佐渡裕のレビュー一覧
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指揮者は時間を彫刻する。それがものすごく的確な比喩だと感じさせられます。
紹介されている楽曲に親しみのない私でも、指揮者というひとがどんな世界で何を思ってタクトを振っているのか想像することができるような気がしました。
河合隼雄先生とのエピソードの部分は、なぜか、こちらにもその想いと情景が伝わってきて、涙が出てくるのをとめられませんでした。
悲しいこと、悲劇をみてわざと涙をながそうとしなくても、世の中は大きくて深い悲しみと無力感に覆われています。生きる時間の一部分が、悲しみで覆われる時間があるように、喜びや幸福感が満たされる時間もあります。
クラシック音楽には、そんな感覚が当時の音楽家によっ -
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音楽家の能力って、単に楽器を自由自在に操って、思い通りの音を出したりすることだけじゃないんだな、と改めて思う。
音楽以前の、人、周りの物事に対するエンパシーとか、音楽を愛し、それにより周りの人を動かしていく心の力とか、そういったところが必要。
佐渡裕さんを見ていると、そんな気持ちがしてくる。
この人の「感染力」と強さは、テレビでも見た。
某公共放送の、某落語家とぶっつけ本番の旅をする番組。
佐渡さんのお膝元、神戸でのロケだったと思う。
突然幼稚園のママさんコーラスの指揮をするシーンがあった。
伸びやかな声を出す合唱団ではあったけれど、佐渡さんが「ビートを感じて」などと、僅か何分かの指揮と指導 -
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ネタバレ日本を代表する指揮者、佐渡裕さんのエッセイです。
2011年5月にベルリン・フィルで指揮をしたことはTVでもドキュメントでとりあげられていました。
ショスタコービッチの交響曲第5番 私もTVで見ました!
このエッセイは、佐渡さんがベルリン・フィルで演奏するずっと前、若き日の奮闘記を描いたものです。
イチローが小学校6年の時に作文に
「僕の夢は一流のプロ野球選手になることです」
と書いたことは有名ですが、
佐渡さんも小学校の卒業文集に
「大人になったらベルリン・フィルの指揮者になりたい」
と書いていたそうです。
それを実現したんだから、すごいですよね~。
夢に向かって努力し続ける姿に -
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感動に次ぐ感動!指揮を巡る逸話の数々。ベートーベンピアノ協奏曲第4番第2楽章を振りながら、中学時代の友を思い出し、「神がそこにいる」と感じた途端の止まらない涙の指揮。それを評する河合隼雄氏の絶句。ラムルー管弦楽団と「ボレロ」の逆演奏をした際の、オケの一体感。そして全員涙のアンコールでの「ボレロ」。ブラームス4番を開始する際の、オケへのイメージの伝達の言葉が凄すぎる!「一人の貴婦人を舞踏会にエスコートするといに、差し伸べた手の上にそっと女性の手が重なってくる。その瞬間に音を鳴らしたい」またショスタコ第5番の第3楽章のチェロへのメッセージ「この楽章は寒く冷たいモノクロの世界です。チェロだけが色を持
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ネタバレ世界的指揮者佐渡裕さんが音楽について語った本です。
遠い昔、指揮者を志した小学五年生の佐渡裕少年が落胆しないような指揮を。他の誰をごまかせても、自分のことはごまかせない。そういうことだとおもいます。
バーンスタイン、カラヤン、小澤征爾と、聞いたことのある名前が並びます。彼らと交流があった(師事した)だなんて不思議です。
結局最後はドミソに行き着く、というのが複数人から語られていたというのが興味深いです。シンプルでごまかしがきかないからこそ、ということでしょうか。
のだめカンタービレが大好きで、読みながら何度も漫画のシーンが浮かびました。並行して読むとよさそうです。