ジェロルド・パナスのレビュー一覧
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沈黙こそ生産的議論が必要とするプロセスなのだという点、よく腹に落としてくれた一冊。
後半ではドラッガーの思想に触れ「あなたは、どういう人物として記憶されたいですか」という問い、即ち「ミッション」を探るためにこそ質問が必要であるとしている展開は白眉。
七つの習慣で、コヴィー博士が引用している「黙りなさい、さもないとあなたの舌が耳を塞ぐ」というネイティブアメリカンの格言をより具体的に理解させ、良い質問は、沈黙を生みミッションの輪郭を相手に示させる。そして、本質的なコミュニケーションの基礎を築くということを明らかにしてくれた一冊だと感じました。 -
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・それから訊いてみた。「この買収はどういう点でライフ・ヘルスのミッション・ステートメントを実現する事になるのですか?基本理念に関してはいかがです?」
「それは」リックは口を開いたが、あとが続かなかった。
「私はただ」彼はまた言った。「攻めに出るいいチャンスだと思っただけなんだ。思い立ったら突き進むタイプだから」
私ははっとした。「ただ…だけだ」と聞くと、反射的に頭の中でアラートが鳴るのだ(「自分の中だけで完結している人間は器が小さい」というハリー・エマソン・フォスディックの名言を思い出した)。
「どうですか、リック、ミッション・ステートメントのどこに聖フランシス病院の心臓外科を乗っ取るのが基本 -
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「いい質問は安易な答えに勝る」が今作のテーマ。
冒頭のあるCEOの発言が、質問の重要性を端的にまとめている。
「コンサルタントにしろ、銀行家にしろ、弁護士にしろ、どういう質問をするか、
そして、こちらの話にどれだけ熱心に耳を傾けるかで、その人間の経験と
洞察力がわかる」(P7)
こうした観点から、問題の本質に切り込んだり、相手との関係性を深めたり、
はたまた自分自身を振り返るのに使える質問(パワー・クエスチョン)を
33(事例付)+293(質問事項のみ)個紹介している。
本書が特に優れているのは、「使うべきではない質問」を紹介しているところ。
たとえば、「(新しい地位に着任してから)想定 -
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ネタバレ人を変える、動かす、伸ばす、という何かを伝えて行動まで結びつけるためには、レクチャーをするのではなく、問いを投げかけ、考えさせることでしか効果は薄い。
この考え方はよくわかる。しかし、そこには、問いを投げかける側の人間と投げかけられる側の人間の関係性が重要なファクターとなると実感している。
下の人間(実際はともかく、そう投げかけられる人間が見ている人間)から問われてもそういう状態は起こりにくい。
本当にそうか?それを凌駕する質問力はないか?
と探してたどり着いた。
が、それほど具体的シチューエーションで生きるというより、経営コンサルという領域において知っておいた方がいい、という内容。
応用可能 -
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パワー・クエスチョンの実例が
うまく行き過ぎている印象を受けるが,
全体としては良書だと思う。
よく言えば,具体例が豊富とも言える。
悪く言えば,くどい。
問題に対する多角的な視点を持っている人ならば,
自然とパワー・クエスチョンができるのではないか?
そういう人には,本書は不要であろう。
しかし,パワー・クエスチョンが苦手な人にとっては,
よいキッカケになるのかもしれない。
アンチョコとしても使うのもアリでしょう。
ただ,本書にあるパワー・クエスチョンを使いまくると,
自分の頭で考えない人と思われてしまうかもしれません。
安易な質問は,
思考の放棄にも繋がってしまいますから。