佐藤洋二郎のレビュー一覧

  • おーい、宗像さん
    秋山駿が出てくる。主人公の男は佐藤さんという名前で、日大芸術学部の講師になる男だという。では、宗像さんとは誰なのだろう。読み終わった今、そんな思いが頭のなかにこびりついている。
    読んでいてだんだん哀しくなる。それが佐藤洋二郎さんの文章の特長だ。人生って辛く哀しいものだなとおもい、絶望し、教訓にし、作...続きを読む
  • 極楽家族
    タイトルが目に付いて読んでみた本
    著者は全然知らなかったけど理系ぽい好きな文体
    終わった家族のぐだぐださもツボ
  • 妻籠め
    美しい文章で綴られた著者の最高傑作、と裏表紙に書かれていてその通りの良い小説だった。

    静かなトーンの語りが心地良く、それが美しい風景描写を引き立て、景色が広がるようだった。
    出雲に行ってみたくなった。

    内容も展開もとても良くて、若い読者でも年配の読者でもいける。
    生きるということ、それを考えるこ...続きを読む
  • 河口へ(小学館文庫)
    先日読んだ佐伯一麦さんとどこか似ています。
    主人公達は皆建設作業員。言い方は失礼ですが、どこか社会の底辺に居る人たちです。その人たちの数日間を丁寧に切り出すように描かれます。
    絵画でいえば写実派です。数ある風景の中から、そこを切り取ったということに意味があるようです。何かを声高に主張するのではな...続きを読む
  • 極楽家族
    単語が難しくて何度も辞書を引きました。笑。
    それに反してあっという間に読み終わる引き込ませ具合。
    笑ったぞ。
  • 腹の蟲
    今年は初めての作家との出会いが多くあった。
    意識してそうしたのだが、この人の作品も初めて読んだ。
    面白くて惹きつけられたと言う感じではないが、
    穏やかな流れの中で、読み手の私も和ませられるものがあった。

    芥川賞候補にもなり、いくつかの文学賞も受けているが、
    全然しらなかった。

    あと2つくらい読ん...続きを読む
  • 未完成の友情
    どうもアヤシイ観点から見てしまう僕ですが(笑)イソギンチャク・・・あの辺にインパクトが・・(待て)。時代がころころ変わってちょっと読みづらかったけど、友情っていうのを実感させられます。面白かったです。
  • 極楽家族
    ドンよりとした雰囲気の本ですが、最後は何故か良かった。 一様とは言えないけれども、『男』という生き物は、彷徨う事に細やかな願望を抱いているのかな。 『あとがき』も味があって良かった。
  • 河口へ(小学館文庫)
    「河口へ」
    85年のプラザ合意以来、内需拡大路線を走ってきた日本は
    バブル経済を迎えて、外国人労働者(ジャパゆき)を多く雇用した
    最低賃金の上昇していくなか
    いわゆる3K(キツイ・キタナイ・キケン)労働を低コストでまかなうには
    国内だけでは人材が足りないのだった
    そこに、老オカマや相撲くずれも加わっ...続きを読む
  • 腹の蟲
     私小説です。作家先生の人柄を知っているので、どうしても著者の顔を浮かべてしまうのが読み手側の欠点ですが、人生の悲喜こもごもが淡々と綴られていて、人生に少々お疲れ気味の40代以降の方にはこころに響くものがあると思います
  • 東京
    十分に人生を分かっているはずの年齢であろう男女のあやを、
    濃密に描いた短篇集。
    ちょっと守備範囲外の作品に手を出してしまった。
    失敗、失敗。
    いや、力量のある巧い作家さんだけどね。
  • 東京
    東京の街々を舞台に繰り広げられる男女の心の機微を描いた、切なくほろ苦い思いを抱かせる12の話からなる。
    嘘をついたり、強がったり、結果、傷ついたりしながらも生に抗うように生きていく。
    見かけだけではわからない、実は誰もが持っているであろう胸の奥に隠した孤独を少し自分と重ねてみながら読んだ。
    幸せにも...続きを読む
  • 極楽家族
    描写の細やかさと、話の起伏がうまく書けているのですね、さすがです。
    運動会、がどこかリアリティがなくて、幻想的、のように思えたのはぼくだけでしょうか。
  • 恋人
    会話文のリアリティのなさがどうも浮いてしまう。
    浮いてしまうけど文章の良さは定評どおり良いのではないでしょうかー。
    ただ、結末が読めてしまうこと、描写が少ない所はいなめないのではないでしょうかー。
    そう思います。
  • 極楽家族
    大学時代の恩師の小説。
    じんわりと伝わる温かみの出し方がすごい。陳腐な言い方だけど、人生経験がにじみでてる。机の前にいるだけじゃ書けない作品。
  • 極楽家族
    短編集ですが、いづれも職を無くした男の日常を描いています(犬付き)
    次の仕事もどうにかなるさと思っていたのに、見つからないままずるずると暮らす日々。
    物語は淡々と進んで、仕事にがむしゃらだった過去の自分や出会った人々と話がところどころ挿入されています。
    このまま堕ところまで堕ちちゃおうかなと考えてみ...続きを読む