【感想・ネタバレ】物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国のレビュー

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Posted by ブクログ

スキタイの興亡、キエフ・ルーシ公国の隆盛、コサックの活躍からの1991年の新生ウクライナ誕生までのロシアに次ぐ大国のナラティブを読破します。

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2023年02月28日

Posted by ブクログ

ウクライナは、同国語で、ルーシー、つまり、ロシアの語源なのだ。ロシアはウクライナから分かれていった国とある。その関係は、モンゴル支配終了から始まる。

ウクライナの重要性 
①ヨーロッパの大国になりえる潜在力 面積ロシアについて、第二位、5千万の人口は、フランスに匹敵する
②地政学的の要所である。西欧世界と、ロシア、アジアを結ぶ通路であり、地中海への玄関でもある

ウクライナの特徴
①ソビエト・ロシアと融和しているにも関わらず独自の文化、言語を保持し続けてきたユニーク性。ソ連時代は教育を奨励、ウクライナ語による学習などが盛んに。
②キリスト教ではあるが、ギリシャ正教⇒ロシア正教⇒ウクライナ正教である。ローマ教会とは一線を画す
③ユダヤ人が多い
④ 農業大国であるが、工業国でもある。

ウクライナ史概説

BC8世紀 キンメリア人 印欧語族
BC7世紀 スキタイ人がウクライナ地域を制圧、ペルシャの騎馬民族
 BC2世紀にスキタイ人が滅び、いろいろな民族が対応、やがて、東スラブ人が現れ、7世紀には同時にひろがる
862年  リューリク ノヴゴロド公に キエフ公国の始まり
1240年 モンゴル軍、キエフ制圧、タタールのくびき
1502年 キプチャク汗国滅亡 タタールのくびき終わる
  この間、ポーランドとリトアニアに相互支配される
  コサック、始めはポーランドに味方する、登録制に、各国へ派兵される
1765年 エカテリーナ2世の南下政策により、ロシアに併合、独立が失われる
1853~56 クリミア戦争 ロシアにより、セヴァストーポリ軍港が置かれる。
1917年 第一次大戦後、一瞬独立 ウクライナ国民共和国樹立、ロシアとオーストリアに二分される
1922年 ソビエト連邦へ ウクライナは、ソ連、ポーランド、ルーマニア、チェコスロバキアの4国に分断
1986年 チェルノブイリ事故発生 ソ連への不信感が増大
1990年 350年ぶりに主権を回復

目次は以下の通りです。
まえがき
第1章スキタイ 騎馬と黄金の民族
第2章キエフ・ルーシー ヨーロッパの大国
第3章リトアニア・ポーランドの時代
第4章コサックの栄光と挫折
第5章ロシア・オーストリア両帝国の支配
第6章中央ラーダ つかの間の独立
第7章ソ連の時代
第8章350年待った独立
参考文献
ウクライナ略年表

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2022年09月02日

Posted by ブクログ

内容の濃い一冊だった。
ウクライナ人というのがどういう人を指すのかわからなくなるほどいろいろなことが錯綜した歴史。今回のプーチンの攻撃も流れの中の一つか。
独立したといってもまだまだ30年ほどの短い平和。誰にも侵す権利はない。人々を殺すな。子どもを殺すな。

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2022年08月11日

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彼の地域が、ウクライナという国になるまで。紀元前から近現代まで網羅されていて、世界史好きだと、単語調べながら読み進めたくなる。

ただ文化的に円熟してくると、人物名の羅列がスゴい(個人比)。ウクライナやロシア文学、バレエなどに詳しくないと、呪文の詠唱に見えてくる。

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2022年07月20日

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長い伝統と重厚な文化を持ちながらも、近年はとくにソ連崩壊後、わずか30年しか独自の国も持たなかったにもかかわらず、ロシアを上回るほどの国に成長したウクライナの歴史と物語。

所詮、国民国家とは、幻想であり、それゆえに脆い。

もちろん、「日本は世界で一番長い歴史を持つ国」というのも、フェイクである。

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2022年06月24日

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ロシアがウクライナに侵攻したがる理由と、ウクライナが絶対に譲歩したくない理由が、少しは理解できた気がする。

