NHK広島取材班のレビュー一覧
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地元を離れてから10年くらい経つけど、マネー資本主義の考え方に完全にとらわれていると気づかされた。
結局お金がいくらあっても水・食料・資源という物質がなければ豊かな生活はおくれない。物質的に満たされているかどうかの方が断然重要だと思った。
個人的な考えとしては「里山資本主義」は外部に頼らず自立した生活がおくれることなんじゃないかと思う。もちろん、全てを自給して生活することはいまの時代不可能なのだが、稼いだり生み出したりしたものが外部に流出しているだけの状況では選択肢が狭まるだけで、豊かさとはほど遠い状況になってしまう。自分も東京一極集中の流れの中にいる1人だが、結局は自分の稼ぎがコミュニティや地域、国内で循環しているのではなく外部(海外)に流れてしまっているんだと思った。そうなると日本全体としても衰退することになってしまうと感じた。
マネー資本主義をやめて里山資本主義を目指しましょうという極論ではなく、そのどちらも良いところを活かしつつ、どこなら自立できるか、どこを外部に頼るのかなどの線引きが重要なんだと思う。
特に日本は資源を年間25兆円も輸入しているので、それだけ国富が海外に流れてしまっているということ。特に地域にいけばいくほど自給できておらず、収支が赤字。地域衰退の一因になっていると思う。これを地域に眠る資源でエネルギーを生み出し、自給できるようになれば個人や地域としても、国全体としてもプラスになることが多いと感じた。
その点で、本書で取り上げられている地域やオーストリアの事例は今後の道筋を非常に明確に示してくれていると思うし、全国各地で広げていけばより大きな影響が出てくると思う。 -
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ネタバレ里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く
ちょっと題と内容が違うかな?という感想を最初持ちました。良い意味で期待を裏切られた内容です。
オーストラリアや広島の事例をひきながら、マネー資本主義の対立した概念として里山資本主義という言葉を使っています。それ以上に、対立概念であるマネー資本主義の補完システムとして里山資本主義を位置づけているところが、斬新です。
昔の暮らしをするというとコミューンとして厳しい規律を課してその主義を守るという方向になってしまいますが、本書では、最新テクノロジーを使って快適にかつエネルギーや食糧、水を自給して暮らすことを提案しています。
また、過疎や人口減少は、こういった試みを行う最も適した環境であるという主張は、イノベーションは壊すことからはじまりますが、その壊すというフェーズをスキップすることができるという意味で斬新です。
高度成長の昭和のマッチョな成長こそが幸せへの道という古い考え、既得権益、思い込みといったものをどのようにゆっくりと変えていくのかが大きな課題だと思っています。
できることからはじめる。それが、本書の教えです。
竹蔵 -
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里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く
著:藻谷 浩介
著:NHK広島取材班
角川新書 D-67
ところとびとびになっているが、分かりやすかったです
本旨は、20世紀を象徴する、「マネー資本主義」に対して、過疎地から、あたらしいスマートな、「里山資本主義」を立ち上げようです
ふんだんに手にする木材がなぜ地域の豊さとつながっていないのか という問いから始まった
気になったのは、以下です
■里山資本主義の原資
1.木質バイオマス発電
中国地方の山間部から、里山資本主義は誕生した
①製材所でもてあましていた、木くずをつかって、「木質バイオマス発電」を行うこと
②製材所の電力を100%まかなう
③夜間は、その電力を電力会社に売電する
効果
②製材所電力 100,000,000
③売電 50,000,000
①廃材処分費 240,000,000
合計 390,000,000
2.木くずを加工
かんなくず、などを、直径6mm長さ20mm の木製ペレットを作成
ペレットボイラーを導入
