イチロー・カワチのレビュー一覧
-
ネタバレ 購入済み
健康的な社会を目指して
一部ご紹介します。
・人は、社会経済的状況によって、すむ家や食べ物、医療へのアクセスなど健康状態を左右する要素が決められてしまう。
・所得格差によって、国民の健康状態に悪影響を及ぼすことがある。高所得者が今まで社会で賄っていた教育、医療、警備などの基本的なインフラに関して、自腹を切って、自分たちのためだけに個人で負担するようになる。その結果、高所得者は、自分たちの税金が他の人のインフラを支えることに不満を募らせる。
最終的に、社会インフラの質が低下し、地域全体の健康状態の悪化を招く。
・所得格差の是正、幼児期からの早期の教育、職の安定が必要だ。
・幼児期に100万円の教育投資をす -
Posted by ブクログ
日本出身でハーバード大教授の社会疫学者。専門書では翻訳が何冊か出ているが、新書で著者の研究をわかりやすく解説された書籍。米国は医療費を多額にかけながら、低い健康水準であるが、その大きな要因は経済格差である。低所得層が影響をまず受けるのはわかるが、高所得層にも影響を受ける。資本主義である限り、格差をゼロにする事はできないが、格差を少なくする戦略として、①所得格差の是正②幼児期からの早期の教育③職の安定、が必要と著者は言う。そして社会全体をよりよくするための仕組みを作り、一人一人が行動を変えやすくするための環境を整える事が大切。個人の行動変容は、社会全体の枠組みを形成する中で、はじめて実現可能とな
-
Posted by ブクログ
ハーバード大学の日本人教授、
イチロー・カワチ氏による社会疫学についての紹介・解説書です。
たとえば、肥満で生活習慣病になってしまったひとがいるとする。
血圧も高い、血糖値も高い、などを改善していくために、
お医者さんが薬を処方し、運動不足を解消するように促したりする。
そういうのは、健康を大きな川の流れに喩えると、
下流での対処のしかただと、カワチ氏はいいます。
社会疫学は、川の上流で対処をするための学問。
上流ではなにが起こっているかを考えると、
貧困によって粗悪なスナック菓子や惣菜などを食べざるを得なくなっていたり、
それらの営業宣伝がうまく感情に訴えることもあって、
食生活に溶け込ん -
Posted by ブクログ
”格差は負け組だけでなく勝ち組の寿命も縮める。“という衝撃的なメッセージに惹かれ、読み進めた。
医者から研究者への転向は、患者の容態が「目に見える世界」から、社会全体を見渡して健康の要因を探る「目に見えない世界」への転向だった。
医者としてやっていることは傷口にただ絆創膏を貼っているだけ。根本的な解決はできていない!!
問題を上流から解決する!!
→医学だけでなく、パブリックヘルスが大事!!
健康と貧困に焦点を当て、
⭐️日本の長寿
日本の長寿は、人々の絆、隔たりの社会による。
ex向こう三軒両隣、お互い様、情けは人のためならず
しかし、、
最近は、非正規雇用の増加による格差から人と -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」の観点から健康を考える本。
社会から経済的な格差がなくなることはない、ということを踏まえた上で考えるべきは、それにより生じうる健康の格差をいかに減らしていくかということ。
一つ一つの病に対処していくだけでは、経済的に、教育的に下方にある多くの命が零れていく。
これをどうにかするには、病気の根本となる「上流にある問題」に目を向け、健康の土台となる社会全体の環境づくりに取り組まねばならない。
教育への投資、仕事の裁量度の工夫、地域コミュニティの構築などなど、考えられる方法はたくさんある。
とにもかくにも、全体の水準を上げることこそが、全ての人にとって利にな