黒川祐次のレビュー一覧
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ウクライナは、同国語で、ルーシー、つまり、ロシアの語源なのだ。ロシアはウクライナから分かれていった国とある。その関係は、モンゴル支配終了から始まる。
ウクライナの重要性
①ヨーロッパの大国になりえる潜在力 面積ロシアについて、第二位、5千万の人口は、フランスに匹敵する
②地政学的の要所である。西欧世界と、ロシア、アジアを結ぶ通路であり、地中海への玄関でもある
ウクライナの特徴
①ソビエト・ロシアと融和しているにも関わらず独自の文化、言語を保持し続けてきたユニーク性。ソ連時代は教育を奨励、ウクライナ語による学習などが盛んに。
②キリスト教ではあるが、ギリシャ正教⇒ロシア正教⇒ウクライナ正教 -
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ウクライナの淵源はラテン、ゲルマンに属さないスラブ人が9世紀に建てたキエフ「ルーシ」国(ルーシはロシアなので、首都キエフをつけて区別する)、988年キリスト教化/モンゴル帝国に対抗して独自コサックが生まれ/反宗教改革の浸透で、ロシア正教から分派しユニテリアンとなった/19世紀にステップ地帯の開発で穀倉地帯になり/産業革命は労働者を必要としたが、農民は都市生活を好まず、ロシア人が多く移入した/第一次大戦も第二次も両側に徴兵/スターリンの民族抹殺/フルシチョフの寛容/ゴルバチョフの不明でロシアに次ぐ大国が独立
あらためて「国を作るのは大変だな」と思う。「国」はまず言語が分離して独立する。国境を越 -
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ウクライナの歴史を紀元前から遡って解説。ざっくりとではあるが、そもそもウクライナの歴史を何も知らなかった自分としては十分に得るものが大きな作品であった。
また現在のウクライナに対するロシアの思惑を理解するのにも役に立つ作品である。
特に近代史は周辺国の知識もある程度あったので理解が深まった。
一方で紀元前から近代までは周辺国や民族についての解説が乏しいため、ある程度の知識がないと深い理解を得られることができなかったが、親書としては十分に役に立つ作品であった。
やはりユーラシア大陸の歴史を理解するためには、民族、宗教など全体の大きな動きを理解しておくことが必要であると痛感させられた。 -
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ロシアが侵攻するまでは、ほとんど知識もなかったウクライナ。書店で見つけ読み始めるが、ドラマチックな歴史の流れにぐいぐいと引き込まれる。
駐ウクライナ大使であった著者による紹介本だが、いまのロシアとウクライナの関係の根深さを改めて感じさせられる。1991年に独立国となるまで、大国にはさまれ、分断させられながら、自立した民族としての誇りを持ち続けた歴史の重さが、今日のウクライナの底流にあることが理解できる。
キエフ・ルーシ公国を起源にもつが、キエフはウクライナの国土にあり、ロシアはルーシから派生した名前を国名にする。ウクライナの耕地面積は日本の全面積に匹敵する肥沃な国土。ウクライナの浮沈が世界に及 -
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元駐ウクライナ大使の著者が、スキタイの興亡から、キエフ・ルーシ公国の隆盛、リトアニア・ポーランドによる支配の時代、コサックの栄光と挫折、ロシア・オーストリア両帝国による支配、中央ラーダによるつかの間の独立、ソ連の時代、そして1991年の独立に至るまでのウクライナの歴史を概説。
ウクライナの歴史を振り返ると、各方面から支配されてきた苦難の連続だが、随所でそれに抵抗してきたということがよく理解できた。ただ、ウクライナ人という、ロシア人とは異なるアイデンティティがどう形成されてきたのかは正直ちょっとよくわからないところがあった。
また、キエフ・ルーシ公国の継承者は誰なのか、フメリニツキーの協定の解釈 -
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今、世界が注目するウクライナ。本書は元外交官でかつてウクライナ大使もつとめた方による一書。帯には「緊迫するウクライナ情勢を知るための一冊」との惹句が掲げられているが、本書刊行は今から20年前なので、もちろん現状レポートではなく、紀元前にスキタイがこの辺の覇者だった時代からソ連崩壊、1991年のウクライナ独立までが叙述されている。
地政学上、経済上、非常に重要なこの地域に現在のウクライナのルーツともなるキエフ・ルーシ公国が誕生したのが11世紀くらいの話。東スラブ人を中心に北方のヴァリャーグ人、トルコ系遊牧民のハザールが触媒となって誕生した。キエフ・ルーシの正当な?後継がロシアだというのがロシア -
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2002年初版発行の一冊。ロシアのクリミア半島制圧(2014年)より十年以上前の本。
しかし、今の状況を理解する助けとしては大いに役立つ一冊でもある。まあ…知らなかっただけでこうなりかねない背景があった、ということなんだろう。
いろんな民族や諸外国が行き交う複雑な歴史。正直なところ自分の理解を超えてしまった一冊であり、歴史なんだと思う。
ただ、近代ウクライナ語文学の始祖とされるタラス・シェフチェンコ氏の話あたりから、ウクライナ史やウクライナ文化を紐解く手がかりをつかみかけているように感じている。
シェフチェンコ氏は「ロシア語の方言」に過ぎず「真面目なこと、高尚なこと」を表現するべきでないと