大藪春彦のレビュー一覧
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大藪春彦『長く熱い復讐』光文社文庫。
750ページに及ぶ大藪春彦の代表作の1つが新装版として復刊。最近ではなかなかお目にかかれないハードバイオレンス・アクション小説といったところだろうか。
このボリュームにさすがに読み終えるのに丸2日掛間を要した。自分の場合、朝、会社でメールを捌いた後から始業時間まで、会社の昼休み時間、午後3時の休憩時間、帰宅後の就寝までの時間が読書の時間だ。
1973年から1974年にかけて上下巻に分けて刊行された本作は、今読んでも違和感を感じない。もっとも携帯電話やスマホは登場せず、主人公が公衆電話や固定電話を利用しているところに時代を感じる。
ハードバイオレンス・アクション小説というと必ず山谷があり、山が長過ぎると疲れて集中力が失われ、谷が長過ぎるとダレてしまうのだが、本作の場合は最初から最後まで全くダレることがなく、緊張感が持続する。
銃火器や車、バイク、ハンティンググッズやアウトドアグッズ、ワイルドな男の料理まで微に入り細に入り事細かに描かれており、それがまたリアリティと迫力を感じさせ、ストーリー全体の良いスパイスとなっている。
作中に度々、スリーピングバッグの素材としてデュポン社のダクロンが描かれているが、自分が初めて購入したスリーピングバッグはダクロンを使ったmont-bell製のものだった。
読み進めば読み進むほどに闘いは激しさを増し、終盤の急展開と自らの生命を賭けての復讐の描写には背筋が凍る思いだった。
記憶を失ったまま終身刑の判決を受けた鷲尾進は韮釜刑務所に収監されていた。どうやら鷲尾はかつて自衛隊の特殊部隊に所属しており、どういう理由か暴力団組員10人を殺害し、自らも頭部に銃弾を受けたことで記憶を失ったらしい。
ある日、他の囚人から脱走計画を持ち掛けられた鷲尾は他の囚人たちと共に刑務官を襲い、刑務所から脱走する。囚人の1人である武山と行動を共にし、警察官の追跡をかわし、山中に潜んだ鷲尾と武山は、脱走騒ぎのホトボリが冷めるのをじっくり待ち続ける。
山に潜んで1ヶ月半、鷲尾と武山は山を下り、都市部にマンションを借り、強盗の計画を練りながら、襲撃の準備を進める。2人がターゲットに選んだのは農地が宅地に変わりつつある郊外の農協だった。農家が不動産屋にまとまった土地を売り、手にした6億円をその農協に預けていたのだ。
農協の襲撃は首尾よく完了し、鷲尾と武山の2人は6億3千万円を手に入れる。鷲尾と武山は奪ったカネを山分けし、鷲尾は自分の過去と暴力団組員殺害の真相を追う。
鷲尾は自分の過去を知ると思われる暴力団組員を1人ずつ襲い、拷問を加えて情報を集めていく。次第に明らかになる驚愕の自身の過去と復讐すべき巨大な敵の正体……
本体価格1,300円
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Posted by ブクログ
★漆黒の髪と燃えるような瞳褐色の肌を持つとびきりの美女エミー
『野獣死すべし』の伊達邦彦に『汚れた英雄』の北野昌夫、そして『獣たちの墓標』の西城秀夫と、大藪春彦の小説の主人公は、いつだって強靭な肉体と冷徹な精神を併せ持つ男が暴力とカーチェイスとガン・アクションを繰り広げないと始まらないし終わらないのですが、そこはサービス精神旺盛な大藪春彦のことですから、ちゃんと女性が主人公の小説を書いてくれています。
もっともそれは多分、私たち女性のためというのではなく、ニヤニヤ鼻の下を長くして読もうという男性のためだと思いますが、この際そんなことはどうでもいいでしょう、存分に、この猟奇的でサディスティックで変態的な行為を駆使する、レズでサドなヒロインである小島恵美子のビンビン響くムチの音を、舌なめずりして味わうことこそ明日の活力の源(?)となるはずです。
彼女は明和大学動物学講師で母親がスペイン人のハーフ。スイスの私立高校を出てオックスフォード大学へと進み動物学を専攻する。ハイエナの研究を目的にザンビアに赴いた際に、強烈なセックスアピールと男性に動じない度胸それに高度の身体能力を評価されて国際秘密組織SPRO(スプロ)の死刑執行人というポジションを任される。組織加入後も動物学研究は継続して折をみて研究の成果を見せることもある云々。
男に鼻も引っ掛けないナイスバディの女の殺し屋・殺人マシーン。延々と続く作者・大藪春彦好みの銃のウンチクは、興味のない方には気の毒なほど退屈ですが、私は手に汗して目をギラつかせてズシリと重みを感触する感覚で夢中になって読んでしまいます。
指令を受けて各国要人を次から次へと殺してゆく。あっと驚くほどあっさりと簡単に人が死んでいきます。
そしてラストシーンで、大看板真打登場。なんとあの永遠のヒーロー伊達邦彦が現れるのです。それで、エミーこと小島恵美子との対決になるわけですが、結果は・・・読んでからのお楽しみに、伏せておきましょうか。 -
Posted by ブクログ
