ルース・ベネディクトのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
戦後すぐに出版された日本人論なので、現代では「?」な部分もありますが、おおむね的を得ているように感じます。ただ、一つの論点をだらだら書いててわかりにくい部分が多くみられます。
1.この本を一言で表すと?
・大きくはずれてないが、細部で間違いが多い、アメリカ人による終戦直後の日本人分析
2.よかった点を3〜5つ
・罪の文化、恥の文化(p272)
→現代の日本では、恥の文化が薄れてきているのが問題なのではないか?と考えさせられた
・身からでた錆への責任(p361)
→刀を比喩的に使った、大和魂をわかりやすく表現している。
・乃木将軍とロシアのステッセル将軍とのエピソード(p375)
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Posted by ブクログ
以前読んだ長谷川松治訳(講談社学術文庫版)よりかなり読みやすい.光文社文庫版もチェックしたいところ.
「菊と刀」の評価は過去にも多くなされているが,ベネディクトの見方に正しいものがあるというところは感覚的には理解できる.ただ,それは単純に結論として正しくなっているだけである.結論にいたる過程については荒削りであり,また不正確でもある.だからこそ大枠だけは正しいというところである.日本人の研究者は日本文化になじみすぎており,これまで,敢えてその「大枠」に眼を向けることがなかった.本書の価値はこの過去に抜け落ちていた視点があったというところであろう.
ただ,やはり彼女がつかんだ直感的なものだけ -
Posted by ブクログ
評価が難しい本。本書でまず目につくのは、巻末に附された厖大な量の註である。これは、著者が丹念に取材にあたった証左ではなく、むしろその逆で、事実の誤認などがかなり多いために訳註を増やさざるをえないのだ。まずこの時点で、高い評価をためらってしまう。当時日本論がほとんど世に出ていないことや、取材時は戦時下で、情報を容易に得ることができないという背景は理解しているものの、それでも日本人からすれば常識的な部分にまであまりにも誤りが多く、積極的に肯定する気にはなれない。それを差し引いても、内容もはたして妥当なのかどうか。いわんとしていることはたしかにわかるのだが、どうにも腑に落ちない部分も多多ある。時代背