奈良本辰也のレビュー一覧
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新渡戸稲造の豊かな知識に、まず驚かされる。
今のように、スマホがあれば調べたいことがすぐにヒットする時代ではない。明治から大正にかけてのあの時代で、縦にも(時系的に)横にも(地理的に)ここまで博識な人はいただろうか。
さまざまな事例を挙げて、キリスト教や騎士道などと比較しながら武士道について説明しているのだが、とにかくわかりやすい。日本人特有の感性や価値観、生き方には当然今のわたしたちにも通じるものがあり、納得できた。
新渡戸稲造は最後に、武士は居なくなっても、その精神は消えないだろうと思っていたはずである。そして今、私たちの道徳的観念としてきちんと武士道は根付いているのだと思った。
ただ -
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ネタバレ武士道は中学生の頃に一度読んだがよく理解できなかった。
ので、十数年ぶりに再読するためにこちらを購入した。
非常に読みやすく、今回はとりあえず理解できた(はず)。
武士道はすばらしく美しい構造を持っているが、
これを現代で貫こうとするのはやはり困難である。
単純で稚拙な感想かもしれないけど、
むしろせっかく現代を生きているのだから
西洋的思考とこの武士道感覚をうまく混ぜ合わせ、
それを自身の言動に反映させたいと思った。
個人的には「礼」についての記述が好きだった。
「礼儀は慈愛と謙遜という動機から生じ、他人の感情に対する優しい気持ちによってものごとを行うので、いつも優美な感受性として表わ -
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<読み始めた背景>
最近話題になったディズニー作品の『SHOUGUN 将軍』きっかけで、「武士道」とは何なのか。当時大事にされていた考え方や価値観はどのようなものなのか気になり読み始めました。
<内容>
本著は、1899年に新渡戸稲造が英文で出版したものを翻訳して出版された本です。
西欧の騎士道やキリスト教、儒教や陽明学など他の宗教の教義や行動規範とを比較しながら武士道の根源と封建制度との関わり、そして日本社会に及ぼした影響などが書かれています。
<特徴(少しネタバレ)>
この本は1世紀以上前に書かれた英語原文を翻訳しているため、少々古い言葉や難しい単語が使われています。それを調べな -
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序文で読んだ内容で刺さった箇所が僕には十分だった。ベルギーのラヴレー氏との会話が宗教の話題に及んだ。「あなた方の学校では宗教教育というものがない、とおっしゃるのですか」と尋ねられた。私が「ありません」という返事をすると、氏は驚きのあまり突然歩みをとめられた。そして容易に忘れがたい声で、「宗教がないとは。一体あなた方はどのようにして子孫に道徳教育を授けるのですか」と繰り返された。
これを読んで日本人である自分の大学で一単位だけ学んだキリスト教学の判定が良であったことを思い出した。
最近この国では宗教がさまざま現れて、寧ろ超えられないと感じる。
武士道からだ著者が学んだことをこれから暇暇に呼んでい -
Posted by ブクログ
原文だけでなく、語釈、現代語訳もあるので読みやすいです。
目次
解説 松陰の人と思想
留魂録
要駕策主意
幽因録
対策一道・愚論・続愚論
回顧録
急務四条
書簡
留魂録の 「至誠にして動かざるものは未だこれ有らざるなり」を大切にしたいと思います。
しかし、「誠」の境地に至ることは決して容易ではありません。
森信三『修身教授録』によると、「お互い人間の真には、もうこれで良いということはないからです。すなわち、もうこれくらいなら良かろうと腰を下ろしたんでは、真の誠ではないからです。真の誠とは、その時その時の自己の精一杯を尽くしながら、しかも常にその足らざることを嘆くものでなくて -
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2021/09/09
道徳が価値をなさなくなった、などと耳にすることがある。果たしてそうだろうか、と考え直す契機となる一冊だ。
新渡戸稲造が生きた時代は、現代同様に大きな荒波に揉まれるような状況にあった。そんな中で彼は「武士道」について、多様な西洋思想と比較しながら検討した。
訳版ということもあり、内容も噛み砕かれてあって理解し易い作りだった。そもそもの構造がロジカルで、違和感を感じない。
この一冊を読み、「自身が何に価値を置くか、考え続ける」ことが重要だと思った。脈々と流れる大和魂は現代においては、ただの役立たずかもしれない。だが、その中から学ぶべきことがあるのも事実だろう。