飯塚訓のレビュー一覧
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日航機123号便墜落事件。取り上げられているのは犠牲者の遺族や第一発見者となった上野村の人。警察官や自衛官。身元確認に立ち会った看護士や医師たちです。壮絶な内容にページをめくる手が何度も止まりました。
この本は『沈まぬ太陽』の内容を補完するために『墜落遺体』と同時に読んでいました。日航機123号便が墜落し、520人もの命が一瞬にして消えたその日から時間が止まってしまった遺族や、お互いの思いがすれ違って、離婚してしまった犠牲者の両親。
残された人間の深い悲しみや想いが事件がいまだに風化されないものなのだということをいまさらながらにして知らされるようでした。この事故の真相は、いまだに明ら -
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日航機墜落事故の検屍現場。警察官と医師達の記録。
何度涙が出たことか。
悲しすぎるので違う目線で読むことにした。
通常の事件における検死のルールを当てはめたらとんでもなく仕事がまわらない。それを現状の状況に最適化し、フォーマットを決め、進めながら見直していく。まさにPDCA。
現場を見てないから既存ルールを適用しようとする上位組織と、感情論で訴える遺族達。その全体を俯瞰しながら統制するリーダーはすごい任務だったろうな。
各方面の第一人者含めた役割分担。
遺族の気持ちに寄り添う日赤の看護婦(当時の呼び方)達の活躍も大きくあったろう。
未曾有の事態に対し、即席で作られた組織でどう対応してい -
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ネタバレ日航機墜落事故の遺体安置所での壮絶な4ヶ月を指揮した刑事官のルポ。凄惨な遺体の数々、過酷な遺族対応、不眠不休で遺体の清拭や身元確認にあたる現場のスタッフたち。あまりに過酷な状況下で遺体の前で無意識に小躍りを始める検屍医やなかなか身元が判明しない少女の頭部を毎夜大事に抱えて話しかける刑事など、途方もない修羅場のせいで、正気を保てなくなっていく様子が鮮明に描かれていた。520人の死者のうち、肉親が面接で本人確認できたのはわずか60体という数字が飛行機事故の悲惨さを物語っている。警察、歯科医、看護師など現場のプロフェッショナル達の力があって4ヶ月の身元確認が終わったものの、従事者のその後の心の傷は計
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何年経っても忘れられない衝撃の事件が日航機墜落事故だ。
山肌から立ち上る白煙、生存者の救出、黒焦げの木々、、、
悲惨な墜落現場ばかり地獄絵図として取り上げられているが、もう一つの地獄絵図が体育館にあった。
猛暑、たちこめる悪臭、遺族の嘆きや叫び、怒りに満ちた空間。
そんな中で、犠牲者の身元確認班長を務めた筆者が検屍から身元確認引き渡しが終わるまでの127日間を振り返った本。
最初の4日間、不眠不休で検屍や身元確認に携わった警察官、医師、看護師の方たちの早く犠牲者を家族のもとに返したいという思いに胸を打たれた。
最後の一人、1体まで諦めずに絶対家族に返したいという情熱、執念には感動した。
また、 -
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1985年8月12日、今から30年前に、群馬県の御巣鷹山に日本航空123便(羽田発伊丹行)が墜落し、乗員乗客524名のうち520名が亡くなった。本書は、その現場で遺体の身元確認の責任者を務めた群馬県警高崎署刑事官(当時)による、127日間の壮絶な記録である。
著者が警察官を退官後執筆し、1998年に発刊、2015年に文庫化された。
本書には、著者がまえがきで述べる、「窓という窓を黒い幕で覆った体育館の中で、汗みどろで作業をつづける医師、看護婦、警察官らの集団。おびただしい数の死体が放つ悪臭と、もうもうと漂う線香の煙。時折、館内の喧騒をつんざいて走る女の悲鳴、号泣、そして叫喚の声。まさしく地獄絵 -
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日航ジャンボ機墜落事故は子どもの頃に起きた出来事で、知ってはいたものの記憶はあいまいでした。今年で40年という節目にあたり、改めてこの本を手に取りました。
