山本美香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何故戦地に赴いて取材をするのか? 何故危険な地域で取材するのか?
丁度いまこの問題がクローズアップされているので、この本を手に取りました。
児童書として子どもたちを読者対象に書かれているため、内容も戦地に於ける子どもたちが中心となります。戦争で家や家族をなくした子、地雷で体に障害を負った子、少年兵として戦争に参加していた子、故国を追われて難民となった子。
各地での様子がその子の経験を通して伝えられます。そこにはその子らの写真と名前も添えられるためどこかの国の誰かの話でなく、例えばコソボに住む13歳の少年アデムの経験というように直接的に届くのです。現地に赴き当人と話したからこそ伝えられるものが -
Posted by ブクログ
ジャパンプレス所属のジャーナリストとして世界の紛争地を中心に取材し、ボーン・上田記念国際記者賞特別賞などを受賞。2012年8月20日シリアでの取材中、政府軍の銃撃により殺害された山本さんの最後の著書。東京へ行く新幹線の中で、一気に読みました。
読み手を小学上級向きとして書かれた本に登場するのは、山本さんが戦場で出会ってきた読み手と同じ年齢層の子どもたち。彼・彼女らが置かれている状況・傷つけられ事実・その中で受けてきた精神的な苦痛を読むと、ほんとうに心が痛みます。「幻肢痛(げんしつう)」(手や足を失った人が、ないはずの手の先やつま先に激しい痛みを感じること)を抱える子どもたちの消えることのない -
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世界の戦場を取材して、テレビや新聞などで報道するジャーナリストの山本さんは、小柄で普通の女性。なぜ戦争を取材するのか、迷っていた時にアフガニスタンで爆撃によって子どもを亡くした父親に出会った。彼は言った。「遠くまで来てくれてありがとう。世界中のだれも私たちのことなど知らないと思っていた。忘れられていると思っていた」…戦争ってなんだろう、戦争を終わらせるためにはどうすればいいのだろう。山本さんは未来を担う10代の子ども達に問いかけています。2012年、山本さんはシリアでの取材中、政府軍の銃撃を受けて亡くなりましたが、彼女の志と、未来への伝言がこの本の中にあふれています。
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Posted by ブクログ
世界では何がおこっているのか?
戦争・紛争・冷戦。今の日本に住んでては全く想像のつかない現実。
8/20にジャーナリストの山本さんがシリア内戦中、銃撃を受け亡くなったニュースは、衝撃が走った。
なんでこんな小柄な日本人の女性が戦場で取材をし続けたのか?
行動力だけでは、絶対に真似できない命がけの仕事。
命の危険を冒して迄、彼女が伝えたかったものは、何なのか?世界では何が起きているのか?なんで、ある国の人は寿命や病では死なず、争って死んでいくのか?
さまざまな疑問がでて、この人が本当に伝えたかった事を知らないといけないと思い、この本を読み始めた。
子どもでも読める様な分かりやすい、読みやすい本。 -
Posted by ブクログ
命を危険にさらしても伝えたかったことが、本当に命を失ったことで伝わるということ。記者が命を落とすたび、急にトップニュースになること。そしてやがてまた遠い出来事になること。何とも効率の悪い、地道な仕事だと思う。そしてこういう地道な仕事がやはり必要なのだと思った。
2003年、取材拠点としていたホテルが爆撃され、仲間の死を目の当たりにした山本さんが頭を抱えて「ちくしょぉぉぉぉぉ」と振り絞った声の生々しさがずっと耳に残っていた。けれど、それはそれとして私の記憶の片隅に置かれ、やはり外国の戦争は私にとって遠い出来事となった。あれから9年。今回の悲報に接してまた思い出して、すぐに著書を注文した。ニュー