渡邉文幸のレビュー一覧
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現在のブラック企業、パワハラ問題など労働状況にも通じる部分があり、ある種で普遍的なテーマを扱っている作品のように思う
古典的な作品であるものの今なお評価される理由もそういうテーマ性から出ているという事がわかる
一方で作中にも記載があった『赤化』を勧める部分を槍玉に挙げる人間も少なくはないが、基本的には労働者側の目線に立って描写された小説で共産主義の基本的な理念である資産分配や革命推進まで進んでいる描写までは記載していない
故にこの小説はあくまで当時の社会問題を描き出した現在の社会派小説として機能した小説だと自分は考える
また思っていた以上に残酷で暴力的な描写も目立つ為、タイトルを学校教育で知る -
Posted by ブクログ
ネタバレ「おまえたちをどだい人間だなんて思っていないよ」
プロレタリア文学の代表作
序盤、425名の乗組員が見殺しにされる苛烈さに慄く
資本主義のもと人間性を剥奪され、虐使され、生命まで搾取され、交換可能な労働力として消費される労働者の描写に、著者の怒りが刻まれている
著者の小林多喜二は特高警察から残酷な拷問を受け、29歳の若さで虐殺された
自宅に戻った多喜二の遺体は、ペンを握る右人差し指が無残に折り曲げられていたそうだ
権力に抗し、弱い者や虐げられた者の側に立った若者の生命が国家権力によって奪われてしまったわけだけど、それは過去に限った話だろうか -
Posted by ブクログ
「航船」でなく「工船」としている点でこの航海は「航海法」のグレーゾーンと認識され、出稼ぎ労働者(船員)たちが人権なしの奴隷のような扱いを受けていたという。そんな悪しき閉じた世界が世界人権宣言が出されて20年近くも経った昭和40年代まであったというのも驚きだ(作品設定では昭和初期となっている)。
人権宣言のような秩序が生まれても、こういう「閉じた世界(権力に一般人が抗えない特別な空間)」にまでルールが浸透するには何十年もの歳月を必要とするのがわかる。でもこのような「秩序の枠組み」は時間はかかれど、ひとりひとりが望む限り着実に浸透していく。そして現代はインターネットも存在する。浸透速度は上がると -
Posted by ブクログ
船にくっついているタイヤってなかなか過酷だと思う。蟹工船にもきっとくっ付いている、側面にだらしなくぶら下がっているあのタイヤのことです。海の陽射しをもろに浴び、しょっぱい海水に揉まれ、いつ他の剛体との間に挟まれるのかと、ビクビクしている。
なんと可哀想なのか、いや、別にそうでもない。別にタイヤに人権があると思っていないから、こき使っても良心は痛まない。
労働者の権利が重んじられていなかった時代、人というのは搾取の対象だった。その悲惨をリアリティもって記している。この構図が生まれたのは搾取対象が持つ苦痛への無理解によるものだったと思う。
この目線で見れば、この自分とタイヤの関係というのは、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
検察権力のトップ、検事総長-戦後25代の総長、その時代と素顔、在任中の主な事件を描く。
検察誕生から、造船疑獄、ロッキード事件、裁判員制度まで。
戦後検察史の光と陰。
関連年表付。
[ 目次 ]
第1章 赤煉瓦の司法省
第2章 占領下での再出発
第3章 検察とは政治なり
第4章 特捜の光と陰
第5章 個人戦から組織戦へ
第6章 高度成長のひずみ
第7章 バブルのなかで
第8章 まつりの後始末
第9章 司法改革の波
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ -
Posted by ブクログ
検察官は法務省の指揮下にあるが、おのおの個人が官庁の役割を果たす独任制のもとにある。
検察官の力の源泉は、検察官起訴独占主義や検察官起訴便宜主義という強力な権限に支えられ、その力は時の権力者へも迫る。
その検察官を束ね統括するのが、トップの検事総長である。
検事総長は同時に法務省の事務方トップである。
そして単純に起訴、公判維持を指揮するのではない。
政治的、経済的に影響のある事犯に対し、指揮をし最終判断を下す立場にある。
その判断は戦前から現在に至るまで、行政権の狭間で揺れ続けてきた。
時系列で追っているので後半が駆け足すぎて内容が薄くなっているの残念。