【感想・ネタバレ】河口へ(小学館文庫)のレビュー

あらすじ

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自らの体験をもとに建設現場で働く外国人労働者の姿を骨太にしてユーモラスに描く表題作のほか、「入水の夏」「待ち針」「菩薩」「ありふれた一日」の短編を収録しました。

※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。

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Posted by ブクログ

先日読んだ佐伯一麦さんとどこか似ています。
主人公達は皆建設作業員。言い方は失礼ですが、どこか社会の底辺に居る人たちです。その人たちの数日間を丁寧に切り出すように描かれます。
絵画でいえば写実派です。数ある風景の中から、そこを切り取ったということに意味があるようです。何かを声高に主張するのではなく、淡々と一つの風景が語られます。文体に特徴があるわけでは有りませんが、美味さは感じられます。
何故か引き込まれる作品です。

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2017年11月08日

Posted by ブクログ

「河口へ」
85年のプラザ合意以来、内需拡大路線を走ってきた日本は
バブル経済を迎えて、外国人労働者(ジャパゆき)を多く雇用した
最低賃金の上昇していくなか
いわゆる3K(キツイ・キタナイ・キケン)労働を低コストでまかなうには
国内だけでは人材が足りないのだった
そこに、老オカマや相撲くずれも加わっ
浦安の飯場は、ちょっとした異文化のるつぼと化していた

「入水の夏」
飯場の周辺で、楽しいことといえば飲む・打つ・買う
酒に博打に女であった
黒人兵との間に生まれた赤ん坊を抱え
入水自殺した女の呪いかなんか知らんけど
お楽しみにまつわる
いくつかの国際問題が、飯場周りで持ち上がってきた

「待ち針」
河口の飯場から見える対岸には東京ディズニーランドがあって
別れ話をするために、そこのホテルで妻と待ち合わせている
作業中のケガで仕事ができず
売血で稼がないと外出もろくにできやしない男は
なにをやっても上手くいかなかった人生を振り返ることで
気分を高めていくのだった

「ありふれた一日」
バブル崩壊後、不景気におそわれた日本では
みるみる仕事がなくなって
借金の返済をできない人が激増した
すると当然のことながら、資金を回収できない人も激増した
最初から踏み倒すつもりで借金する人はそうそういるもんじゃないし
希望に満ち溢れる未来のビジョンを描いてみせた者たちだって
こんなことになるとは思っていなかった
だれにも悪意があったわけじゃない
それで無責任な人たちばかり生き残った

「菩薩」
背中に菩薩の刺青を入れてからというもの
銭湯に行くと、人々が恐怖のまなざしを向けてくるようになった
布団を前にしては、スナックの姉さんにも怖がられた
人は見た目じゃわからないというのに…

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2019年01月23日

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