ルース・ベネディクトのレビュー一覧

  • レイシズム
    1940年代に「菊と刀」の著者である文化人類学者が人種主義について書いた本。人種による優劣はないと科学者として言っている。人種間の敵対は本能的なものではなく、まず別の対立があり、そこに利用されている。とても読みやすい文章で、それは一般の人向けに書かれているためか、訳者のおかげなのか、また読み直そう。
  • レイシズム
    ルーズ・ベネディクトと言われると、『菊と刀』が思い浮かぶ。

    だが、この『レイシズム』も、古典でありながらも、現代に通じる、というよりも、現代で改めて考え直さなければならない一冊だった。

    人種差別はよくない、ということは誰でも知っている。しかし、なぜよくないかを、「人種」で説明しようとする。例えば...続きを読む
  • レイシズム
    『菊と刀』の著者が第二次世界大戦のさなか執筆したもの。国家や言語、遺伝、文化に対して優劣があると喧伝するレイシストを糾弾している。俯瞰的に考えれば、純粋な人種や民族などというものは存在しないことはわかりきっており、特にヨーロッパは長い歴史の中で混血が繰り返されている。
    その中でレイシズムに陥るのは自...続きを読む
  • レイシズム
    レイシズムは科学ではなく政治によって作られ、利用される。一部の人間の利益のために憎悪が利用される。
    言い方を変えると、レイシズムを唱える者たちはあらゆる科学に対して背を向けている。
    文明や文化の発展が行われるためには、多彩な人種や文化が混ざり合う事が重要なのにもかかわ...続きを読む
  • レイシズム
    時代がアメリカにおいて必要としたパンフレットという性格もあるのか、わかりやすく書かれている。レイシズムは、「弱い少数派の自分(たち)」の仲間を増やし、向こう側よりも少しでも優位に立とうとして、無理やり「差異」を言い立てて攻撃することで、不安を内在する同志たちが内なる自尊心を甘やかすというプリミティブ...続きを読む
  • 菊と刀
    約40年前の古典。今の20代たちが見れば、祖父母、父親、母親がどういう日本人であったかがわかるでしょう。
    特に子どもの育て方、祖先に対する考えなどわかりやすいと思います。
  • 菊と刀
    戦後日本の占領統治を効果的なものとするため、日本の土地を踏むことなく文化研究学者ルース・ベネディクトがまとめた日本人論。脚注において誤りも多数あるが、日本人の精神構造をアメリカ人と比較しながら論述することで、特徴的に描き出している。ほとんどが今でも有効なものではないか。
    日本人は社会の中で自分に与え...続きを読む
  • レイシズム
    文化人類学者であるルース・ベネディクトが著した菊と刀に並ぶ代表作。
    その表題の通り、人種差別に対して社会人類学者として確固たる証拠を突きつけながら明確なNOを突きつけている。

    著作が書かれたのは1942年のナチスドイツが勢力拡大している最中であり、ナチスドイツが掲げる人種差別政策への批判を念頭に書...続きを読む
  • レイシズム
    そもそもの人種や国の定義の曖昧さ。(前半)

    人種の違いから湧いてくると思われがちなレイシズムが、あくまで「あらゆる不平等への不満のはけ口としての手段」に過ぎないこと。そして解決への方向性も示されてる。(後半)

    前半部は今でこそスタンダードな考えなので目新しさはないけど、第2次世界大戦時中に書かれ...続きを読む
  • レイシズム
    古典的なもの。1940年代に書かれたものだが、内容は現代にも通じるところがあり、レイシズムの本質を突いている。しかしそれレイシズムを人がズルズルと引き摺っている証拠だろう。
  • レイシズム
    人種の優劣を科学的に否定。さらにレイシズムが体制側の都合の良い考えに利用され続けたこと、科学的根拠がなく、その時代、社会体制により都合よく使われてきたこと等、70年以上前に書かれたが、古臭さを感じず、将来に渡る人類への問題提起と思う。
  • レイシズム
    人種差別をしていい理由などない。科学的にも、道徳的にも。
    差別をなくすには社会の不公正を解決する手立てを見つけることだと著者は言う。一人ひとりが尊厳ある生活ができるようにすることのほかに人種差別をなくす方法はないとも。
  • 菊と刀
    異なる文化圏の人が書いているのだということがひしひしと感じられる文章だった。自分たちの使う視点とは大きく異なる場所から自分たちの文化を見つめられる違和感が大きく、読んでいて脳に心地よい負荷がかかった。
  • 菊と刀
    アメリカとの比較が面白かった。恥の文化と罪の文化。義理と愛。睡眠と食べ物について。人生の自由線がアメリカとは正反対であること。日本人の二面性について。斜め読み箇所も多かったが、目を通して良かったと思えた一冊だった。
  • レイシズム
    人種主義、人種差別についての古典的考察本。
    マイノリティの保護にはマジョリティの教育経済的安定、社会全体の安寧が必要とされます。
    レイシズムとナショナリズムが結び付かない様に、負の歴史が繰り返さない様に、この本を読んで思います。
  • レイシズム
    人種というのがそもそもはっきりしない区分けであり、人種間の優劣というのも科学的に否定されている、という説は、一般的にそう言われてますね、はい、という感じ。(ちなみに何と言われようと私は遺伝的な得意不得意はあると思っている…。一部の黒人は遺伝的に陸上が得意な人が多い。同じ理由で例えば数的処理能力は?音...続きを読む
  • レイシズム
    レイシズムが錦の御旗にされたのは、ヨーロッパによる大航海時代からナショナリズムにかけてと説明があったと思うが、それではアジアにおける中華思想や日本国防における神風や鎖国主義は何だったのであろうか。さらに、おそらくイスラームは、コテンラジオで聞いてNETFLIXのメフメト2世のイスタンブール陥落のドラ...続きを読む
  • レイシズム
    「菊と刀」のルース・ベネディクトがレイシズム批判のこのような著書を著しているのを、他の本の解説等では紹介されていたのかもしれないが、本書により初めて認識した。人種による差別はヨーロッパ至上主義による前史はあるが、ナチズムによって絶頂に達する時期に、本書は発表されたものである。科学の外被の基にレイシズ...続きを読む
  • 菊と刀
    戦後すぐに出版された日本人論なので、現代では「?」な部分もありますが、おおむね的を得ているように感じます。ただ、一つの論点をだらだら書いててわかりにくい部分が多くみられます。

    1.この本を一言で表すと?
    ・大きくはずれてないが、細部で間違いが多い、アメリカ人による終戦直後の日本人分析

    2.よかっ...続きを読む
  • 菊と刀
    以前読んだ長谷川松治訳(講談社学術文庫版)よりかなり読みやすい.光文社文庫版もチェックしたいところ.

    「菊と刀」の評価は過去にも多くなされているが,ベネディクトの見方に正しいものがあるというところは感覚的には理解できる.ただ,それは単純に結論として正しくなっているだけである.結論にいたる過程につい...続きを読む