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2022年06月14日

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 22年のウクライナ侵攻を受けて、ちょっと歴史を学んでみようかと購入。肥沃な土地を有するが故に東から西からずっと他国に支配され続けてきたこと、独自の民族・言語を有すること、ロシア人と混同されがちな多くの文化人を輩出してきていることなど、勉強になった。日本とは地政学的条件が全然違うので、こういった国の歴史を学ぶのはとても意義深いと思う。

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2023年10月10日

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ウクライナの淵源はラテン、ゲルマンに属さないスラブ人が9世紀に建てたキエフ「ルーシ」国(ルーシはロシアなので、首都キエフをつけて区別する)、988年キリスト教化/モンゴル帝国に対抗して独自コサックが生まれ/反宗教改革の浸透で、ロシア正教から分派しユニテリアンとなった/19世紀にステップ地帯の開発で穀倉地帯になり/産業革命は労働者を必要としたが、農民は都市生活を好まず、ロシア人が多く移入した/第一次大戦も第二次も両側に徴兵/スターリンの民族抹殺/フルシチョフの寛容/ゴルバチョフの不明でロシアに次ぐ大国が独立

あらためて「国を作るのは大変だな」と思う。「国」はまず言語が分離して独立する。国境を越えたら、言葉が通じないのはいい方で、誤解されたり気持ち悪がられたり反発されたり、その文化の違いは乗り越えるのが難しい(アート・芸術では融合して新しい文華となることもある)。穀倉地帯のウクライナが2.30年代スターリンの強制徴発で数十万餓死の恨み、今も続くチェルノブイリ原発事故の被害/ソ連崩壊ウクライナ独立で置き去りになった、ウクライナ東部のロシア語母語住民…

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2022年12月23日

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よく言われる
わたしたちに何ができるのか→まず知ること
から始めている
「ウクライナ」という国が現在の位置のままで太古からあったわけではなく変遷がある。逆にだからこその「愛国」ってあるのだろう。

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2022年12月04日

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ウクライナの歴史を紀元前から遡って解説。ざっくりとではあるが、そもそもウクライナの歴史を何も知らなかった自分としては十分に得るものが大きな作品であった。
また現在のウクライナに対するロシアの思惑を理解するのにも役に立つ作品である。
特に近代史は周辺国の知識もある程度あったので理解が深まった。
一方で紀元前から近代までは周辺国や民族についての解説が乏しいため、ある程度の知識がないと深い理解を得られることができなかったが、親書としては十分に役に立つ作品であった。
やはりユーラシア大陸の歴史を理解するためには、民族、宗教など全体の大きな動きを理解しておくことが必要であると痛感させられた。

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2022年09月15日

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ロシアが侵攻するまでは、ほとんど知識もなかったウクライナ。書店で見つけ読み始めるが、ドラマチックな歴史の流れにぐいぐいと引き込まれる。
駐ウクライナ大使であった著者による紹介本だが、いまのロシアとウクライナの関係の根深さを改めて感じさせられる。1991年に独立国となるまで、大国にはさまれ、分断させられながら、自立した民族としての誇りを持ち続けた歴史の重さが、今日のウクライナの底流にあることが理解できる。
キエフ・ルーシ公国を起源にもつが、キエフはウクライナの国土にあり、ロシアはルーシから派生した名前を国名にする。ウクライナの耕地面積は日本の全面積に匹敵する肥沃な国土。ウクライナの浮沈が世界に及ぼす影響について深く考えさせられる。

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2022年08月12日

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侵略、抵抗そして独立していった強さは今のウクライナ共和国のゼレンスキー大統領の姿によく表れている。ロシア、ポーランド、ドイツ、ベラルーシ、トルコに侵略されてきた歴史から国が成り立っていると思う。5200万人、商業国かつ農業国、ロシアウクライナは同一民族、ウクライナはロシアとは別と考えていた、ドニエプル川、ドニエステル川、クリミア戦争、ボリシェビキ、共産党、今のウクライナがどうして強いのか分かった気がする。

