【感想・ネタバレ】命の格差は止められるか ハーバード日本人教授の、世界が注目する授業(小学館101新書)のレビュー

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健康的な社会を目指して

mac
2022年09月30日

一部ご紹介します。

・人は、社会経済的状況によって、すむ家や食べ物、医療へのアクセスなど健康状態を左右する要素が決められてしまう。
・所得格差によって、国民の健康状態に悪影響を及ぼすことがある。高所得者が今まで社会で賄っていた教育、医療、警備などの基本的なインフラに関して、自腹を切って、自分...続きを読むたちのためだけに個人で負担するようになる。その結果、高所得者は、自分たちの税金が他の人のインフラを支えることに不満を募らせる。
最終的に、社会インフラの質が低下し、地域全体の健康状態の悪化を招く。
・所得格差の是正、幼児期からの早期の教育、職の安定が必要だ。
・幼児期に100万円の教育投資をすることで、やがて年間17万円分の『利益(健康や年収など)』が入ってくる。
・女性のストレスを少しでも減らすには、男性も家事に参加することが大事。
・体に悪いものに課税する。逆に健康的な商品、サービスに対して、政府が補助金を出す。
・国民全体の健康状態を底上げするには、労働時間に制限を設けたり、地域の治安を良くすることが先ずは必要だ。
・自治体の取り組みを応援する。
・法律や制度の改正に対して声をあげる
・健康的な取り組みを推進する政治家に投票する
・人とのつながりを重視する

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Posted by ブクログ 2017年09月21日

これは名著。

健康格差とソーシャルキャピタル、ポピュレーションアプローチや社会疫学について、分かりやすく丁寧に解説してくれている。

健康づくり政策にとっての行動経済学の重要性まで触れていて、関係者必読の本。

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Posted by ブクログ 2016年03月17日

健康を「上流」から良くしていくパブリックヘルスの魅力、コミュニティの力に感動。特に、社会的格差が上流階級層にも健康に悪影響を及ぼすことに目から鱗が落ちる思い。

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Posted by ブクログ 2014年05月24日

医療関係の活動をしている方にはぜひ進めたい一冊

何故日本が長寿なのか。
健康意識も医療費も高いアメリカの寿命はなぜ低いのか?

環境と格差

格差は絶対に生まれるが、格差が大きいほどすべての階層の人の寿命が縮む。その「命の格差」を縮めるにはどうするべきか?

パブリックヘルスは社会全体の健康を考え...続きを読む、どこにいる人たちに働きかけるか。手段はえらばない。

虫歯を減らすために水道水にフッ素を入れるのもあり

人の行動をどう変えるのか?

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Posted by ブクログ 2013年11月28日

社会疫学書は自然科学書と言ってよいか、という問題はあるかもしれないが、ハーヴァード大学で活躍するもう一人のイチローの名著。臨床医学から公衆衛生学に転身して活躍している研究者は何人もいるが、この人の語り口はとりわけ心地よい。文科系の学生さんにも、いや、にこそ、一読をお勧めする。ポピュレーションストラテ...続きを読むジーの意味がよくわからない人にはとりわけ。

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Posted by ブクログ 2013年11月26日

もーめちゃくちゃおもしろい!!そして文章のいたるところからカワチ先生の人柄がにじみ出ていて。いやーとにかく面白かった!!!!

友人によく「おまえ大学院でなにしてんの?」って聞かれるんですけど、この本がまさに答え!!まだまだ自分の口で上手に説明はできませんが(汗)

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Posted by ブクログ 2013年10月16日

日本出身でハーバード大教授の社会疫学者。専門書では翻訳が何冊か出ているが、新書で著者の研究をわかりやすく解説された書籍。米国は医療費を多額にかけながら、低い健康水準であるが、その大きな要因は経済格差である。低所得層が影響をまず受けるのはわかるが、高所得層にも影響を受ける。資本主義である限り、格差をゼ...続きを読むロにする事はできないが、格差を少なくする戦略として、①所得格差の是正②幼児期からの早期の教育③職の安定、が必要と著者は言う。そして社会全体をよりよくするための仕組みを作り、一人一人が行動を変えやすくするための環境を整える事が大切。個人の行動変容は、社会全体の枠組みを形成する中で、はじめて実現可能となるのであり、自己責任論に立つ限り改善はえられない。以上の事を科学的根拠を持って解説されるので説得力がある。まさに『上医は国を医す』である。

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Posted by ブクログ 2024年01月19日

公衆衛生を具体的にわかりやすく扱った良書です。治療も大事ですが、予防で救える命の数はその比ではないことをよく理解できます。同時にその影響力の大きさと采配の難しさも。

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Posted by ブクログ 2021年08月28日

社会疫学の視点から健康格差の必要性を主張している。かつての日本は地域での絆が強く、健康格差の是正に貢献していたが、経済的格差の拡大などにつれ日本でも健康格差が拡大しているとの著者の主張はうなづける。コロナ危機を受けて格差が拡大基調にある中、健康格差にどう取り組むかについての示唆を与えてくれる一冊。

