ヴィアンのレビュー一覧

  • うたかたの日々

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    ネタバレ

    最初はただただ不可思議な物語世界に混乱するばかりだったが、よく夢に見るような世界なんだと思うようにしたらだいぶ読みやすくなった。
    夢の中ならちょっとくらいおかしなことも起こるから。

    クロエが病気になって以降、ただの幸せな夢の中から、悪夢の中に入っていくようだった。私は悪夢パートの方が読みやすく感じた。そう考えると、現実は基本的に悪夢なのかもしれない。

    数年後に読むとまた感想が変わりそうな1冊。

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    2024年01月13日
  • うたかたの日々

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    視覚的・感覚的な面白さを追求しているように感じた。
    最初は読みにくく感じたが、クロエが倒れたあたりから一気に読みやすくなった。
    情景と感情が同化した世界なのだ。
    作中には皮肉な視線もちりばめられていた。
    ハツカネズミがの存在がずっと温かかった。
    小さくて穏やかで優しく美しい存在だった。

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    2023年04月02日
  • うたかたの日々

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    なんとも珍妙な逸品。物語の筋は若者たちの恋愛と友情、そして悲劇の物語だが、表現がほぼナンセンスな表現で読み手の許容力を試される。
    うまく物語に入り込めることができれば恋愛、仕事、お金、趣味と価値観(シックの収集)などに共感出来る。
    クロエが亡くなり葬式を頼む場面以降がぶっ飛んでいる。悲しい場面のはずがかなりの可笑しみが伴う。最早悲しみに暮れるコラン目線は放棄され、貧乏人の出す葬式のパロディと化している。
    物語の冒頭から時折登場するハツカネズミと猫の会話で終わるシーンがひたすらシュール。
    なぜデュークエリントンが持ち上げられるのかと思えば、あとがきによると作者と知り合いだったんですね。

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    2020年07月23日
  • うたかたの日々

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    精神状態に呼応して周囲の世界までもが変わっていく面白い世界。1,2行で主人公が突然人を殺したりするし、その後はそのことには触れられもしない。
    「普通」の感覚で読んでいくと混乱するが、「そういうものだ」と思って受け入れていくとこの不思議な世界を楽しむことができる。

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    2020年01月11日
  • うたかたの日々

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    『きれいな女の子との恋愛、それとニューオーリンズかデューク・エリントンの音楽。その他のものはみんな消えちまえばいい。なぜって、その他のものはみんな醜いからだ。』そんな著者のパンクな言葉から始まる本作。
    青年コランは音楽と料理を楽しむ裕福な暮らしを愛し、労働とは無縁の生活をしていた。コランは恋人クロエと結婚するが、ある日彼女の身に異変が起きる。

    コランの他にも恋人を持つ青年たちの恋模様も織り交ぜ、時に美しく、時に非現実的で、そしてそこそこグロテスクでカオスな描写もあり、ちょっと理解に苦しむところも。労働を嫌い、娯楽と恋に生きるコランの顛末とは。幻想的で残酷で、癖の強い作品です。
    個人的には“肺

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    2014年08月28日
  • うたかたの日々

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    ネタバレ

    マスターピースにはマスターピースとして語り継がれる理由があるとあると思うのですが、解説を読んで納得しました。きちんと時代背景とヴィアンの生涯を作品に昇華させていますね。

    解説ではこのポップで独特な筆致を「言葉遊び」と「記号表現の遊び」と文学的な論理で詳しく解説していますが、要はファンタジックで絵本のような世界観を受け入れられるかどうかだと思います。僕も読み始めはどうかと思ったけど、意外と面白かった。

    古典作品は難しい翻訳がつきものですが、これは訳者が頑張ったのか、結構サクサクと読めますね。一度目は予備知識なしで読んで、二度目は時代背景やヴィアンの生涯を理解した上で読みたくなります。

    読む

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    2013年11月03日
  • うたかたの日々

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    読む際、頭の切り替えに失敗したせいで幻惑と翻弄されてばかり。なかなか癖のある物語で私にはシュールな具合とアイロニカルな感じがややきつ過ぎた作品でした。イメージが弾ける世界にはドラッグでも軽くキメたか、とことん寝不足の頭で書いたのかな? という印象を持ち、奇妙な感触が残ります。結局、最初から最後までつかみきれないまま読み終えてしまったのですが、今はそれでよかったと思っています。だってこのお話、écume(泡ぶく)なのですから、つかめたところで消えるだけですもの。好き嫌いがはっきりと分かれる内容だと思います。

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    2013年03月18日
  • うたかたの日々

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    絶妙なバランス。現実と虚構の渦が生み出す夢のような世界。

    肺に睡蓮が咲く奇病に取り付かれたクロエとコランの儚く繊細な日々。

    ピアノカクテル、小鳥のソーセージ、心臓抜き、、、、

    愛をこめて現実を破壊するヴィアンの魅力が凝縮された一冊。


    自分の選んだ職業のために、クロエの運命を知るコラン。そのシーンはとても印象的で好き。

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    2013年01月05日