杉原厚吉のレビュー一覧
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英語で文章を書くことに主眼を置いているが、日本語の文章を書くときにも使える内容となっていた。人に正しく伝えるための文章を書く時のポイントが分かりやすくまとめられているが、これは英語であっても日本語であっても同じである。特に、文章の内容と構造の不一致に関するポイントや視点の移動についての注意は、日本語でも犯しやすいミスであるため注意が必要であると思った。また、くどいようでも省略したり言い換えたりせずに同じ語句を使うべきだ、という指摘は非常に良い指摘だと思う。この省略せずに書くことが普及すれば、”それ”や”これ”が前述の何を指しているのかに悩むことはなくなると思う。
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いわゆる「学術論文の書き方」の本。
大学受験の英語でも、「discourse
markerを適切に使うこと」「topic sentenceを最初におくこと」などがレクチャーされると思う。
学術の文章を英語で書く際にも基本的な原則はそのとおりなのですが、さらに文章のつながりや構成の自然さ、様式というものを知り、則ることが重要で、それをまとまって教わる機会は少ない(論文を書いて添削されることで実地で学ぶ、ことが多いのかもしれない)。
これは徒弟制度的に受け継がれる性格の技術であり、そのために研究者によって大きく書き方、哲学が異なるところでもあるのだが、この本では汎通性が高そうなことを扱っている、 -
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日常の中で数学的思考を使える場面を教えてくれる本。
できるだけわかりやすく、とっつきやすく書いてくれているものの、このような実践的な場面で数学を使うといった経験がない(かつ、考えたこともなかった)私にとっては、読んだ後に「さあ、数学的思考で考えるようにしよう!」とはならなかった。(演習が足りていなかったため、文系の私には理解するので精一杯)
ただ、本書を読んで率直に面白いなと思ったし、今まではいち科目でしかなかった、演習をこなすだけだった数学を応用することの面白さをほんのり感じることができた。
学生の時にこういう本と出会って、もっとこういう問題を解きたかった…!
特に面白かったのは、必ずしも -
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少し前に読んだ『はたらく数学』(篠崎菜穂子著)も、コンセプトとしては似た本だと思うのですが、今回読んだ本の方が、断然、いい本でした。
レイアウト的には今ひとつですが(苦笑)、一つ一つの話題が実生活に根付いており、かつ、意外性があり、さらには、必ずしも数式や数値を用いていない、という点は、非常に優れていると思います。
ちょいちょい、「物理の」話を盛り込んでいるのに、「数学」としている点が気になりましたが、普通の人にとっては、ほとんど違和感はないのでしょうね。
数学が得意な人には、数学の意外な側面を知る意味で、苦手な人には、数学の有用さを知る意味で、どちらにもおすすめの本です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
文法的に正しい英文でも、つながりが良くないと明快な文章にはならない。
本書は、コンピュータで開発された文章解析技術と、言語学の新文野である「談話文法」が明らかにした文と文をつなぐ画期的法則を紹介する。
この法則は、自分で書いた英文を客観的に眺め、自然な英文をつないでいくための道標となり、気のきいた言い回しよりもまず英文で主張を明確に表現しなければならない多くの人にとって、すぐに役立つ道具となるだろう。
[ 目次 ]
第1章 談話文法を利用しよう
第2章 話の道筋に道標を
第3章 中身に合った入れ物を
第4章 動詞が支配する文型
第5章 古い情報を前に
第6章 視点をむやみに移動 -
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英文作法となっているが、2章の前半くらいまでは「どう書くか」とほとんど同じ。
面白いのは3章からで、文章の構造に関して日本語英語問わず成立する性質を仮説として立て、それを基に日本語ではこういう構造となる、続いて英語ではこうなるという形で話を行い、極めて論理的に、科学的な文章を構成する方法を説明している。
例えば、5章では
「仮説5.1 文章の中の各文は、古い情報を引き継ぐ部分と、新しい情報を付け加える部分からなる。このとき、古い情報を引き継ぐ部分が早く表れる文ほど読みやすい。」
という仮説を立て、the、this、関係代名詞等での情報の引き継ぎ方の例文を示している。
著者のスタンスはあくま -
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文と文をつないで文章を作るときの文法が「談話文法」.これを,英語に不慣れな人が英語の理系の文章を書くケースに適用して,不適格な文章を書かないですむために最低限守るべきルールをまとめた本.
話の道筋に道標を
中身に合った入れ物を
古い情報を前に
視点をむやみに移動しない
というのが,ルールの柱.ほとんどは,言われてみれば当然というものだったが,視点の移動に関する部分ではそれほどピンと来ない所も.そういう所こそ,意識しないといけないんだろうな.
あとは,どれだけ実践できるかという問題.読んだだけでは効果のほどは分からないので,今のところは★四つ.
思いのほか薄くて,すぐ読めた