ルース・ベネディクトのレビュー一覧

  • レイシズム

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    1940年代に「菊と刀」の著者である文化人類学者が人種主義について書いた本。人種による優劣はないと科学者として言っている。人種間の敵対は本能的なものではなく、まず別の対立があり、そこに利用されている。とても読みやすい文章で、それは一般の人向けに書かれているためか、訳者のおかげなのか、また読み直そう。

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    2023年11月16日
  • レイシズム

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    ルーズ・ベネディクトと言われると、『菊と刀』が思い浮かぶ。

    だが、この『レイシズム』も、古典でありながらも、現代に通じる、というよりも、現代で改めて考え直さなければならない一冊だった。

    人種差別はよくない、ということは誰でも知っている。しかし、なぜよくないかを、「人種」で説明しようとする。例えば、肌の色だとかわかりやすい外見を使って。
    しかし、目を向けるべきなのは、「人種」でなく、「差別」の方であり、人種差別とは、「外見の特徴」という、「わかりやすい基準」に目を向けた、差別なのだ。

    読みながら思ったのは、こうした、差別がなぜ起こっているのか、ということをこれほどまでに詳しく、網羅的に書か

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    2022年02月06日
  • レイシズム

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    『菊と刀』の著者が第二次世界大戦のさなか執筆したもの。国家や言語、遺伝、文化に対して優劣があると喧伝するレイシストを糾弾している。俯瞰的に考えれば、純粋な人種や民族などというものは存在しないことはわかりきっており、特にヨーロッパは長い歴史の中で混血が繰り返されている。
    その中でレイシズムに陥るのは自分の立場が不安定になったときだ。
    「自暴自棄になったとき、私たちは誰かを攻撃することによって自分を慰める」という表現は実に的を射ていると思う。当時は政治がその心理を利用し、レイシズムを推し進めることになった。結局は差別を原動力とした国々は自壊したものの。
    現代ではオリンピックなどにより、国家、民族の

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    2020年11月08日
  • レイシズム

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    レイシズムは科学ではなく政治によって作られ、利用される。一部の人間の利益のために憎悪が利用される。
    言い方を変えると、レイシズムを唱える者たちはあらゆる科学に対して背を向けている。
    文明や文化の発展が行われるためには、多彩な人種や文化が混ざり合う事が重要なのにもかかわらず、彼らは単一種族や文化でありつづけることが自分たちの生存に重要だと言い張る。

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    2020年10月30日
  • レイシズム

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    時代がアメリカにおいて必要としたパンフレットという性格もあるのか、わかりやすく書かれている。レイシズムは、「弱い少数派の自分(たち)」の仲間を増やし、向こう側よりも少しでも優位に立とうとして、無理やり「差異」を言い立てて攻撃することで、不安を内在する同志たちが内なる自尊心を甘やかすというプリミティブな心情に基づくものなのだろう。藁人形論法とも共通するところがあるな。

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    2020年07月13日
  • レイシズム

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    結構テキトーに買ったのに思いのほか良かった
    前半レイシズム、後半レイシズムと歴史。
    知能など能力は遺伝よりも環境に左右されることを論証。

    ・ダーウィンの自然淘汰理論が発表されてからレイシストはそれを振りかざすようになったが、他の動物のように人間は自らの体を変化させることなく発明の才能を発揮することで環境に適応しているので他の動物と同列に語るのは的外れ(というかそもそもレイシズムに妥当性は無い)。

    ・人種ごとにことなる身体的特徴は17世代間で純血を保ち続ければ環境適応という形で生じる。

    ・キリスト教による単一起源論に支配されてた中世。レイシズムは政治的目的に使われてきた、大衆の不満を政治か

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    2025年04月22日
  • 菊と刀

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    約40年前の古典。今の20代たちが見れば、祖父母、父親、母親がどういう日本人であったかがわかるでしょう。
    特に子どもの育て方、祖先に対する考えなどわかりやすいと思います。

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    2023年09月12日
  • 菊と刀

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    戦後日本の占領統治を効果的なものとするため、日本の土地を踏むことなく文化研究学者ルース・ベネディクトがまとめた日本人論。脚注において誤りも多数あるが、日本人の精神構造をアメリカ人と比較しながら論述することで、特徴的に描き出している。ほとんどが今でも有効なものではないか。
    日本人は社会の中で自分に与えられた役割「其ノ所」を得てその役割を失わないよう努力する。相手に対する責務は契約関係に基づく「義務」よりはるかに広く概念的な「義理」であり、その義理を目立たぬ形で果たすことが美しいとされる。競争的に自分の貢献をアピールすることは相手の「其ノ所」を犯し恥をかかせることとなり、社会的に許容されない。日本

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    2022年10月02日
  • レイシズム

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    文化人類学者であるルース・ベネディクトが著した菊と刀に並ぶ代表作。
    その表題の通り、人種差別に対して社会人類学者として確固たる証拠を突きつけながら明確なNOを突きつけている。

    著作が書かれたのは1942年のナチスドイツが勢力拡大している最中であり、ナチスドイツが掲げる人種差別政策への批判を念頭に書かれたように見える。

    ただ、話題はナチスドイツだけにとどまらず、白人の有色人種に対する差別にも踏み込み、こちらにもNOを突きつけている。
    中には社会に阿るために差別を助長する学者もいる中で、白人である彼女が既得権益を捨ててNOというのはとても勇気ある行動だし、人として素晴らしい人物だったのだろうと

