キッチュ!これに尽きる。読みやすくてサクサク読みすすめられる。
ガジェット満載の楽しいB級文学といったところ。
そんなジャンル存在するのかどうか分からないけど、大好きだ。
例えば映画『唇からナイフ』を観たときの感覚。ワクワクする。
いや待て、そういやこれの映画版観にいったわ。いまはなきシネセゾン渋
...続きを読む谷かどっかでやってたような……?
映画もとことんキッチュだった、それだけ憶えている(笑)。
1968年製作だから30年近く経っての日本公開。そしてさらに20年が経過しようとしている今、新訳で原作を楽しむ——なかなか感慨深い。
この物語を完全視覚化するのは難しい。チャレンジングだったろうなー。
アニメと実写混ぜて現代風にアレンジしたら、面白い映像作品になるかもしれない。60年代風ファッションと相まって、これぞまさしくフランス流“kawaii”だ。
もちろんkawaiiだけじゃない。どころか、カラフルなイメージに突如ジャックインするグロテスクなシーン、言葉遊び、青春の儚さ、皮肉、喪失感、執着の成れの果て、斜陽、すべてが灰に帰す絶望などなど、よくよく考えたら全然明るくない。
この混沌とした物語世界に、シュルレアリスムの影響がないっぽいのも興味深い。
優れた作家かどうかはさておき、唯一無二な作品世界を構築した人だとは思う。
他の作品も新訳してくれないかなぁ。