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2022年08月06日

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元駐ウクライナ大使の著者が、スキタイの興亡から、キエフ・ルーシ公国の隆盛、リトアニア・ポーランドによる支配の時代、コサックの栄光と挫折、ロシア・オーストリア両帝国による支配、中央ラーダによるつかの間の独立、ソ連の時代、そして1991年の独立に至るまでのウクライナの歴史を概説。
ウクライナの歴史を振り返ると、各方面から支配されてきた苦難の連続だが、随所でそれに抵抗してきたということがよく理解できた。ただ、ウクライナ人という、ロシア人とは異なるアイデンティティがどう形成されてきたのかは正直ちょっとよくわからないところがあった。
また、キエフ・ルーシ公国の継承者は誰なのか、フメリニツキーの協定の解釈、クリミア半島を巡る経緯など、歴史的な背景が今日のロシアによるウクライナ侵略につながっているということを認識した。
そして、これまでロシアの歴史の一部と思っていたようなことがウクライナが中心的にかかわることであったり、かわいそうな弱い国と思っていたポーランドがウクライナにとっては支配する側の国であったり、ウクライナの視点から世界史を見ることで、その見え方が変わった。

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2022年07月31日

Posted by ブクログ

混迷しすぎてて無知な人間の一読くらいじゃ全然わかんなかった。とにかくウクライナが「みんなが欲しがる土地」であり、故に自分たちの土地を自分たちのものだ!と主張することすらままならない歴史を辿ってきたことだけは感じた。もう少し軽めな本を読んでから再読したい!

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2022年07月11日

Posted by ブクログ

今、世界が注目するウクライナ。本書は元外交官でかつてウクライナ大使もつとめた方による一書。帯には「緊迫するウクライナ情勢を知るための一冊」との惹句が掲げられているが、本書刊行は今から20年前なので、もちろん現状レポートではなく、紀元前にスキタイがこの辺の覇者だった時代からソ連崩壊、1991年のウクライナ独立までが叙述されている。

地政学上、経済上、非常に重要なこの地域に現在のウクライナのルーツともなるキエフ・ルーシ公国が誕生したのが11世紀くらいの話。東スラブ人を中心に北方のヴァリャーグ人、トルコ系遊牧民のハザールが触媒となって誕生した。キエフ・ルーシの正当な?後継がロシアだというのがロシアの主張で、ウクライナの主張とは真っ向から対立する。

キエフ・ルーシが消滅し、リトアニア・ポーランドの支配を経てこの地域の栄光と挫折を担ったのはコサック。さらにその後、オーストリアとロシア両帝国の支配を受け、第1次世界大戦前後からウクライナ民族主義が台頭。何度か独立を宣言するものの、1922年にソ連邦に編入された。

1932〜33年にはスターリンの農業集団化政策、食糧の強制挑発によってウクライナが大飢饉となる。その死者は300〜600万と推定されていて、ウクライナはこれをジェノサイドと認定している。

第2次世界大戦では人口の6分の1を失い、戦後はソ連の工業化政策によって農業地帯であったウクライナにも鉄鋼、石炭などの重化学工業が移植された。またウクライナ共産党第一書記でもあったフルシチョフによってクリミアがウクライナに委譲されたのが1954年のことであった。

ソ連が自滅したあと、ようやくウクライナ独立が達成されたが、著者は「目出度さも中くらい」な独立(p.254)となってしまった指摘していることが印象に残った。

著者が予言しているように現在ウクライナは世界の注目を浴びている。最悪な形ではあるけれども……。

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2022年07月07日

Posted by ブクログ

日本とウクライナはロシア連邦という問題のある隣人を抱えている点で共通する。昭和の世界地図のまま止まっている人間にとってウクライナはソ連の一部であるが、独自の文化があることが理解できる。
ロシア連邦の侵略によって民間の建物が破壊されている。ロシア連邦の攻撃が軍事施設に対するものか誰もが納得する論理的で明快な回答はない。どこぞの独裁主義国の政府と同じこととはロシア連邦のプロパガンダを真に受けて、ロシア連邦のウクライナ侵略を正当化することである。

