コンテナのおかげでニューヨークとリバプールは凋落した。
釜山やシアトルが世界のトップになった。
コンテナは労働者にメリットもデメリットももたらした。労働環境は改善したが待遇改善に終止符が打たれた。
海上貨物運賃は、輸出輸入の10%以上を占めていた。関税以上に強力な参入障壁だった。
積み出しと荷揚げに費用がかかる。コンテナで削減できないか。しかし貿易に与えた影響は軽微だった可能性もある。
エジソンの白熱電球は20年後でも普及率は3%。普及には発明だけでなくイノベーションが必要。コンテナも同じで普及には時間がかかった。
コンテナの規格は紆余曲折を経た。鉄道、トラックなどと合わせる。
マルコム・パーセル・マクリーンが改革してコンテナを普及させた。運送業者から身をおこし、旺盛な事業拡大意欲で事業を拡大。海運業に全財産をつぎ込む。
トラックに箱ごと積み下ろしする。
ニューヨーク対ニュージャージー。ニューヨークは古くからの港で設備が老朽化、ニュージャージーがコンテナ化した。
コンテナの規格は鉄道のように、自然には定まらない。高さは8フィートまたは8フィート6インチ、長さは20フィートから40フィートまで。幅は早くから8フィートと決まった。航空便のコンテナは別仕様になった。荷重の問題。
コンテナ輸送は過当競争を呼ぶ。荷揚げ設備が必要なので寄港地は削減し、その間をトラック鉄道輸送がまかなう。クレーンと巨大なコンテナヤードが必要。
その結果。ロッテルダムが世界最大のコンテナ港になった。
マクリーンのシーランドは、たばこ会社のレイノルズに売却された。巨額の投資が必要になった。安価な石油価格を背景に高速船を建造。エレクトロニクスメーカーにコンテナは活用された。
コンテナは、スタートから大規模にやる必要がある。在来船は荷物を求めてあちこちに寄港したが、コンテナは定期航路、高頻度サービスで大量に持つをさばく必要がある。その結果供給過剰になる。
コンテナ船はランニングコストがかかるから、船を休止させておけない。
オイルショックの原油高で、荷物の量が減る。
高速船は燃費が悪く使えない。マクリーンの高速船は海軍に引き取られた。
レイノルズは海運事業を売却。景気に左右されやすい。海運業者が売るのはコモディティと同じ。
マクリーンは、従来のライバルユナイテッドステーツ海運を買収。超大型船で低燃費の船を建造。速度が落ちたため、流線型にしないで荷物を大量に詰める形。
パナマ運河を運航できる最大舟型=パナマックス級。さらにオーバーパナマックス級も建造された。限られた港を往復する。シンガポール~ロッテルダムなど。
寄港地は少なくなる。日本からサンフランシスコ行きの荷物はシアトルで下ろされる。
サッチャー首相は港湾施設に多額の投資が必要なことに嫌気を刺し、21の港を売却した。他の国も追従。
原油価格の下落で産油国向けの荷物が減少し、ユナイテッドステート海運は倒産。
コンテナによって巨額の費用が必要となり、生き残った海運会社はわずか。
船の速度は、原油価格に左右された。
コンテナは動く倉庫。保管費用が削減された。
混載船の時代は荷主は力が無いが、コンテナになると荷主がまとまれば海運会社を左右した。オーストラリアの輸出農家の例。
公定運賃は力を失う。コンテナは世界経済の規模を大きくした。
バービー人形は1959年の時点で、生産を日本で行うことにしていた。当初から世界のサプライチェーンを使っていた。
製造業は当初、垂直統合を目指した。運賃が安くなるとサプライチェーンを作るようになった。
世界のコンテナの20%は空。
コンテナによって反映する場所と不利な場所ができた。
アントワープ、ドバイなどコンテナによって都市化した都市ができた。
かつてはパナマ運河、今はマラッカ海峡で船のサイズを決める。マラッカマックス。さらに船が大きくなるか。