時、「完成することはない」と言われていた。確かに、今現在も「完成」ではない。
それでも、今のサグラダファミリアは素晴らしい。
主任彫刻家である著者の外尾悦郎さんが、ガウディの目指すサグラダファミリアを、悩みに悩みぬいて作成している光景がこの本で読み取れる。
設計図は残っていない、そもそも設計図なんてなかった。
ガウディはどう考えていたのか?
教会ということもあり、キリスト教の知識も必要だし、ガウディの建築物の研究も必要。
大変な仕事だと思う。
絶対にまたサグラダファミリアに戻る。そして、その前までにもっとこの本を読みこんで現地に立ちたいと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレサグラダファミリアの石の建築に携わった日本人による、サグラダファミリアとガウディの解説本ということで読んだ。
18歳、第二外国語を決める時、どの言語にも興味を持てなかった中で、「人生でサグラダファミリアは見てみたいからスペイン語かな」と決めた理由にもした、サグラダファミリア。
スペインなんていつでも行けると思って、29歳にして未だに行けていない国。
まずはこの国やガウディについて勉強して、そして時が来たら満を持して行ってみよう。
・1882年から作られているサグラダファミリア
・初代建築家は別の人で、その人が1年ほどで辞任する事になり、31歳の実績なき若きアントニオガウディに白羽の矢が立った
・施主は貧しいカトリック信者の団体。寄付を財源とするのでゆっくり建築が進むことに。その間に建築家としての名を馳せていくガウディが、都度都度の技術とアイディアをサグラダファミリアに盛り込んだ
・ガウディは教会の建築を通じて、キリスト教の信仰も勉強し、崇高な人間に成長する。サグラダファミリアはそのガウディの成長をも吸収し、途方もない設計になっていった
・サグラダファミリアを楽器にしようとしていた。鐘やパイプオルガンや打楽器を散りばめ、共鳴するように作られている。ステンドグラスを多用し、光を通すと宝石のように見えるように。「ガウディは人間を幸せにするものを作ろうとしていた。また、人間が作り得る最高のものを神に捧げようとしていた。建築や彫刻の造形だけでなく、光や音も組み合わせた総合芸術。完成までに何百年かかっても、それを毎日少しずつ作り続ける事ほど、人間にとって夢のある仕事はないだろう。
・サグラダファミリアは図面がないが、はたして図面化できるような建築だろうか?ガウディは図面に書けない、二次元化しずらい、してもわかりにくく意味がない、三次元的に、彫刻的に建築物をデザインした。なので、模型を作り、それに毎日手を加えて修正しながら、弟子に指示して行った。
・ガウディは職人を誰よりも信頼し、大切にしていた。だから職人にこれを作れないかと相談し、職人はその美しいものを表現しようと頑張り、みなが本気でサグラダファミリアをよりよくしようと努力していた。職人の力を引き出す事をガウディは考えていた。
・サグラダファミリアは一見曲線だらけに見えるが、実は幾何学が豊富に使われており、直線からなっている。
・ガウディの天才性の一端は、機能とデザイン(構造)と象徴を常に一つの問題として同時に解決している事である。構造上弱いところに、デザインで補強する。そのような工夫が施されている。
・ガウディは強い構造物を自然から学んだと思われる。「人間は何も創造しない。ただ、発見するだけである」
絶対に、絶対に、サグラダファミリアを見にいく前にもう一度読もうと決意した。 -
Posted by ブクログ
5月、長年憧れていたサグラダ・ファミリアを訪れた。実際にその壮大な姿を目にし、ガウディの他の建築にも触れて、心から感動した。その後に読んだのが外尾悦郎氏の『ガウディの伝言』である。
本書を読んで最も印象に残ったのは、ガウディのものづくりに対する姿勢だった。幼い頃、病弱で自由に遊べなかった彼は、自然をじっくり観察し、その中にある法則や構造を建築に取り入れた。その結果、140年以上経った今もなお揺るがない建築を生み出した。
また、ガウディは設計図や規則で職人を縛るのではなく、建築の理念や幾何学を共有し、一人ひとりが考えながら仕事を進められる環境を大切にした。その精神は世代を超えて受け継がれ、職人たちは皆、サグラダ・ファミリアとガウディを深く愛し、誇りを持って仕事に取り組んでいる。そのような信頼関係があるからこそ、大きな事故もなく建築が続けられているのだと知り、深く感動した。 -
Posted by ブクログ
福岡出身の主任彫刻家ということで興味を持ち購入。
「小さな仕事を毎日コツコツと積み重ねてきた結果、いつの間にか、とんでもないところまで来ていたという気がします。」著者の誠実さ、真摯に向き合ってきた姿勢に心打たれる。
「地中海地方独特の鮮烈すぎるほどの空の青さ。その中にくっきりと浮かび上がる巨大なシルエット」に圧倒される。
「サグラダ・ファミリアは信者たちにとって「石の聖書」」らしい、今そこにいるみんなが息をのんで静かに佇んでいた。
「ガウディは本当に人間を幸せにするものをつくろうとしていたと思います。そしてまた、人間がつくり得る最高のものを神に捧げようとしていました。建築や彫刻などの造形だけでなく、光や音も組み合わせた総合芸術。それがガウディの考想していたサグラダ・ファミリア」