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Posted by ブクログ 2018年03月12日

たとえば、肥満で生活習慣病になってしまったひとがいるとする。血圧も高い、血糖値も高い、などを改善していくために、お医者さんが薬を処方し、運動不足を解消するように促したりする。そういうのは、健康を大きな川の流れに喩えると、下流での対処のしかただと、カワチ氏はいいます。社会疫学は、川の上流で対処をするた...続きを読むめの学問。上流ではなにが起こっているかを考えると、貧困によって粗悪なスナック菓子や惣菜などを食べざるを得なくなっていたり、それらの営業宣伝がうまく感情に訴えることもあって、食生活に溶け込んでしまっていたり、ということがわかる。社会全体を鳥瞰図のように見て、処方箋を考えようとするのが特徴のようです。なので、個人に責任を帰することはほとんどしない。あくまで社会の仕組みの問題であり、個人個人を見ていくにあたっても、行動経済学の考え方で見ていくことになります。人間一般の行動原理としてみていくので、個人を責めることはないのです。また、現行の非正規雇用は不健康を産むだとか、流れ作業が大きなストレスを産むだとか、話の流れの中で登場する数々のトピックがどれも興味を引きました。理想の労働環境について、図を用いて説明してくれたり、高い教育を受けた者は健康である確率が高いことを教えてくれたり、人との触れ合い、それが具体的な助けではなくても、なにがしか助けたり助けられたりしているというソーシャルサポートの話があったり、200ページちょっとのなかで、盛りだくさんでした。でも、整理されているので、ごみごみしていない本で、読みやすいんですよ。

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Posted by ブクログ 2016年11月08日

格差は「負け組」のみならず、「勝ち組」にも影響する。
女性のストレスを減らすには、家事そのものの時間減らすことではなく、男女比率の割合を減らすこと。
「行動経済学」がキーワード
パブリックヘルスの取り組みを阻むもの・自己責任論・利益重視の民間企業の存在・人々は理性的で計画的という伝統的理論

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Posted by ブクログ 2013年11月29日

事例豊富に、かつシンプルにパブリックヘルスの論点を紹介。技術面で限界的な領域はともかく、平均寿命や一般的な健康に関する課題は、すごく社会環境や構造に影響を受けるとの点は、改めて納得です。

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Posted by ブクログ 2023年09月26日

”格差は負け組だけでなく勝ち組の寿命も縮める。“という衝撃的なメッセージに惹かれ、読み進めた。

医者から研究者への転向は、患者の容態が「目に見える世界」から、社会全体を見渡して健康の要因を探る「目に見えない世界」への転向だった。

医者としてやっていることは傷口にただ絆創膏を貼っているだけ。根本的...続きを読むな解決はできていない!!

問題を上流から解決する!!
→医学だけでなく、パブリックヘルスが大事!!

健康と貧困に焦点を当て、

⭐️日本の長寿
日本の長寿は、人々の絆、隔たりの社会による。
ex向こう三軒両隣、お互い様、情けは人のためならず
しかし、、
最近は、非正規雇用の増加による格差から人とのつながりが薄い、生活習慣病を個人の努力義務とする風潮

非正規雇用の増加による待遇差がもたらした人間関係の溝、経費削減で会社のイベント減少の傾向
→ソーシャルキャピタルの減少

健康はソーシャルキャピタル(社会関係資本、社会における人々の結束により得られたもの)による影響が大きい!!ex 震災
なぜ日本はこうなのか?
稲作文化↔︎欧米は牧畜(いかに多くの土地を確保するかが鍵)
島国であり鎖国してた、多様性のなさ

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Posted by ブクログ 2021年01月22日

命の格差は止められるか

やや、当たり前のことをデータを使用して述べている感じが拭えない本であった。しかし、パブリックヘルスという考え方は示唆に富んでいた。筆者のイチロー・カワチ氏は、どうしたら人々は健康でいられるのかという川上のアプローチをとっている。つまり、医師とは健康から不健康になった人々を救...続きを読むう職種ではあるが、その一歩手前で健康から不健康にならないためにはどのようなアプローチが必要なのかという観点で論が進んでいくことは新鮮であり、多くの場面で応用できると感じた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年05月18日

「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」の観点から健康を考える本。

社会から経済的な格差がなくなることはない、ということを踏まえた上で考えるべきは、それにより生じうる健康の格差をいかに減らしていくかということ。
一つ一つの病に対処していくだけでは、経済的に、教育的に下方にある多くの命が零れていく。...続きを読む
これをどうにかするには、病気の根本となる「上流にある問題」に目を向け、健康の土台となる社会全体の環境づくりに取り組まねばならない。
教育への投資、仕事の裁量度の工夫、地域コミュニティの構築などなど、考えられる方法はたくさんある。
とにもかくにも、全体の水準を上げることこそが、全ての人にとって利になるということ、この考えを共有していくことがまず肝になると思う。一部の上流層の反射的な拒否感はどうしてもあるだろうけれど、そういった人々の協力がとても重要になる。

格差が広がると社会全体にストレスが蔓延していくというのは、感覚的にではあるけど本当に納得できる。逆に、データとしても一応示されていたけど、平均寿命で何とか説明しようとしているのがまどるっこしく感じられた。もうちょっと違うアプローチですっきり証明できるようになることを期待。

人間は思っている以上に、理性的に行動できる生き物ではない。 意外に直感で動いている(有害なタバコへの嗜好が例)。そのため、行動経済学的な、感情・イメージに訴えかけていく取り組みももっと考えていくべきだという言葉も、成程と思った。

要するに、アイデアと交渉力の勝負になるのだろうな(ものすごく大変だろうな)。

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