事故の描写はあまりにも凄惨で、とても現実に起きたこととは思えないほどでした。強い衝撃を受けると人間の身体がこうなってしまうのかと、言葉を失いました。
また、身元確認に尽力した関係者や、それを支えた人々の姿には頭が下がります。極限の状況の中でも、プライドを持ち、精神を奮い立たせて向き合った姿に強い敬意を抱きました。
40年前の事故ではありますが、こうして知ることができて本当に良かったと思います。 -
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この本は日航機123号便が墜落した時に現場で事故処理の現場指揮をしていた人間による手記です。飛行機事故というものがいかに凄惨なものであるかをまざまざと見せつけてくれます。読んでいて恐ろしさを感じます。
この本は日航機墜落事件の際、事故現場の指揮を取った捜査官が綴った手記で、この本を僕が手に取ったのは僕が当時、『沈まぬ太陽』を読んでいて、御巣鷹山の事故現場のことを補完するためだった。
ここには現場の様子と、遺体確認に従事した医師や日赤の看護師たち。自衛隊や群馬県警の様子が描かれているのですが、戦場ともいえるような遺体収容現場で粛々とあくまで自分の仕事を為そうとする警察官や看護師や医師 -
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命の重みを受け止める
「墜落遺体」のその後をたどるドキュメンタリータッチの作品。未曽有の航空機事故が社会や人間にどんな影響を与えたのかを知る上で貴重な記録である。事故から35年(!)が経った今日、事故の風化への懸念が示されているが、一概に事故の風化をとらえるべきではないと感じた。航空会社や警察・自衛隊、医療機関などではこの時の教訓や経験を生かした運用改善などもあるように思う。それにしても日本の8月はなんという偶然を生んだことか。6日、9日、12日、15日。命の重みを受け止め続けなければならない。
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購入済み
必ず読まれるべき作品
強烈な印象としてこの事故は私の記憶に刻まれている。中学1年生の夏休み。義父の故郷でテレビに釘付けになった。同年代の女子が生存していたことも、記憶のきっかけになった。本書で描かれるのはあの事故の「裏側」である。文字になっている事象は、正直想像できない。人間が形をそこまで変える事故とは…。そして臭い…。想像も実感もない。事故当時を知る私でさえ、そうなのだ。あるから30年以上経過した今日。何が伝えられ、残されるのか。必ず読まれるべき作品。
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普段は道徳心や宗教的な感情を喚起されることは少ないけど、肉親の遺体を必死に探して確認してあげたいという人たちの記述を読むと、自分にも少なからずそういった感情があることが確認できる。同様の境遇にあれば自分もそのようにふるまうだろうし、そういった意味では、何事も経験にまさるものはないんだろうなということが分かった。遺体の確認作業に従事した警察官や医療従事者の自分がやらなければ誰がやるという奉仕の精神は、とかくシニシズムに陥りがちな自分の生活や態度からは非常に新鮮でヒロイックに映った。自己犠牲の精神は一歩間違えるとあやうい発想になりかねない危険性はあるとわかってはいつつも。
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520人が一瞬で犠牲となった日航123便の墜落事故。その遺体の検屍、身元確認と遺体の引き渡しの最前線で責任者として現場を指揮した警察官の方が自らの体験を記したノンフィクション。航空機が墜落する事故というのがいかに凄まじい衝撃を搭乗者に強いるのか、本書に記録されている遺体確認の現場の描写によって描かれています。頭部、胴体、手足がバラバラになり、場合によっては隣り合ったり前後の座席の乗客の胴体にめり込んだ部位を丁寧に分けながらの身元確認。腐敗の進行が著しく早い真夏の現場で、凄まじい死臭と格闘し続けた警察、医療関係の人々の献身的な活動の記録です。どんなに小さな部位も身元の誤認をさせない、少しでも綺麗