原千代海のレビュー一覧
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子供と家を捨てて、自分を獲得するために動いたノーラは正しいのか?どちらとも言えない…。
最初、二人の会話の仲睦まじさから良好な関係にある夫婦だと思っていた。そう思わせておいて、あのような形で問題を投げかけてくることがうまいなと思った。
愛していることは確かなのに、潜在的に彼女を自分より下位である、守ってあげる存在だとしていたことが露呈したのが悲しい。
親子ならまだしも、夫婦間での力関係は今でも全然あることだと思うし、多分無意識に、そっちの方が円滑だからとか思って、悪く言えば隷属している部分もあるのかなと思ったり…。
上手くまとまらないけど、現代の夫婦観に思いを巡らせてしまう、良い刺激を受け -
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まってこれってこんな面白い話だったの!?
大学生のときに読んだきり、
そして一応役者なので、エチュード的に一部はやったことがあるけど…
全然わかってなかった!!
やはり本ていうのは、読むときの年齢によって全然見え方が違うものですね。
仕事のために読んだけど、いま読んでよかった。
ノーラが馬鹿すぎて最初「イーッ!」てなったけど、
最後に「そういうことか…」と納得。
でも、自分の人格形成における失敗(?)の責任を夫や親に押し付けるのは趣味じゃないです。
しかし!それを最後に自分の正しいと思うように行動するノーラには快哉を叫ぶぞ!
後世に書かれたものだけど、森本薫の女の一生「誰が選んでくれたのでもな -
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ネタバレ>遅くまでペンを執ったわ。本当に、何度もふらふらになったわ。それでも、そうやって働いて、お金を儲けるのは、とても面白かったわ。まるで男になったような気がしたの
>法律は決して動機を問いません。
>じゃ、それは、とても悪い法律よ。
>いいえ、そんなことありっこないわ! だって、愛情からしたんですもの。
>しかし、お前が、自分独りで何の処理もできないからって、おれの愛が薄らぐと思らかね? いや、いや、ーーおれに寄っかかってればいいんだ、ーー助言もしてやる、指導もしてやる。そういう女の無力さは、二倍も魅力的なんだ。そのお前がわからなければ、おれは男といえやしないさ。
おれが大きい翼をひろげて、お -
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家庭板みたいな話でゲスく楽しめました。面白かったです。
ヘルマーがモラ男なのはもちろんですが、ノラが大概甘ちゃんすぎます。
「父や夫に心配をかけないために、勝手に父の名前を保証人欄に書いて、借金をした。思いやりゆえの行動であり、これが偽署の罪だというなら法律が間違っている!」というのが、序盤で出てきた上に最後にも出てくるノラの主張です。
過ちを犯した人はみなそれぞれの事情があったということに思い至らないノラは世間知らずのままです。
そして、自分を愛していると言いながらも犯罪はかばってくれなかった旦那に幻滅して家を出るわけです。
よく考えもせずに、生家のなくなった地元へ戻る? あてもないうえに子 -
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全く期待せずに読んだけど凄く心打たれた。
男と女とで確実に感想が異なるであろう末恐ろしい一冊。
自分の嫁に読ませて感想を聞きだして一喜一憂するか、はたまた永遠に禁書にするか。
訳者の原 千代海さんは人間賛歌として解釈してるけど、これは今も昔も重厚な社会劇だよ。
ってかイプセンは元々ナショナリズムの闘士だったのに途中でノルウェー大嫌いになって国外で暮らしたり(結局晩年に戻ってきたけど)、女性の社会進出を訴えた戯曲を書いた直後に女性蔑視者になったりとかなり香ばしい作家。
イプセンはローマの学術団体「北欧協会」でそれまで認められていなかった総会における女性の投票権を声高に主張した。会費を払えば男も女 -
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ネタバレ19世紀にフェミニズムを描いたノルウェーの戯曲。
この時代は当然となっていた家庭での「男の権威」と同時にあった女性への卑下(嘘により家庭を駄目にし子供を堕落させうるのは母親、なんて文も)。
そんな「当然」の中で夫婦をあくまで対等の存在だ!というのは相当衝撃的な主張だったそうで。「今まで自立できない人形のような自分だったから」という理由で家出したノーラの行動については論争が起こったほど。現代ですらいかがなもんかと言われるやも。
個人的に印象的だったのは夫のヘルメルがノーラをただ可愛がってただけで、結婚してから8年間真剣に話したことはなかった。可愛い娘が父から夫の手に移っただけ。それは人形 -
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『人形の家』は、ノルウェー出身のイプセンにより、1879年に出版および初演された戯曲。夏目漱石や太宰治など、いろいろな文豪に引用されていて、以前から気になっていたので読んでみました。
ノーラは、年明けに弁護士から銀行の頭取になることが決まっている夫と、可愛い3人の子供たちとクリスマスを迎えるのを楽しみにしていました。しかし、彼女はある重大な秘密を抱えており、それに関わる人物が家に訪ねてきて気が気でなくなります…。
タイトルから内容が想像つかなかったですが、ラスト15ページの怒涛の展開で「人形の家」の意味が明らかに。終盤の夫が見せた掌を返すような態度で、妻は気づいてしまった訳ですが、何もかも -
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ネタバレ三幕家庭劇。
劇脚本。
未亡人視点。
因習に縛られて放蕩していた夫の元に留まらなくてはならなかった女性の物語。未亡人になった彼女は息子のために夫の偽りの名誉を保とうとするが、結局は親の業(遺伝病)を受け継いだ息子は精神を病み、彼女は追い詰められる。
五人劇。人数としては学芸会に最適ですね。 内容は……まあ微妙ですけど。
ヘレーネ(苦労した未亡人・アルヴィング夫人)オスヴァル(息子、画家)マンデス(人の噂や評価ばかりを気にする牧師)エングストラン(レギーネの義理の父。指物師、詐欺師? ちんぴら)レギーネ(アルヴィング夫人のしたたかな召使)
幽霊は実体のないもの。つまり、因習とか業