⇒トマトのハウス栽培などの燃料節約に活用
3.CLTパネル 地震にもつよい、直角に張り合わせた合板
ヨーロッパでは認知がすすんでいるが、鉄筋コンクリート神話がある日本では、普及途上
■里山資本主義の先進国:オーストリア
・木の徹底利用で、経済の自立を目指す
・オイルショックや、フクシマなどで、石油、原子力は価格変動、リスクが高い
なんとなれば、木材をつかったエネルギー革命だ、打倒化石燃料
・背景には、自動車部品メーカーが集積する高度技術を有していること、つまり、技術に強い
・森林マイスター:森を持つなら、手入れをしっかり行わなければならない、それがオーストリア林業の哲学
・オーストリアは、脱原発を憲法に明記している国家である
■マネー資本主義vs里山資本主義
・20世紀の象徴である、マネー資本主義は、重厚長大産業を基盤として、莫大な投資、労働力の集約が必要な資本主義、このために、国家主導で、推進せざるをえなかった
・里山資本主義は、自己完結型の経済、地域復権の時代の象徴である
里山資本主義は、マネー資本主義に対立するものではなく、補完するものである
マネー資本主義にとなりに、サブシステムとして、里山資本主義も構築しておいたほうという感である
・里山資本主義は、マネー資本主義のアンチテーゼ
①貨幣換算できない物々交換の復権
②規模の利益への抵抗
③分業原理への異議申し立て
■グローバル経済からの奴隷解放
・過疎の島こそ、21世紀のフロンティアである
・1次産業へ帰着する若者、IT産業の倍以上である
・ニューノーマル消費:自分たちのための消費ではなく、人とのつながりのための消費
所有価値から使用価値へ
・オールドノーマル消費は、成長が是
・グローバル時代は、強い者しか生き残れないという、誤解
・耕作放棄地で、農業を行う
・スーパーなどでの野菜の購入ではなく、耕作放棄地で野菜を作れば、買う必要はない
・過疎を逆手にとる
■スマートシティ
・巨大発電所がもたらす膨大な電力を有する旧型の都市ではなく、町中や、近隣で作りだされる小口の電力を効率的に消費し、自立する21世紀型の新都市モデルを、スマートシティという
・都市:スマートシティ + 農村:里山資本主義 が、車の両輪となる
・天災に対応できるのは、里山資本主義
・マネー資本主義を運用しつつ、里山資本主義を、保険として、安心感として、準備する
・高齢化しているから日本はだめだと言う論理ではなく、里山資本主義で、非貨幣価値を拡大させることで吸収する
目次
はじめに 「里山資本主義」のススメ
第1章 世界経済の最先端、中国山地―原価ゼロ円からの経済再生、地域復活
第2章 二一世紀先進国はオーストリア―ユーロ危機と無縁だった国の秘密
中間総括 「里山資本主義」の極意―マネーに依存しないサブシステム
第3章 グローバル経済からの奴隷解放―費用と人手をかけた田舎の商売の成功
第4章 “無縁社会”の克服―福祉先進国も学ぶ“過疎の町”の知恵
第5章 「マッチョな二〇世紀」から「しなやかな二一世紀」へ―課題先進国を救う里山モデル
最終総括 「里山資本主義」で不安・不満・不信に訣別を―日本の本当の危機・少子化への解決策
おわりに 里山資本主義の爽やかな風が吹き抜ける、二〇六〇年の日本
あとがき
ISBN:9784041105122
。出版社:KADOKAWA
。判型:新書
。ページ数:312ページ
。定価:940円(本体)
2013年07月10日初版発行
2013年09月20日4版発行 -
Posted by ブクログ
220206
やはり自然が好きだ。この分野でお金を産むことができたらどれほど楽しいだろうかと妄想してしまう。オーストリアのような確立されたバイオマス文化を作れたら面白いだろうな。(エネルギー事業、エンターテイメント事業、キャンプ、教育、食…)飯能などを舞台にクラファンとかを使って事業を起こせないだろうかと考えてしまった。
オーストリアで林業を学ぶのもアリだよな。
里山資本主義とは地域内で完結するものは完結させようという運動。かつ開かれた地域主義。
マネーに依存しないサブシステムの構築。(自然×人間関係×テクノロジー)
筆者の主張は一貫して、お金に依存した社会から脱却して、食料・燃料・水を自ら調達してマネー資本主義と共存したしなやかな世界を生きようというものであった。そして後者の生き方を里山資本主義と呼び、さらにそこで職を生み出していることも含め、それを実現している人々の生活をオーストリアの例も交えながら具体的に解説していた。
