塚本青史のレビュー一覧
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弱々しい性格で、判断力も政治力も乏しい唐皇帝李治の皇后へのし上がった後の則天武后、武照。夫の能力をすでに見限った彼女は、皇帝を傀儡とし、自らの手腕で国家を動かす。白村江の戦いで日本軍を破ったのもこの時代だ。
最初から武照には政治の才能があったらしく外交も内政も順調、領土も拡大を続け、若い愛人とも関係を持つ。
実力を誰もが知られるところとなった彼女が目指すは皇帝就任。が、何でもアリっぽい中国におい、て皇后を皇帝にするのはなかなか困難だったらしい。女性天皇が次々と現れた同時代の日本とは対象的だ。
それでも、どうしても皇帝になりたい武照が選んだ手段はなかなかの強引策。自身の家柄では唐の皇帝には -
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中央アジアとの関係描写が欣快
張騫については日本の高校の世界史の本では、ただ対匈奴外交同盟を結ぶため中央アジア諸国に派遣された一人の官吏、そしてそのことによりシナは西域の事情を学習できたとだけ記載されているのみだが、当著では彼らの実態が仔細に描写されており(完璧に時代考証ができているとはいいがたいが)とてもダイナミックな歴史書に仕上がっている。
張騫自身の人物描写も上出来に思えた。ただ短編なのが残念だった。 -
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秦の始皇帝といえば、中国初のエンペラー。
彼は皇后と愛人の間に生まれたと疑われ、周囲から常に不信の目を向けられていた。しかし、兄弟が早逝し、国王である父も在位数日で亡くなり、若くして国王となった。そして、彼は生まれてから死ぬまで人を信じることはなかった。
数々の裏切りや暗殺を乗り越え、中国を統一するが、領土全てを自らの直轄地とし、法律で統治した。家族や配下に領土を分け与えるようなことはせず、頼るのは法と己の能力だけ。彼は国の権力全てを自らで管理した。「国=始皇帝」の結論のもと、彼が求めるのは自らの不老不死だったのは必然だ。
だから、彼の死とともに中国統一国家、秦が滅びたのも当然だ。 -
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キングダムの結末気になりすぎて読んだけど、思ったより簡単に中華統一してた。
物語調で読みやすい。
キングダムでは呂不韋は悪いやつって印象やったけど、実際は頭の切れる敏腕商人やったと知って好感度上がった。個人的にはウツリョウが良かった。優秀で国に尽くした割に、秦王を見限るとあっさり身を引くところが世渡りうますぎる。あんな人になりたい。
逆に、始皇帝は思ったよりも偉大じゃなかった。始皇帝が中華統一を成せたのは、始皇帝の有能さもあるけど、それよりも環境が整ってたってのがでかいんやな。特に、法家主義だったこと、それに伴い有能な人材に囲まれてたこと、母親が墨家の拒子やったこと、いろんな条件が上手く重な -
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日本史において推古天皇や持統天皇など、女性天皇はたびたび見られる。が、中国の女性皇帝は則天武后ただ一人。上昇志向、知識、美貌を備え、下級女官から皇太子の后、そして唐の皇帝へとのしあがっていく彼女の生涯が描かれる。
上巻では信頼する父を亡くした則天武后が、正妻とその娘たちに虐げられながらも、唐の皇太子、李治に接近。信頼と愛情を得た彼女は身内への復讐を開始。そのうえ、生まれついての政治力を発揮し、優柔不断な李治は彼女の尻に敷かれっぱなし。
彼女のスタンスは明確だ。利用価値のある者は利用し、そうでない無能な者は切り捨てる。その人物評価にはヒステリック性はなく、冷酷だが正確。彼女の異母兄弟姉妹やラ -
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歴史上重要人物の割には
洪武帝はシナ史上かなり重要な役割を果たしている(漢帝国の復興)わりには、あまり歴史上で語られない人物だ。それゆえ映画化やドラマ化が少ないゆえこの作品は刮目な著者が描いた貴重な作品といえるかも。
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古代中国史の偉人伝を次々と発表している著者。しかも、その人選が結構マニアックなのだ。「光武帝」とか「司馬仲達」とか。本書の登場人物はそのマニアックさでも1,2を争う。
超有名人の項羽と劉邦の対決「垓下の戦い」が終わり、項羽の死から劉邦の死までのわずかな期間に滅びてしまった9人の劉邦の配下と側室たちの運命を描いた短編集。
メンバーは、臧荼、曹姫、韓信、趙姫、彭越、薄姫、鯨布、威姫、盧綰。どれも「誰?」ってカンジだ。
熾烈な対項羽戦が決着し、彼ら劉邦側は恩賞を得るが、休む暇はない。劉邦とその妻一族の猜疑心に備え、ひたすらに劉邦への忠誠をアピールする努力が求められたのだ。しかし、戦乱の世に生き