職人との心あたたまる交流や師匠とのふれあい、苦悩と謎解きに向き合い地道に実績を積んでいく様子を読み進める。ハーブを奏でる天使像については、弦をつくるかどうか議論、心の共鳴箱を信じ「天使の指先にあるはずのない弦が見える」完成形にしたという。見逃してしまいそうだが、実際に目にして実感することができて本当によかった。
最大の転機は1992年バルセロナ・オリンピックで、2000年以降、年間230万人も集める最大の名所となり、財政難だった時期を乗り越え恩恵を多大に受けているとのこと。現地は本当に大賑わいだった。
「諸君、明日はもっと良いものをつくろう」という声が静かに心に響いた。 -
Posted by ブクログ
【書名と著者】
ガウディの伝言 (光文社新書)
外尾悦郎
【目的】
職場の上司に勧められてなんとなく。したらば、たまたまガウディの没後100周年に差し掛かるタイミング。ぜひとも6/10までに、なんとなく読むかと思い手に取った。
【読後感】
世界に差別と病気と格差を広めたキリスト教徒は個人的には嫌い。
今までに2度眺めたサグラダファミリア、妙に有機的で気持ち悪いと思っていた。だがしかし、自然から着想を得た象徴と設計を統合する考えに基づくものと思うと、見方によっては合理的で正しいのだと認識できた。
【印象に残ったポイント】
・人間万事塞翁が馬
ガウディは体が弱くてぼっちだったから、自然を観察できて後年の設計につながったとか。
・図面より現物と概念の浸透
図面通りに作ってるけど難易度高くて大変なのだと思い込んでいたが、実際はサグラダファミリアのあるべき姿をガウディ亡き後に職人チームで推論し実行した結果なのだと認識できると、
・キリスト教信仰とガウディの神格化
教会を作るのだから当然かもしれないが、キリスト教の理解が必須。必然的に著者もクリスチャンになっていったのだなと納得。
ガウディならどう考えると考える中で、妙に神格化されているような感もある。違和感あるがファウンダー不在組織でまとまるために、ガウディの権威をうまく使えている状態と言えるのやも。
・意味ある数値を用いた象徴と設計の統合
会社組織だと問題は細分化して合理的に解決しましょう、なのだがガウディは問題を大きく統合したうえで、一刀両断している。この点は昔の話だが非常に斬新。
・模型を使った意識合わせ
ものづくりには、やはり見えるものが大事。陳腐な言葉だが、天才ですら目に見えて手に取れるものが必要なのだから、凡人であるわたしもこの点を大事に仕事における可視化は必要と再認識。
・天才とパトロン
ガウディが天才としても、グエル氏がいなかったらどうなったことか。
マルクスに対するエンゲルスのように、唯一無二の理解者として支援してくれる存在は主役として語られにくいが天才にとって必要不可欠と思う。 -
Posted by ブクログ
サグラダファミリアに行く前の飛行機で読み終えた。
サグラダファミリアの工事のニュースをテレビで観ているときは、「なんでこんなにずっと工事しているんだろう?」程度にしか思っていなかったが、この作品を読んで完成までに時間がかかっている理由や時間をかける意味がよくわかった。
ガウディが建築を単なる美しいデザインというだけでなく、構造的に美しいことや自然やキリスト教などに向けたメッセージ性を込めて1つ1つ創り上げていることにすごく感動した。また、ガウディがなくなり設計図がない今でも、外尾さんをはじめとする彫刻家たちがガウディならこう考えるという意志を受け継いでいることが、時代を超えてサグラダファミリアが愛され続ける理由で本当に素晴らしいと思った。
この作品を読んでからサグラダファミリアやグエル公園などをみることでとても楽しめた。サグラダファミリアは生誕のファサードの天使たちやロザリオの間など実際に外尾さんが携わられていた作品部分、また天に伸びるような放物線がたくさん使われているサグラダファミリアの構造を感じたりとした。
また、グエル公園でも自然との調和を感じて癒される時間を過ごせた。ガウディの相棒でもあったグエルの名前がついており、生涯社会の中で生きづらさを感じてきたガウディが大切な人たちのために残した作品でもあり、現在は多くの憩いの場になっていることが感慨深かった -
Posted by ブクログ
サグラダ・ファミリアの彫刻家、外尾悦郎さんのエッセイ本。
2006年に書かれていて、今年2026年なので20年前に書かれていたんですね。
ガウディ死後100年の今年、イエスの塔の完成ということもあり、4月にバルセロナに行って、実際にサグラダ・ファミリア、グエル公園、カサパトリョなど見てきました。
ガウディ建築、素晴らしい!
死ぬ前には絶対行くべき場所です。
ガイドブック含め、「博士ちゃん」の番組、さらに外尾さんのコメント通りのガウディの世界を楽しんできました。
現地のガイドの方も外尾さん含め本書の事を知っていて、ガイドさんからも色々教えていただきました。
本書によって、それがまた思い出されます。
さらに、ガウディの考え、その生い立ち含めて語られる本書はとても素晴らしい。
しかし、唯一本書の気に入らない点は白黒の写真。
写真が小さく、解像度も荒すぎて、外尾さんのメッセージがどれの事を言っているのかが分からない。
もっと大きな写真をつかうかすべてカラーにしてほしい(笑)
ガウディの世界を感じる本書はお勧めです。
ガイドブック以上の価値ある本でした。
そして、ぜひ、サクラダファミリアを見てきてもらいたい。ガウディ建築を感じてきてもらいたい。