あらすじ
事故発生時、遺体の身元確認捜査の責任者が、自らの体験と胸が詰まるような取材で書き下ろした生命(いのち)の重さを問う鎮魂の書!衝撃のベストセラー『墜落遺体』の著者が、さらなる極限の悲しみに渾身の力で迫る! 忘れまい。真実の証言。
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Posted by ブクログ
日航機123号便墜落事件。取り上げられているのは犠牲者の遺族や第一発見者となった上野村の人。警察官や自衛官。身元確認に立ち会った看護士や医師たちです。壮絶な内容にページをめくる手が何度も止まりました。
この本は『沈まぬ太陽』の内容を補完するために『墜落遺体』と同時に読んでいました。日航機123号便が墜落し、520人もの命が一瞬にして消えたその日から時間が止まってしまった遺族や、お互いの思いがすれ違って、離婚してしまった犠牲者の両親。
残された人間の深い悲しみや想いが事件がいまだに風化されないものなのだということをいまさらながらにして知らされるようでした。この事故の真相は、いまだに明らかにされていない部分があるのですが、『人災』であったのではないかというのが作者の見解だそうです。
そ現場に入った自衛隊員の証言が非常に生々しく、そのあまりのむごたらしさから、戦場そのものだったという言葉が、印象に残っています。
遺体の身元確認をしていた医師や看護士たちの証言も壮絶で、当時はDNA鑑定などがまだなかった時代だから、死臭と腐臭と線香のにおいがない交ぜになった体育館で汗まみれになって処置に当たっていたそうです。
そして、遺体を管理する葬儀屋の仁義なき戦いやマニュアルのない対応をしなければならなかったという極限状態。そこで見えてくる善と悪。美と醜のコントラストが人間の業の深さを感じさせました。
あの事件から四半世紀が過ぎましたが、決して忘れることのできない記録として、一読していただければ、これに勝る喜びはありません。
※追記
本書は2015年7月25日、講談社より『新装版 墜落現場 遺された人たち 御巣鷹山、日航機123便の真実 (講談社+アルファ文庫 G 55-4)』として新装版で刊行されました。
命の重みを受け止める
「墜落遺体」のその後をたどるドキュメンタリータッチの作品。未曽有の航空機事故が社会や人間にどんな影響を与えたのかを知る上で貴重な記録である。事故から35年(!)が経った今日、事故の風化への懸念が示されているが、一概に事故の風化をとらえるべきではないと感じた。航空会社や警察・自衛隊、医療機関などではこの時の教訓や経験を生かした運用改善などもあるように思う。それにしても日本の8月はなんという偶然を生んだことか。6日、9日、12日、15日。命の重みを受け止め続けなければならない。
Posted by ブクログ
現場で事故の身元確認班長として身を粉にして働き、多くの関係者とも関わってきたからこそ書ける内容。決して流麗な文章というわけではなく、所どころ思いのたけを紙面にぶつけながら、行間ににじませながら、書けないことも多かったのでは、と思う所もあったが、この事故で犠牲になった命をないがしろにしないという、次代によりよい思いをつないでいきたいという姿勢はひしひしと感じられた。
それぞれの役目に忠実に、真摯な態度で取り組む人たちの、等身大の思いが伝わってくる。
当たり前のことだろうが、第五章「葬送のとき」の内容は今まで思い至ったことがなく、衝撃的だった。
Posted by ブクログ
読んだのはこの本ではない。
河出書房新社から2017年7月30日に出版され、同年9月22日に第6刷が発行されている「日航123便 墜落の新事実」(青山透子著)という本なのだが、いくら検索しても出て来ない。
内容が内容だけに、まさか消されたのでは…。
自衛隊によるミサイルが墜落の原因と読み取れなくもない事実に衝撃を受けてしまった。
公務員は誰のためにいるのか、政治は何を目的として行うのか、会社経営はどうあるべきなのか…。
自分の置かれた立場の都合で、嘘を語ることは当たり前だ、と勘違いしていないだろうか。嘘は、嘘をつかれた相手を一生傷つけるものだ。そして嘘をついた側にも一生、胸にしこりが残ろものである。それを解決する方法は、嘘をついた人による心からの謝罪以外にない。
私たちは未来のためにも、それぞれの道でプロとして考えなおす時がきている。
最後の頁に書かれた言葉が重たい。