今まで家庭菜園を通した食の安定的な確保や余り物を媒介にしたコミュニティづくりは学生時代に目にしてきたのでそこまで目新しさを感じなかったが、燃料を自らかつエコシステムで調達している事例は初めて出会ったので衝撃的だった。小さなまち単位でもいいから木質バイオマスエネルギーを普及させてみたいと思ってしまった。飯能でできないだろうか。
この世の中(マネー資本システム)はまれに災害やウイルスの蔓延、石油などの化石燃料の高騰などにより一時停止することがある。未曾有だとか、今までにないなどと言ってパニックになるのではなく、これを念頭に置いて暮らしていくと余計な不安を抱えずに生きることができるなと思った。里山を使いこなしていた先人から学び、今の社会システムに組み込んで柔軟な生き方をしていきたい。近くに親がいるなら子どもを任せてもいいし、近所の人に面倒を見てもらってもいいし、誘導しつつ状況に合わせて柔軟に生き方を変えていく。まずは家庭菜園からだなぁ。
■マネー資本主義のアンチテーゼの体現
1.物々交換(⇆貨幣を介した等価交換)
2.小規模経済(⇆規模の利益)
3.一事業者多事業(⇆分業の原理) -
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資本主義といえば、「より多く稼ぎ、より多く消費することで豊かになる」という成長志向の経済モデルが一般的だ。しかし、本書が提唱する「里山資本主義」は、その対極にある発想である。
例えば、岡山県真庭市の林業モデルが示すように、「支出を収入に変える」という視点を持つことで、新たな経済の形が生まれる。木材廃棄物を燃料に変え、外部エネルギーに頼らない地域経済を形成することで、世界のエネルギー価格変動に左右されない持続可能な仕組みを実現しているのだ。
この考え方は、単なる「スローライフ」の提案ではなく、マッチョな資本主義に対抗する「したたかな経済戦略」でもある。成長を追い求める資本主義と、地域資源を活かした持続可能な経済を両立させることで、本当の意味での「豊かさ」を築くことができるのではないだろうか。 -
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里山資本主義。なんて良い響きだろう。
2013年の本であるが、情報と考え方は10年以上経った未だに行きている。
寧ろ、様々なSNSを通して情報共有が盛んになった今からが勝負なのではないだろうか。
もちろん、それらはデメリットもある。
情報だけが先行したり、間違った広まり方をしたり、一時的な流行り廃りに巻き込まれてしまったりなど様々に。
しかし、選択肢として拡がるべき考え方だとこの本を通して改めて思いました。
本の内容としても里山資本主義とは何かと丁寧に説明され、形式として掴みやすかったです。
けれど成功例ばかりが載ってしまっているため、鵜呑みにするのは怖いと感じました。
それと最終総括も急に政治色が強くなりよく分かりませんでした。
それまではとても面白く読み進めれたので、またいつか読み直しもするつもりです。
少し話が飛びますが、2000年から2010年頃に一次産業(主に農業)を生かしたい人たちの本がよく書かれ、売れている気がします。
これはバブル経済で疲れた人たちが、大人になって本という形で発表し始めたんじゃないかと個人的に思っています。
これからもどんどんこの風潮が広まっていくことを願います。 -
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地方での持続可能な生活スタイルに関する多くの現場の知見と、経済に関する知見を両輪としていて説得力がある。
また文章も凄い。論文調ではなく、ドキュメンタリーのナレーションを読んでいるような心地よさがある。その分だけ自然、健康、地方の人間社会といった要素を消化しやすくするような描写も多いため、素早く要点を読み解いていくには速読的な読み方が必要になるだろう。
文圧があり焚きつけるような熱意、強い主張を感じる。自分の重視する価値観に大半合致するため嫌味は感じないが、冷静に評価するためには意識的に一歩引いて全体像や自分の場合の実現可能性を検討する必要があると思う。
さて内容についてだが、自然と一体になる関係性や、自然・人・食との関係性から生じる心身の健康、直接的・積極的人間関係の見直しによる福祉の強化といった視点は私が普段から良しとする価値観であるが、これはやはり人の好みや向き不向きに大きく左右される。