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    2022年06月26日
  • レイシズム

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    そもそもの人種や国の定義の曖昧さ。(前半)

    人種の違いから湧いてくると思われがちなレイシズムが、あくまで「あらゆる不平等への不満のはけ口としての手段」に過ぎないこと。そして解決への方向性も示されてる。(後半)

    前半部は今でこそスタンダードな考えなので目新しさはないけど、第2次世界大戦時中に書かれたと思うとすごい。後半けっこうおもしろかったです。

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    ー 本質においてレイシズムとは、「ぼく」が最優秀民族(ベスト・ピープル)の一員であると主張する大言壮語である。その目的を達成するためには1番うまい手段であろう。

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    あと表紙おしゃれ

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    2022年05月21日
  • レイシズム

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    古典的なもの。1940年代に書かれたものだが、内容は現代にも通じるところがあり、レイシズムの本質を突いている。しかしそれレイシズムを人がズルズルと引き摺っている証拠だろう。

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    2021年10月30日
  • レイシズム

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    人種の優劣を科学的に否定。さらにレイシズムが体制側の都合の良い考えに利用され続けたこと、科学的根拠がなく、その時代、社会体制により都合よく使われてきたこと等、70年以上前に書かれたが、古臭さを感じず、将来に渡る人類への問題提起と思う。

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    2020年10月06日
  • レイシズム

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    人種差別をしていい理由などない。科学的にも、道徳的にも。
    差別をなくすには社会の不公正を解決する手立てを見つけることだと著者は言う。一人ひとりが尊厳ある生活ができるようにすることのほかに人種差別をなくす方法はないとも。

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    2020年06月22日
  • 菊と刀

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    異なる文化圏の人が書いているのだということがひしひしと感じられる文章だった。自分たちの使う視点とは大きく異なる場所から自分たちの文化を見つめられる違和感が大きく、読んでいて脳に心地よい負荷がかかった。

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    2018年05月09日
  • 菊と刀

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    アメリカが日本との戦争を終わらすために調査・分析した日本人論のよう。

    負けを認めず、最後の一兵まで戦うという日本の決意を鈍らせるにはどうすればいいか。
    どうすれば、日本は戦争をやめる(降伏に応じる)のか。

    ・皇居空爆をすべきか。
    ・日本人を根絶するしかないのか。

    戦争を終わらせるために原爆を投下したという理由づけの根拠となるアメリカ側の言い分になる内容だと思った。

    本書は1930年代の日本を、徳川期の武士階級の論理と組み合わせて、日本人の統一像を描こうとしたものだ。
    本書の出版年に生まれた人が今80歳くらいなので、その親の世代の日本人論になる。
    当然ながら今の日本とは大きく異なっている

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    2025年07月12日
  • 菊と刀

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    アメリカとの比較が面白かった。恥の文化と罪の文化。義理と愛。睡眠と食べ物について。人生の自由線がアメリカとは正反対であること。日本人の二面性について。斜め読み箇所も多かったが、目を通して良かったと思えた一冊だった。

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    2023年02月03日
  • レイシズム

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    人種主義、人種差別についての古典的考察本。
    マイノリティの保護にはマジョリティの教育経済的安定、社会全体の安寧が必要とされます。
    レイシズムとナショナリズムが結び付かない様に、負の歴史が繰り返さない様に、この本を読んで思います。

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    2021年09月29日
  • レイシズム

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    人種というのがそもそもはっきりしない区分けであり、人種間の優劣というのも科学的に否定されている、という説は、一般的にそう言われてますね、はい、という感じ。(ちなみに何と言われようと私は遺伝的な得意不得意はあると思っている…。一部の黒人は遺伝的に陸上が得意な人が多い。同じ理由で例えば数的処理能力は?音楽的能力は?ある特定の集団の中で、得意な人が多い少ないがあってもおかしくない。それぞれの能力の間に優劣はない=人種の優劣はない、とは思うが。)ただ、すべてのレイシズムは政治利用のために作り出された、という説は新説で面白かった。言われてみるとそんな気がする。

    (以下レイシズムの政治利用に関するただの

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    2021年08月16日
  • レイシズム

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    ネタバレ

    レイシズムが錦の御旗にされたのは、ヨーロッパによる大航海時代からナショナリズムにかけてと説明があったと思うが、それではアジアにおける中華思想や日本国防における神風や鎖国主義は何だったのであろうか。さらに、おそらくイスラームは、コテンラジオで聞いてNETFLIXのメフメト2世のイスタンブール陥落のドラマを観たが異民族を取り込みイスラームの制度のもと寛容な社会。中世のキリスト教からルネッサンス、大航海時代という「歴史は勝者のもの」という価値観で書かれた本ではないかと感じた。もちろんレイシズムという言葉を現代社会に定着させた功績は疑う余地がなく、「菊と刀」は余りにも有名。ヒトラーのアーリア人至上主義

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    2021年04月30日
  • レイシズム

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    「菊と刀」のルース・ベネディクトがレイシズム批判のこのような著書を著しているのを、他の本の解説等では紹介されていたのかもしれないが、本書により初めて認識した。人種による差別はヨーロッパ至上主義による前史はあるが、ナチズムによって絶頂に達する時期に、本書は発表されたものである。科学の外被の基にレイシズムは主張されるが、著者はその無根拠性を暴いていく。

    新たな差別意識が世界に蔓延している今こそ、改めて読むべき一冊である。

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    2020年05月26日