箕田源二郎のレビュー一覧
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発表から40年の間に幾度も小学校の国語教科書に採用されてきた戦争児童文学の名作。8編からなるが、表題がおかあさんの木。
七人の息子がそれぞれ兵隊へ。その都度桐の木を植え、子どものように育てる母。この一言が胸に響きました。
『何もお前たちのせいではないぞえ。日本中のとうさんはかあさんが弱かったんじゃ。みんなして、息子を兵隊にはやられん、戦争はいやだと一生けんめい言うておったら、こうはならんかったでなあ』
私にもまだ8歳だけど息子がいる。たとえ非国民と言われても赤紙がきても、我が子を兵隊には出さんからねっ!と、テレビの国会中継を見ながら、そんなことを時の首相に向かって言ってみるけど、き -
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江戸時代に実際に出版された『算法少女』という本から着想を得て書かれた子ども向け時代小説。
子ども向け時代小説というと『肥後の石工』を思い出すが(実在の人物をモデルに虚実織り交ぜて作った物語という点で似ている)、読み物としては「石工」ほど重くない。
数学が得意で、芯の強さと、優しさを持つ主人公はちょっと素晴らしすぎて共感できるというタイプではないのだが(一昔前の道徳的児童小説の系譜にある)、女子でも自立して、意思を持って世のため人のために生きるというところが(発表の1973年当時としては)新しかったのだと思う。
現在は女子でも意思を持って、特技を生かし、生きていくというのが当然だし、そういう主人 -
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実在する「算法少女」というタイトルの江戸時代の算学テキストの出自にかんして、著者がストーリーを与えた小説。小学生の高学年から中学生くらいで読み切れる内容で、展開が少し作られ過ぎているようには思う。作り話というものを一つ価値が低いものとして見てしまう嫌いがあるが、江戸ものということで手にとってみた。少し前にドラマ「仁」が人気を博したが、江戸時代の貧しくも温かいというか、そういう雰囲気を感じる。
話は、あきという算法が得意な少女をとりまく物語で、根底には学問を通しての平等性と学問(と日本)は開かれるべきという主張がある。著者とその父との思い出が時代を変えて描かれた小説とも言える。