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2022年06月27日

Posted by ブクログ

ウクライナの歴史が簡易的に分かる。
もともと侵攻されることが多い国であったことに驚き。
入門本としては最適

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2022年06月08日

Posted by ブクログ

2002年初版発行の一冊。ロシアのクリミア半島制圧(2014年)より十年以上前の本。
しかし、今の状況を理解する助けとしては大いに役立つ一冊でもある。まあ…知らなかっただけでこうなりかねない背景があった、ということなんだろう。

いろんな民族や諸外国が行き交う複雑な歴史。正直なところ自分の理解を超えてしまった一冊であり、歴史なんだと思う。
ただ、近代ウクライナ語文学の始祖とされるタラス・シェフチェンコ氏の話あたりから、ウクライナ史やウクライナ文化を紐解く手がかりをつかみかけているように感じている。

シェフチェンコ氏は「ロシア語の方言」に過ぎず「真面目なこと、高尚なこと」を表現するべきでないと考えられていたウクライナの「農民の口語・方言と古代教会スラブ語を統合して力強いウクライナ語を創造した(p.143-145)」人物。
これが容易でないことは、日本でも地方から多くの文学者が出ているにもかかわらず、方言を使った文学作品は極めて少ないことからもわかる。その偉業を称えられ、今のウクライナの最高額紙幣(100フリヴニャ券)にはシェフチェンコ氏の肖像が刻まれているらしい。


昔から豊かな土地で、それ故に独立志向が強く、結果的に内部に権威を保ちにくい、という歴史背景は見て取れた。
コサックがその端的な例で、周辺列強(ドイツ・ポーランド・リトアニア・ロシア・トルコ・イスラム勢力etc.)からの干渉に対抗し、勇敢に戦う兵士を尊ぶ歴史が長く続いてきたし、ウクライナの人の多くがそれを誇りに思っている。ただその独立志向故に、ウクライナ全域を統べる力を持つ人が出ることはなかなかなく、居たとしてもその権威が代々続くことは少ない。
今はウクライナが一丸になってロシアという一方向に向かって対抗しているわけですが、それは長いウクライナの歴史の中でも稀な事例なのかもしれない。

ロシア帝国時代にウクライナの都市部で工業化が進んでも、ウクライナの農民は都市に出ることを好まず、かえってアメリカ・カナダやロシア極東に開拓農民として出て行くことを好んだ(p.155)話や、その独立性故にソ連の集団農業とは相性が悪くそれが飢饉の一因になった話(p.210)など、その豊かさに裏打ちされた独立志向は今の歴史にもいろいろ影響を与えている様子。


一方、昔から海運・河運の要衝で地中海・バルト海にまで交流を持つ地域。それ故にユダヤ人との関わりが深い地域であるのも興味深く。
イスラエル以前にユダヤ教を国教にしたことのあるハザール可汗国(コーカサス地方が本拠)は最盛期にクリミア半島などのウクライナ南部を勢力下においていた(p.30)し、それ以降もその金銭感覚や事務能力を買われ、「都市の商人、手工業者」や農村の「貴族の荘園の管理人」として定着し、「農民の地獄、商人の煉獄、貴族の天国、ユダヤ人の楽園(p.71)」と言われていたらしい。今でこそユダヤ人のゼレンスキー大統領が国民を率いているものの、歴史的にウクライナの庶民層がユダヤ人とうまくやっていた、というわけでもない様子。


天然資源の豊富さ故の独立志向の強さは東北史と、周辺列強の影響が強く内輪の権威を維持しにくい傾向は朝鮮(韓)半島史と、似た歴史的要素を持った地域としてウクライナを捉えたらいいのかも、という印象を受けた一冊。

残念ながら、ウクライナについての厳しい情報は今後も多く入ってくるであろう、と予想される。その情報の中から、ウクライナという国がどういう国であるのかについても学ばせてもらいたい、と改めて思った。

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2022年05月31日

Posted by ブクログ

今読むべき本です。
いかにこの国の事を日本人として知らなかったと思わせられる。
コサック騎兵ってロシアじゃないのか!
第一次大戦からソ連成立までの混乱ぶりが特に興味深かった。

