入江昭のレビュー一覧
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ネタバレ本書で、1970年代以降、世界は国家という枠組みだけで捉えることはできなくなった、と述べている。
多くの人が、冷戦の終焉による多極化、911による見えない敵との戦いにより、世界の形は大きく変わったと述べるが、それに注目しすぎている点も否めない。
1970年代に世界はインターナショナル・リレーションズではなくトランスナショナル・リレーションズへと変貌していったからだと入江さんは述べている。
では、なぜ1970年代に入って世界はグローバル化してきたのか自分で調べてみたい。
また、文明の多様性と歴史認識の共有。この2つは、グローバル化が進む中で世界の課題になるだろう。 -
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日露戦争後の日本政府の外交方針が一貫して協調政策を重視し、一方で欧米は日本が列強国の一員になりつつあることに常に脅威を抱いていた。
1920年後半から幣原内閣の協調平和外交より軍部の強行路線が優位だった背景として世界恐慌などの経済不安定や
中国の過激なナショナリズムの展開で政情不安が増大したことがある。
日中戦争まで米国は親日であり反中であったが欧州の大戦でのドイツの動向により日本のアジア圏での地位確立が米国にとって脅威となったため反日に態度を変えたことは意外に感じた。
1930年頃の軍縮会議あたりから包囲網を整え日本を仮想敵国としてみていたと思っていたからだ。実際は日中戦争まで日米の貿易は頻 -
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ハーヴァード元教授の著者がだどる著者自身の研究者としての半生、そして研究内容の概論。ぼくは前者を楽しんだが後者は結構重く吸収しきれなかった感がある。学問の学びたてとかいう時期では仕方のないことかもしれないが先達の進んだ道が輝いて見えはするものの、彼らの語ることはほとんど理解できない。もどかしい。
1970年代からのtransnational な民間交流が現代をソテイしているという指摘は面白かった。一般論になるけど自分の持っているイメージに反する者こそあらまほしきものかな。自己の解体こそが読書の目的だろう。成長、っていうのは少し違う気がする。 -
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【由来】
・講談社のメルマガ
【要約】
・
【ノート】
・ニーモシネ
・歴史研究においては、もう、国家単位での把握ではなく、様々な主体による関係論から、ひいては環境も含めた全地球的な視野で捉えるようになっているらしい。グローバリズムが進むことによって、国家が相対的に弱体化し、また同時に、欧米のポジションも相対化していった。この結果、国家以外(例えばNGO)や新興国など、プレーヤーが増えていった。このため、世界史観が国単位から、よりそのスコープを拡張していった。
・これは、歴史研究において、目新しいパラダイムではないらしいのだが、自分は全く知らなかったので、興味深く読み進めることができた -
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現代哲学の流れにおいても、人間中心主義や西洋的理性中心主義の反省から、脱中心化的な動きがあった。歴史学のなかでも、国家間の「インターナショナル」の歴史から、国家の枠を超えた「トランスナショナル」、地球規模で環境などにも焦点を当てた「グローバル」な視点からの歴史認識への変遷が最近の動きという。また、軍事・経済面中心のハード・パワーから、文化や技術の影響力といったソフト・パワーに焦点を当てる流れにもなってきているらしい。
そうした中で、「歴史解釈」にはいろいろあれど、歴史自体は不変であり、歴史の事実について国家の枠を超えた人類の「記憶の共同体」の構築が必要である。
これを支えるのは、地球人としての -
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『日本の外交』(中公新書)の続編で、太平洋戦争後の国際状況の中での日本外交の歴史を扱っています。
東西冷戦という大きな枠組みの中で、戦後の日本がアジアにおける共産主義の防波堤としての役割を果たしながら、経済成長を遂げてきたことを概観するとともに、日本に確固とした外交理念が欠如していたことが、冷戦後の日本の外交の混迷を招いたという指摘がなされています。
日本の外交史に見られる枠組みが提示されていた前著に比べると、ややスケールの大きさに欠ける印象もあるのですが、いまだ評価の見定めがたい現代史を扱っている以上、やむをえないように思います。戦後日本外交史が分かりやすく概観されていて、おもしろく読み -
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著者は戦前に生まれ軍国主義的な少年時代を過ごし、その後アメリカ留学を経てそのままアメリカの大学の教授になった人物。本人の人生を振り返りつつ、歴史研究の意味や、過去と現在といったものの捉え方についての考えが述べてある。
3部構成だが、1部が自伝的内容。2,3部が本人の歴史観についての記述になっている。
著者の半生、すなわち著者が歴史を専門に研究するようになり、それから現在に至るまでの経緯は正に激動の時代を生きてきた人物という印象を受けた。こういう自分史じみたものはともすれば美化されがちだったりするものだが、著者の文章は非常に洗練された、いい意味でクールかつ公平を期したものとなっているので -
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[ 内容 ]
軍国少年として終戦を迎え、高校卒業後、渡米―シカゴ大学、ハーヴァード大学で長年教鞭をとってきた歴史家は、いかにして歴史と出会ったか?
過去と向きあい、現在を俯瞰する。
[ 目次 ]
第1部 歴史と出会う(一九四五年八月;一九三〇年代と戦時中の生い立ち;戦後の歴史教育 ほか)
第2部 歴史研究の軌跡(出会いの蓄積としての歴史;私の歴史研究)
第3部 過去と現在とのつながり(学問と政治;歴史認識問題の根底にあるもの;地域共同体のゆくえ ほか)
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