あらすじ
中堅商社のマニラ事務所長小寺は本社の要請で未経験のラワン材取引きに手を染めた。しかし現地の人々との信頼の上にビジネスを進めようとする彼の前に、厳しい現実が次々とたちはだかってくる……。炎熱の地で困難な国際ビジネスに情熱を燃やす男たち。しかもそこは戦争の傷跡を色濃く残す地であった。第二次大戦当時の日本軍とフィリッピン人との関わり合いを一方に、現代の国際商戦をもう一方に置いて語る巧みな展開と、壮大なスケールで描きあげられた直木賞受賞作品。
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Posted by ブクログ
以前から気になっていた、木材貿易に関わる商社マンの経済小説。戦前戦後のフィリピンとの関係を、日本人と日本組織論を軸に描く。
ラワン材の切り出しの話しなど興味深いが、当然ながら環境保全の話しは出てこない。
タスマニア物語の登場を待つ。
Posted by ブクログ
複数巻の長編を平行に読破しよう月間。フィリピンでのラワン材買い付けと、現地のリーダーに抜擢された日系人の戦時中の思い出をクロスさせつつ、ドラマチックに描く。
なかなか分厚い本なのだが、文章もストーリーも平易で、かつドラマチックなもんだから、スムーズに読めるだろう。主人公としてはフランク佐藤と石山の2つの視点があるものの、混乱するような記述は無い。
初めて海外赴任になった石山のドタバタ、フランクはフランクで赴任そうそう嫌なやつに絡まれるし、過去の思い出でも、尊敬できる人物と好ましくない人物との間で揺れるという、コントラストがはっきりした、映画のようなストーリー展開は流石である。
本巻最後では、また「嫌な奴」が復帰して、面倒に巻き込まれることは容易に予想が付くので、一般企業小説が苦手な人でも、とっつきやすい1冊であろう。