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2022年05月28日

Posted by ブクログ

東欧に関する断片的な歴史を「ウクライナ」を軸に据えることで整理することができました。丁寧に書かれており読みやすかった。しかし、多くの歴史関係の本にありがちなように古代から中世までの丁寧さに比して、近現代はかなり端折り気味でした。

また、2002年出版なのでそれ以降の動向は織り込まれていません。昨今まで繋ぐためには追加のアプローチが必要かと思いました。

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2022年05月25日

購入済み

こんなご時世

全く無知だったわたしが、この戦争を機に読んでみた。ロシアとウクライナの関係、ウクライナの人々のたどってきた歴史が分かり、よかった

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2022年04月01日

Posted by ブクログ

ウクライナ侵攻があってから
気になっていた本。

紀元前から時系列になっており、
とても分かり易かった。

豊かな土壌ゆえに様々な民族が統治する
姿から、改めて、島国、日本は恵まれていると
痛感した。

ロシアとウクライナの関係性も理解
できる良書である。

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2024年02月19日

Posted by ブクログ

ロシア帝国やソ連のもとでの忍従を強いられ、ポーランドやオーストリアからは圧力を受けながらも独自の文化を守り続けたウクライナ。その忍耐の歴史を元大使の黒川祐次さんが愛情をもって綴ります。
描くのは1991年の独立までと、現在のウクライナ状況を理解するには物足りない気もしますが、ウクライナ人の不撓不屈の精神は理解できると思います。

印象に残ったのは

○中世ヨーロッパに大国であった「キエフ・ルーシ公国」(『ロシア』はルーシから派生した)の後継者は誰かという問題がある。ロシア側の言い分はウクライナという国そのものが消滅してしまった。モスクワ公国は存続していたのだからロシアが後継者であることに議論の余地はない。一方、ウクライナ側の言い分は15世紀のモスクワは、キエフ・ルーシ公国の支配下にあった非スラブ諸部族の連合体にすぎず、キエフ・ルーシ公国の後継者とは言いがたい。

○12世紀に編纂された「原初年代記」によればルーシ人は酒をやめられなかった。また、キエフ・ルーシ公国はカトリックではなくギリシア正教を選んだ。その理由は典礼の美しさであると説明されている

○キエフ・ルーシの貨幣は銀の鋳塊であり、その単位は「フリヴニャ」。ロシアの通貨である「ルーブル」は「切り取られた」という意味であり、「フリヴニャ」を切り分けた銀塊の単位として13世紀に創出。ウクライナ人はこれでロシアをからかっている

○「ウクライナ」が初めて特定の地を指すようになったのは16世紀。コサックの台頭とともにドニエブル川両岸に広がるコサック地帯を指すようになった

○ウクライナ史最大の英雄は17世紀、初めて自分たちの国家を作りあげたフメリニッキー。しかし、ポーランドへの対抗からモスクワへ保護を求めた協定が、ウクライナがロシアに併合される過程の第一歩になったことは否定できない

○困窮した農民が新大陸への移民を開始したのは1880年代。現在、アメリカには150万人のウクライナ系住民がいると言われている。

○ウクライナ人は第一次大戦以降、中・東欧の他の民族より長くかつ多くの犠牲を払いながら独立のために戦ったが、結局ソ連の崩壊まで独立は成し得なかった。その理由は
-ウクライナではインテリの比率が低く、インテリはロシア文化に浸っていた。独立への戦略もイデオロギーも十分ではなかった
-西ウクライナの民族運動はポーランドの圧倒的な力に潰されてしまった。また英仏やアメリカは民族自決を標榜しながらドイツと提携するウクライナ中央ラーダに疑問を抱いた
-ウクライナにはレーニンのような傑出した戦略性、指導力を持つリーダーがいなかった
-ウクライナの持つ重要性、すなわち、面積、人口、豊かな穀倉地帯を背景とした農業から、ロシアはウクライナを不可欠な一部と考えていた

-1933年にピークを迎えた大飢饉でウクライナでは350万人以上。これはロシアによる強制的な集団化や穀物調達のために起こった人為的な飢饉。これをホロコーストにも匹敵するジェノサイドとする学者もいる

