ルース・ベネディクトのレビュー一覧

  • レイシズム

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    「菊と刀」のルース・ベネディクトがレイシズム批判のこのような著書を著しているのを、他の本の解説等では紹介されていたのかもしれないが、本書により初めて認識した。人種による差別はヨーロッパ至上主義による前史はあるが、ナチズムによって絶頂に達する時期に、本書は発表されたものである。科学の外被の基にレイシズムは主張されるが、著者はその無根拠性を暴いていく。

    新たな差別意識が世界に蔓延している今こそ、改めて読むべき一冊である。

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    2020年05月26日
  • 菊と刀

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    戦後すぐに出版された日本人論なので、現代では「?」な部分もありますが、おおむね的を得ているように感じます。ただ、一つの論点をだらだら書いててわかりにくい部分が多くみられます。

    1.この本を一言で表すと?
    ・大きくはずれてないが、細部で間違いが多い、アメリカ人による終戦直後の日本人分析

    2.よかった点を3〜5つ
    ・罪の文化、恥の文化(p272)
     →現代の日本では、恥の文化が薄れてきているのが問題なのではないか?と考えさせられた

    ・身からでた錆への責任(p361)
     →刀を比喩的に使った、大和魂をわかりやすく表現している。

    ・乃木将軍とロシアのステッセル将軍とのエピソード(p375)
     →単純にいい話。相手を嘲笑するのは恥ということか。

    2.参考にならなかった所(つっこみ所)
    ・注釈をみる限り、あまりにも勘違い、調査不足が多いと感じました

    ・そもそも、この本を読んだ欧米人はどれくらいいるのか、甚だ疑問

    ・義務と義理について、現代ではそれほど区別されていないのではないか?

    ・恩とそれに対する返済一覧表(p147)
     →義務は等価返済?返済期限あり?自分の名に対する義理=名誉?どれも少しずれている気がする

    ・降伏後の日本について、平和国家になるか、好戦的な国になるか、状況次第と纏めているが、後に制定される憲法に影響されることになってしまった。

    ・人情の領域
     →睡眠、食事等は個人的には当たっていると感じたが、現代の日本人一般的には外れている部分が多いと思う。

    ・タイトルの「菊」はどこからきているのか?

    3.みんなで議論したいこと
    ・恥の文化がなくなった場合、宗教なき日本人にとっては、何が内なる神になるのか?

    4.全体の感想・その他
    ・終戦前後の時代背景を考えると、日本に来ることなく、文献調査と聞き取りのみでここまで分析できたのはすごいと思うが、事実誤認も多く、なぜ現代まで語り継がれる本になったのかは疑問

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    2018年12月30日
  • 菊と刀

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    以前読んだ長谷川松治訳(講談社学術文庫版)よりかなり読みやすい.光文社文庫版もチェックしたいところ.

    「菊と刀」の評価は過去にも多くなされているが,ベネディクトの見方に正しいものがあるというところは感覚的には理解できる.ただ,それは単純に結論として正しくなっているだけである.結論にいたる過程については荒削りであり,また不正確でもある.だからこそ大枠だけは正しいというところである.日本人の研究者は日本文化になじみすぎており,これまで,敢えてその「大枠」に眼を向けることがなかった.本書の価値はこの過去に抜け落ちていた視点があったというところであろう.

    ただ,やはり彼女がつかんだ直感的なものだけでは学問としての位置づけは高く評価できない.結論は面白いし,結果としては正しくもあるだろうが,それで十分であろうか?

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    2014年06月11日
  • 菊と刀

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    評価が難しい本。本書でまず目につくのは、巻末に附された厖大な量の註である。これは、著者が丹念に取材にあたった証左ではなく、むしろその逆で、事実の誤認などがかなり多いために訳註を増やさざるをえないのだ。まずこの時点で、高い評価をためらってしまう。当時日本論がほとんど世に出ていないことや、取材時は戦時下で、情報を容易に得ることができないという背景は理解しているものの、それでも日本人からすれば常識的な部分にまであまりにも誤りが多く、積極的に肯定する気にはなれない。それを差し引いても、内容もはたして妥当なのかどうか。いわんとしていることはたしかにわかるのだが、どうにも腑に落ちない部分も多多ある。時代背景が違うため理解することが難しいということもあるのだろうけど、ちょっと偏見が過ぎる印象ももった。ただ、今日でもたとえば「空気」を重んじたりするようなところなどはよくいわれることであるが、そういった記述にかんしてはよく理解できるし、そのほかの部分と比較・対象すれば、その的確さにはむしろ舌を巻くばかりである。現代でもなかなかこういう民族論はかけないのではないかとも思う。なにより、戦時中日本に対してこういう見方があったのだということは非常に興味深い。正確性については疑問符はつくけれど、それはそれとして、この時代の日本人論として白眉であることは間違いないと思う。

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    2014年05月22日