資本主義に包摂され育った人間の、とりわけ持てるがため成功している側は、里山の魅力よりも資本主義的・都市的生活スタイルの方により満足感を得る傾向があって、本書でされる啓蒙を啓蒙と感じない。
里山資本主義の魅力や強みは、既存のマネー資本主義を完全否定はせず、スマートシティと里山資本主義の両立をむしろ推奨する点にある。
向き不向きや好みの差、人の性質の差はどうしても生じてしまうし、多様性重視の観点からもその差は残しておきたい。
スマートシティによってポジティブな人間性を取り戻すのも別途応援したい部分だ。
少なくとも現在、といっても本書から既に10年以上が経過してしまっているが、現在においてもまだマネー資本主義の比重はあまりにも大きい。
「新しい資本主義」として岸田政権が打ち出すのは投資立国であって、これは本書内で棄却されたアイデアの一つでしかない。
パンデミックは大きな意識の変化の種を植えたが、解決後まもなく生活スタイルは元に戻ってしまった。
ソロキャンプのブームも既に落ち着いてしまい、週末には都心の公園にテントを張っているのが多くみられる。
地方移住の例は調べれば多く出てくるが、既存の都市ー地方バランスを大きく変えるには至っていない。
日本人の意識やライフスタイルはじわじわと変化していくのだろうか。
少なくとも私は都会が性に合わず、今すぐにでも東京から脱出したい気持ちを10年以上にわたって持ち続けているが、結婚によってその実現可能性がほぼ潰されてしまっている。
自分の影響の輪の範囲で、可能な限り里山資本主義的ライフスタイルを増長できるように頭をひねり続け行動し続けようと思う。 -
Posted by ブクログ
お金の循環が全てを決するという前提の「マネー資本主義」に対して、身近にある資源活用に着目し、お金がなくても水・食料・燃料が手に入る仕組み「里山資本主義」を提唱する。NHKのドキュメンタリー番組を元に書かれた本で、発売から3か月で16万部が売れたとか。
発売されたは2013年。東日本大震災により、都市部での計画停電や物流の脆弱さ、原発への不安といった経験から、お金に頼らない安心安全なエコシステムを作る大切さを説く。当時は東日本大震災であったが、今はコロナや戦争、食糧難など、昨今の情勢に当てはめてもやはり里山資本主義はもっと注目されてしかるべきと思う。
本書で取り上げられていた指標が興味深かった。通常国単位で見る貿易収支を、地方自治体ごとに見る考え方だ。要は地方自治体の中でどれだけ自給できているか、域内で経済を循環できているか。結論としては石油・電気・ガスを買うために多くの金額を域外、ひいては国外に払っており、一番の赤字要因になっている。一方、地下資源に乏しくロシアといった国外からのエネルギーに依存しているオーストリアは、10年も前から危機感を持ってエネルギー自給への転換に取り組んでいるという例は、昨今の情勢を踏まえるとさらに興味深かった。10年前に例として紹介されていた取組や企業を検索しながら読み進めると、時間の経過によって導き出されたとりあえずの「答え」も見えて面白い。
自分自身も結婚を機に昨年東京から地方へ移住し、オットの実家の裏山から持ってきた木で薪ストーブを燃やすようになった。畑仕事を終えて、温泉で話しているおばあちゃんたちは本当に元気だなと思うし、東京では感じられなかった自然のありがたみや季節の移ろいを感じて、非常に充実感を得ている。東京にいたときよりも、断然里山資本主義に近い暮らしをしている点で、力を込めて本書を読んだ。続編も読んでみよう。 -
Posted by ブクログ
マネー資本主義が危機を迎えると、対抗運動がしばしば力を持つ。昔はそれが「共産主義」一択で、マルクスがその頃よく読まれたりするが、「里山資本主義」も含めて選択肢が増えているのは良いことだと思う。
2022年現在のような、国際情勢が不安定な時はエネルギーや食べ物を海外に頼るのはリスクが高い。それを国内にある使われてない「資源」=耕作放棄地、手付かずの山林、空き家などを活用していくのは共感できた。
里山資本主義はマネー資本主義を補完するサブシステムと紹介されている。しかしそれは資本主義を一度通すと、ただの里山への回帰に留まらず、一段洗練された姿(スマートシティのような)になるのかなと思い、将来主流になって行く可能性も感じた。否定の否定みたいに。