冒頭に書いた通り、本書が網羅するのは1991年まで。一方、奥付けによると2022年4月15日で第15版が発行されています。増補版が欲しいところです。

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2023年05月27日

Posted by ブクログ

ウクライナ起源から現在に至るまでが網羅されている。ただ、やや専門的で初心者がウクライナを知りたいと思って読むと難解かも。もっと写真や図などあれば良かった。ロシアとウクライナの関係、プーチンが戦争をしてまでウクライナを奪いたい意味はよく分かる。

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2023年04月12日

Posted by ブクログ

「これ一冊でウクライナの全てが解る」とは言わない。ただ、大国に翻弄され続けながらも民族の誇りやアイデンティティーを守って独立したウクライナという国家が、プーチン及びロシアから我が物と見做されて侵掠されている現状がいかに理不尽でおかしい事なのかが判る一助とはなった。地名等がウクライナ語に基づく表記ではない点が惜しい。

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2022年11月19日

Posted by ブクログ

2022.4に改訂されていたので、今般のロシアによるウクライナ侵略の件が追記されていると期待して買ったが、全く触れられておらず少し残念。古来、ウクライナがロシアとヨーロッパの狭間で、ウクライナの地というアイデンティティを維持しつつ、翻弄されてきた歴史がよくわかる。

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2022年10月18日

Posted by ブクログ

もう少し地理を優しく教えてくれるとわたしとってはありがたかった。
でも、ウクライナのことを何も知らない私からすれば、いままで習ってきた世界史にここまで関わっていたことに驚きの連続だった。

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2022年08月09日

Posted by ブクログ

レーニンあたりから読みやすくなるが、特にコサックのあたりなどは基礎知識がないからか頭に入ってきづらかった。ウクライナが独立を夢見ながらもロシアやポーランドやその他多くの他国に潰されては分割統治されてきた歴史がわかった。なかなか独立が果たされないし戦禍や飢饉や原発事故でかなり散々…こんな大変な土地ってある?ハードモードすぎる。

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2022年07月19日

Posted by ブクログ

ウクライナの土地は肥沃で
また西欧と中東・アジアを繋ぐ道にもなっており
スキタイ時代から豊かな文化を誇っていた
しかしそれは、様々な民族の争いを招き寄せる場所ということでもあった
ウクライナ民族の祖先はキエフ・ルーシ公国を築き
長きにわたる繁栄を享受したが
荘園貴族の力が増したことで国は分裂
モンゴルによる征服を経たのち
モスクワを除いて、ポーランド・リトアニアの支配下に入った
さらに南方から受けたタタールの侵略によって
自衛の必要に迫られた人々はパルチザンと化し
コサックと呼ばれ恐怖と憧れの対象になったものの
やがてポーランドの承認なしにコサックを名乗ることもできなくなった
ドニエプル川を挟んだコサックどうしの対立もあったし
そういう歴史から、ウクライナでは
けっこうイビツなナショナリズムが育まれたようである
ポーランド崩壊後、それはインテリゲンチャたちに再発見され
ロマン主義的な発展を遂げていった
現代まで続くロシアとの関係では
キエフ・ルーシの正統を背景とするロシアの一方的な身内意識と
ウクライナの土地に付随する高いプライドがすれ違っていることで
問題をこじらせているように思う

こういうのを見ると
「歴史の終焉」を既成事実化したい西欧文化人の
気持ちだけはわからんこともない
だけどそれで、心の拠り所を求めずにはいられない人の弱さが
なんとかなるわけじゃないんだよな

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2022年06月04日

Posted by ブクログ

今はポーランドやドイツに支援されているけど、歴史的にはこれらの国にも侵略されたこともあった。いつかは、ロシアと激しい戦争をしたこともあったことを意外に思う時代がくるのだろうかと思った。

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2022年05月29日

Posted by ブクログ

ウクライナのことをしっかり勉強したいと思い、読んでみました。コサックの人々なんですな。

難易度 難
感動☆☆☆☆☆
涙線☆☆☆☆☆
興奮★☆☆☆☆
感心☆☆☆☆☆
伏線☆☆☆☆☆

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2022年05月28日

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