津野田興一のレビュー一覧
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歴史的に見て、隣り合う国どうしは文化的・民族的に近い位置に あるにもかかわらず、仲が悪いことが多いのです。というよりもむ しろ、近い位置にあるからこそ仲が悪いと言うべきでしょうか。 くたちが「イギリス」と呼んでいる国と、アイルランドとの関係も その典型事例です。両国の間では、まず民族が違います。アングロ ・サクソン系のイギリスに対し、アイルランドはケルト系。次に宗 教が違います。イギリスはイギリス国教会を信奉するのに対し、ア イルランドでは伝統的にカトリックが強いのです。そしてなにより も両国の間には、征服者と被征服者という不幸な歴史が存在してい ます。
イスラームは宗教であると同 -
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書名が「まるわかり」となっているが、実際には近現代史を網羅的に説明したものではなく、近現代史の中で、いくつかトピックスを選択し、それについて、物語風に解説をしたもの。選択されているテーマは、「大航海時代」「パクス・ブリタニカ」「中国とロシア」「中東問題」「アメリカの世紀とベトナム戦争」等である。
また、本書の特徴の2つ目は、上記のテーマに沿った形で大学入試問題を掲げ、それに対して、説明・解説を加える形で書かれている点である。
既に40年以上昔の話になるが、私の高校時代は、社会科の科目は選択制であり、私は地理とともに、世界史を選択し、大学入試の社会科も、この2科目で受験をした。世界史は特に苦手 -
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歴史の面白さとは一つには「人間が描かれているから」であり、もう一つには「物事の理が描かれているから」。そして、学んでいて「常識がひっくり返される瞬間」にこそ喜びを感じる。
また、歴史を学ぶ理由は「すべての歴史は現代史である」から。
そのように考える、高校の世界史教師たる著者の世界史ブックリスト。
とにかく世界史を学ぶ楽しさを、生徒に伝えたくてしようがない。
どうにかして世界史の楽しさを知って好きになってほしい。
そういう熱意が、文面から(といって落ち着いた文章ですが)ひしひしと伝わってくる。
だからこそ興味もそそる。
当然一人の人が作るブックリストなのである種の偏りはあるのかもしれないけど -
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“世界史の本”というと、敬遠する人が多いだろう。
高校教師である著者が、生徒たちに紹介した本を集めたこの本。
いわゆる名著といわれるものも含めつつ、在日コリアンを描いた『GO』(金城一紀)や、残留孤児を扱った『大地の子』(山崎豊子)、中世ヨーロッパを舞台にした『薔薇の名前』(ウンベルト・エーコ)などの小説まで含む変わった一風変わったラインナップ。
ブックガイドというと、ただ単に本の紹介を連ねた書評集のようなものも多い。
しかしこの本は、ブックガイドという形をとって、世界史とは何か、歴史を学ぶ意味は何なのかを一貫して伝えている。
ただの本のカタログではない、一冊の本としてまとまった充実作だと -
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黒死病の拡大はモンゴル帝国のユーラシア統一による交易・人の移動の促進から。一方、スペインかぜは列強の植民地であったアジア・アフリカから戦争に動員された兵士が帰国したことで拡大。
アケメネス朝。国内の公用語は古代ペルシア語、楔形文字、粘土板。オリエントの共通語はアラム語、アラム文字、羊皮紙。
ソロン。平民の負債を帳消し。債務奴隷の売買を禁止。すると、人々は異民族から奴隷を調達するようになった。
古代ギリシア・ヘレニズムの学術文献。イスラームに継承。レコンキスタや十字軍で、イベリア半島トレドやシチリア島パレルモに伝わり、そこから西ヨーロッパに伝わった。
7世紀前半、カリフは一人、政治指導者 -
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「世界史読書案内」岩波ジュニア新書、2010年、津野田興一さん。
「世界史についての面白い本を読むのは素敵だよね」と思っている人にとっては、麗しい一冊、コロンブスの卵のような本。
「世界史についての本を、(たとえ多少面白くなくても)読むのが大変に好きな人。好きで、それを仕事にしてしまった人。だから、大変に長い歳月に渡って、たくさんのそういう本を読んだ人」
そういう人が、「そうっすね、これとか、面白かったっすよ」と興奮しながら紹介する。
と、いうダケの本なのです。これが盲点、素晴らしい。
「こういうジャンルの、こういう感じの本…。いやそりゃ一杯あるけれど、どのあたりが自分のレベルにあっ