黒嶋敏のレビュー一覧
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副題は、天下人はいかに服属を迫るのか。(2018年刊)
・はじめに
・序 章「武威」から見える天下統一の実態
・第一章 秀吉の九州「停戦令」
・第二章 秀吉の奥羽「惣無事」
・第三章 秀吉の武威と静謐
・第四章 信長と奥羽
・第五章 信長と九州
・第六章 信長の武威と東夷
・終 章 「武威」から見えた二人の違い
・おわりに
面白くて、読みやすく、為になる本には、なかなか出会えるものではないが、本書はそれらを兼ねていおり、久々に楽しく読む。
本書では、惣無事令の再考を促しているが、九州の事例と奥羽の事例を取り上げ、武威をキィワードに、二人の天下人が、遠国に対して影響力を強めていく過程を丹念に追 -
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織田信長との確執から京都を追われることになった足利義昭は室町幕府最後の将軍としてそれなりに知られており、例えば戦国時代を舞台とするテレビドラマなどにもよく登場する。ただ、その実際のところについて、どんな将軍だったのか、また将軍としてどのような意味があったのかなどを考えることはほとんどないだろう。
本書は、その室町幕府の晩年に生きた実の兄弟にして征夷大将軍を務めた足利義輝と足利義昭の考察であり、1歳違いの、またお母さんも同じ真の兄弟であるふたりがたどった足跡である。本書では本質的には相反する兄弟として解釈が進む。
歴史上の重要な地位にあったこのふたり、ただ兄と弟としての関係に視線を移せば、 -
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戦国時代、天下統一を成し遂げたのは、豊臣秀吉と徳川家康。2人の天下統一プロセスを比較し「天下統一」とは何か、を分析したのが本書。
一代で天下統一に至った2人が次に重視するのは日本中の大名を抑えることができる「武威」だ。戦う気さえ起こさせない、格の違いを見せつければ、天下統一を将来の子孫にも引き継ぐことができる。その武威の証明を秀吉も家康も日本国外に求めた点で一致している。
とはいえ、秀吉は朝鮮に攻め込んだものの、追い返される失態。その反省を踏まえ、家康は朱印船貿易や対馬から朝鮮との交渉、鹿児島から沖縄を支配するなど、平和的な手段で日本国王という地位を確立する。
かくして対外交渉のバトンは -
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秀吉から家康に引き継がれた、日本全体を一つの権力が治め、それに全ての地方領主等が服従するという一大事業を、「武威」という観点から捉え、更にそれを対外的な外交交渉にも応用しようとしたことが述べられている。
「武威」とは、自らの武力を背景に、服従する者は寛大にそれを許し、反抗するものは徹底的に武力によって懲らしめるという概念である。秀吉の驚異的な速度での「天下統一」はそれによって達成された。しかし、表面的に服従する者を許すため、臣下への支配力は弱く、政権の安定に苦心することとなる。
確かに、真の天下統一が達成されたのは、徳川政権以降ということになろう。
また、秀吉、家康両政権とも、この「武威」