あらすじ
所長・小寺の誠意と情熱、日比混血のローカル社員フランク・佐藤や出向社員石山たちの努力で本社の要求を満たし、業績をあげたマニラ事務所は「支店」に昇格した。小寺の抱く理想、若い石山と女学生レオノールとの国際恋愛、そして支店の業績も、いまや順調に実を結びはじめるかに見えた。だが、本社の思惑と支店の考えのズレ、日本人とフィリッピン人の間の感情のもつれ、そして今に尾を引く戦争の傷跡、次々と新たな難問が生じ、ついに最悪の事態が……。
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Posted by ブクログ
天然林伐採の環境面での問題点は全く出て来なかったが、資源の搾取に繋がっているのではないか、という問題意識は通底にあったように思う。
それが伏線となって、衝撃のラストに繋がる。
重たい結末であるが、読後感は爽やかである。
それはヒロインが日本を尊重してくれたからなのではあるが。
Posted by ブクログ
昭和40年代、反日感情が色濃く残るフィリピンでの日本の商社の物語。25年前に一気読みした覚えがあり、ふと思い出し古本を探して再読。面白かった。実話がベースで某商社ではバイブルになっていたとか。
Posted by ブクログ
昔の直木賞作品らしいけれども、ここまで読み応えある直木賞作品をかつて読んだことがない!
人間は崇高な理想を持ちたい、でも持てない、立派にいたい、でもおろかな事をしていしまう。そんな理想と現実に揺れ動く登場人物たちが懸命に仕事して、生きている。
随時にちらばる、エピソードの対比と繰り返し、強い作者の想いが伝わってくるようだ。
Posted by ブクログ
複数巻の長編を平行に読破しよう月間。厚い本ばかりで難儀中。
折り返しの下巻。順風満帆から嫌な奴出現。どう見ても危ない商談相手に、嫌な奴が組んで嫌な予感しかしないという、「起承転結」の見本のような展開で、安定感が感じられるストーリーである。
が、上巻からのもっとも重要な課題が1つ残されている。それは「これ、オチってどう落とすの?」。
下巻も後半になってくると、きな臭い感じになっていくのでようやくわかった。あとがきにも有るが「フィリピン邦人襲撃事件」の長い長い前フリだったわけだ。
普通の人は、裏表紙の要約を読んで理解して読むのだろうが、まったく読まないのがこちらの読書コーナーなので、オチないオチないと思っていたら、最後にようやく納得できた。また、登場人物は架空ということだが、本当に架空なんだろうと思う。全体に都合が良すぎる。
嫌な奴とろくでも無い相手、しがらみの強い人物に良い人。ストーリーの作りはかなり上質な作品であり、ストーリー展開のお手本のような話である。
ちょっと長いけど。