深田祐介のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本書「大東亜会議の真実 アジアの解放と独立を目指して」は1991年に書かれた『黎明の世紀: 大東亜会議とその主役たち』を大幅加筆し新書版として出版された書籍である。筆者の深田 祐介氏のあとがきから、出版当初は侵略戦争の正当化であるといった評価もあったことがわかる。今では太平洋戦争も戦後80年に迫り、様々な研究や書籍から、単なる日本のアジア侵略戦争という側面だけでなく(勿論そうした側面はあっただろうが)、アジアの植民地主義を進める欧米諸国の思惑などが複雑に絡み合い、そこに至る開戦の背景などから、やむにやまれぬ事情なども窺え、様々な理解のされ方がなされるようになった。
『思惑』という言葉は「意図」 -
Posted by ブクログ
大東亜会議とは、敗戦色が濃くなった1943年11月に開催された日本への協力国である、ビルマ、満州、中華民国、タイ、フィリピン、自由インドの首脳を集めた国際会議である。
大東亜共栄圏とは、その提唱を唱えた東条英機からみると、アジアの満州化であった。だが、日本以外の当時国から見ると、旧宗主国である、英米仏蘭の勢力を駆逐し、独立を成し遂げるためになった一つのきっかけである。
大東亜共栄圏の確立とは、松岡洋右が日本の戦争を正当化し、方向づけるためのスローガンであり、西欧の植民勢力をアジアから駆逐、アジアを解放するというものであった。
・日本を大東亜戦争に追いやった原因は、ハルノートであり、ABCD包 -
Posted by ブクログ
[演出か、道標か]1943年11月、アジアから6名の首脳の参加を得て執り行われた大東亜会議。「自存自衛」が前面に出ていた日本の戦争目的を「大東亜共栄圏の創設」へと急激に転換することにつながったその会議の内幕を記した作品です。著者は、直木賞受賞作家にして外交問題についての言及も多くなされている深田祐介。
先の大戦についての作品は多くあれど、大東亜会議に焦点を集中させながら、戦争下のアジア諸国と日本の関係を見つめ直した一冊ということで非常に興味深く読み進めました。一方,著者は大東亜会議とそれに伴う大義を、戦後構想を含み得るものとして高く評価しているのですが、個人的には、そこまで高く評価し得るよ -
Posted by ブクログ
複数巻の長編を平行に読破しよう月間。フィリピンでのラワン材買い付けと、現地のリーダーに抜擢された日系人の戦時中の思い出をクロスさせつつ、ドラマチックに描く。
なかなか分厚い本なのだが、文章もストーリーも平易で、かつドラマチックなもんだから、スムーズに読めるだろう。主人公としてはフランク佐藤と石山の2つの視点があるものの、混乱するような記述は無い。
初めて海外赴任になった石山のドタバタ、フランクはフランクで赴任そうそう嫌なやつに絡まれるし、過去の思い出でも、尊敬できる人物と好ましくない人物との間で揺れるという、コントラストがはっきりした、映画のようなストーリー展開は流石である。
本巻最後で -
Posted by ブクログ
複数巻の長編を平行に読破しよう月間。厚い本ばかりで難儀中。
折り返しの下巻。順風満帆から嫌な奴出現。どう見ても危ない商談相手に、嫌な奴が組んで嫌な予感しかしないという、「起承転結」の見本のような展開で、安定感が感じられるストーリーである。
が、上巻からのもっとも重要な課題が1つ残されている。それは「これ、オチってどう落とすの?」。
下巻も後半になってくると、きな臭い感じになっていくのでようやくわかった。あとがきにも有るが「フィリピン邦人襲撃事件」の長い長い前フリだったわけだ。
普通の人は、裏表紙の要約を読んで理解して読むのだろうが、まったく読まないのがこちらの読書コーナーなので、オチな