ヴィアンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
なんとも珍妙な逸品。物語の筋は若者たちの恋愛と友情、そして悲劇の物語だが、表現がほぼナンセンスな表現で読み手の許容力を試される。
うまく物語に入り込めることができれば恋愛、仕事、お金、趣味と価値観(シックの収集)などに共感出来る。
クロエが亡くなり葬式を頼む場面以降がぶっ飛んでいる。悲しい場面のはずがかなりの可笑しみが伴う。最早悲しみに暮れるコラン目線は放棄され、貧乏人の出す葬式のパロディと化している。
物語の冒頭から時折登場するハツカネズミと猫の会話で終わるシーンがひたすらシュール。
なぜデュークエリントンが持ち上げられるのかと思えば、あとがきによると作者と知り合いだったんですね。 -
Posted by ブクログ
『きれいな女の子との恋愛、それとニューオーリンズかデューク・エリントンの音楽。その他のものはみんな消えちまえばいい。なぜって、その他のものはみんな醜いからだ。』そんな著者のパンクな言葉から始まる本作。
青年コランは音楽と料理を楽しむ裕福な暮らしを愛し、労働とは無縁の生活をしていた。コランは恋人クロエと結婚するが、ある日彼女の身に異変が起きる。
コランの他にも恋人を持つ青年たちの恋模様も織り交ぜ、時に美しく、時に非現実的で、そしてそこそこグロテスクでカオスな描写もあり、ちょっと理解に苦しむところも。労働を嫌い、娯楽と恋に生きるコランの顛末とは。幻想的で残酷で、癖の強い作品です。
個人的には“肺 -
Posted by ブクログ
ネタバレマスターピースにはマスターピースとして語り継がれる理由があるとあると思うのですが、解説を読んで納得しました。きちんと時代背景とヴィアンの生涯を作品に昇華させていますね。
解説ではこのポップで独特な筆致を「言葉遊び」と「記号表現の遊び」と文学的な論理で詳しく解説していますが、要はファンタジックで絵本のような世界観を受け入れられるかどうかだと思います。僕も読み始めはどうかと思ったけど、意外と面白かった。
古典作品は難しい翻訳がつきものですが、これは訳者が頑張ったのか、結構サクサクと読めますね。一度目は予備知識なしで読んで、二度目は時代背景やヴィアンの生涯を理解した上で読みたくなります。
読む