簗瀬一雄のレビュー一覧
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「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし」
というのは、誰も読んだことのある方丈記の書き出し。
これだけ、読んで、分かった気になったのだけど、先日、「徒然草」を読んだ流れで、ついでにこちらも読んでみた。(すみません。ついでで)
これまで、どんな本だと思っていたかと言うと、「世の中は無常だね、世間に住んでいても空しいよね。山に引っ越して住んでみると、自然とか、季節の変るのはいいもんだね。ときどき、昔のことを思い出したり、好きな本を読み返したり。貧しい暮らしだけど、 -
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鴨長明が源平合戦の頃に著した作品で、『徒然草』、『枕草子』と並ぶ、日本中世文学の代表的な随筆のひとつ。
作者の鴨長明は、古来の名族で上賀茂・下鴨神社の氏神を祖とする鴨一族に生まれ、7歳で従五位下の位階を授けられたが、18歳の頃に父が病死した後、一族の権力争いに敗れ、挫折感を噛みしめる20代を送った。そして、同じ時期に、本作品にも記される、安元の大火、治承の辻風、福原遷都、養和の飢饉、元暦の大地震という天災・人災に遭遇し、こうした体験がベースとなって、晩年に、「無常」をテーマとする本作品を書き綴ることになったのだという。
日本人は、「永遠なるもの」に美を感じ取る西洋人と異なり、「移ろいゆくもの」 -
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方丈記は以前読んだことがあるのだが、新たに角川ソフィア文庫版で再読した。
地震、台風(竜巻?)、火事、飢饉などの災害の記録として貴重なものだろう。そして平家物語冒頭と同様の無常観が著者のパースペクティヴを支配している。
この無常観はもちろん、仏教由来のものであり、鴨長明は出家して「隠遁」したのであるから、その地点に立っているのは極めて自然だ。
しかし現在の我々は「隠遁」する場所を失ってしまった。
隠遁がゆるされない無常の世界をいま生きている。この本を読みながらそんなことを実感した。
なお、この本は注釈が優れていて、現代語訳をいちいち参照しなくても読み進めることができた。 -
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「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」
の名文から始まる有名な古典文学です。
遠い昔に国語で習ったことがあるのでしょうが、全く覚えておらず、ちゃんと読んだのは初めてでした。
意外だったのは、人生観のようなものを語るのみでなく、遷都、辻風、大火、飢饉、地震といった人災、天災についても克明に記録しているところです。特に飢饉のパートはその凄まじさがよく分かる文章でした。
最近読んだベストセラーの「限りある時間の使い方」という本に、他人の目を気にせずに自分のやりたい事に打ち込むことが人生の満足度に貢献すると書いてありましたが、世俗を捨てて小さな庵を結び、自身の思うままに暮らした鴨長明