最初にことわりを入れておく
星4と評価するが、あくまで「脳内に焼き付いたので忘れそうにない」のであって小説を読むという意味では星1すらあげたくない内容でござんす
世見月 明は黒い金を持つ連中から金を巻き上げる組織に属している その名も
「オペレーション・ヴァルチャー=オーガニゼーション・リベンジャーズ・アゲインスト・ダーティ・マネー・メーカース」
すでに香しい匂いがしてきたはずだ
特筆すべきは同じ台詞が繰り返し繰り広げられ次々と標的が殺されること
「誰だ、君たちは!植木!藤原!助けてくれ!」
「植木も藤原も永遠の眠りについたぜ」
世見月はニヤリと笑った
「村松!宮坂!助けに来てくれ!」
「二人とも永遠の眠りについたぜ」
世見月は嘲笑った
「無礼者!石倉、竹野、早く来てくれ!」
「貴様には気の毒だが、石倉も竹野も地獄へ行ってしまったぜ」
世見月は冷たく答えた
「近藤!町田!宮本!」
と、ボディガードたちの名を呼んだ
「三人とも地獄に行ったぜ」
世見月は嘲笑った
ページをめくれどめくれど特に物語もなく計27人このように殺される
※追記、27回の間違いでした
こ れ は す ご い 本 だ
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大藪春彦『蘇える金狼 完結篇』角川文庫。
ハードボイルド・アクション小説の金字塔、完結篇。既読であるのだが、角川文庫から復刊されたのを機会に再読。
読み返してみると、朝倉哲也のサイコパスぶりと強引で荒唐無稽なストーリー、大時代的な表現にかなり驚かせれた。松田優作主演の映画も観たはずなのだが、こんなストーリーだったろうか……
東和油脂で私腹を肥やす社長や役員を目にし、会社を我が物にしようという野望を持った朝倉哲也は野望を実現のために殺人や強盗、恐喝、薬物犯罪などあらゆる悪事を繰り返す。収賄が露呈し、窮地に陥った社長や役員は朝倉に……
結末はいやに呆気ない。
本体価格880円
★★★★ -
Posted by ブクログ
大藪春彦『蘇える金狼 野望篇』角川文庫。
言わずと知れたハードボイルド・アクション小説の金字塔。大分前に既読であるのだが、この度角川文庫から復刊されたのを機会に再読。
昭和の高度経済成長期の雰囲気と時代を感じる表現は今読むと何故か新鮮さを感じる。
東和油脂 経理部に勤務する朝倉哲也は壮大な野望を実現するために、会社では大人しい羊の姿を演じていた……
冷静に読み返してみると、朝倉哲也という人物は今で言うところのサイコパスなのであろう。自身が勤務する会社の社長や役員らの目に余る腐敗ぶりを知るや、会社を我が物にしようと肉体を鍛え上げ、活動資金を不法に調達し、目的達成のためにヤクザやその関係者を虫けらの如く殺害するという凄まじいまでの冷徹さ。
刊行当時としては、かなりハードな作品として受け入られたのだろう。
さて、次は『完結篇』だ。
本体価格880円
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Posted by ブクログ
大藪春彦の連作ミステリ短篇集『雇われ探偵』を読みました。
大藪春彦の作品を読むのは初めて……久しぶりの国内ハードボイルド作品ですね。
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“俺”のモットーは「くだらぬモラルよりも、目の前の現ナマと女」。
荒っぽい仕事はお手のものだ。相棒は、女にめっぽう強い高木と美貌の秘書・千津子。
今日も愛車の改造ルノーを駆り、モーゼルHscをぶっぱなす!
息もつかせぬ展開に、キレの良いセリフ―無頼の私立探偵津島のダーティー・ヒーローぶりが光る!
大藪ワールドが炸裂する連作11編!
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1965年(昭和40年)に刊行された作品です。
■雇われ探偵
■女の影
■死の匂い
■危険な契約
■裏切りの街
■血の証拠
■女と銃
■黒い契約書
■死者の依頼
■裏社会の掟
■最後の報酬
■解説 北上次郎
私立探偵・津島が、「雇われ探偵」として依頼を受け、さまざまな事件に関わるエピソードを連作形式で描いた作品……1話ごとに独立した趣向の異なる事件が展開し、ポルシェのエンジンを搭載した愛車の改造ルノーを駆り、モーゼルHScをぶっぱなして窮地を脱っするという、ぶっ飛んだ存在である津島のキャラクター像が色濃く描かれていることが特徴でしたね、、、
スピード感のあるハードボイルド作品だったし、津島のキャラクター像も好みだったので愉しく読めました……謎解きやストーリーよりも、キャラクターの魅力とアクションを愉しむ感じの作品でしたね。
シリーズとして、もっともっと描いてもらっても良かったんじゃなかな……と思いましたが、どうやらこの一冊だけしか描かれていないようですね。 -
Posted by ブクログ
途中から展開についていけず、な一冊。冒険小説だけれど、冒険しすぎだって。現実離れしてる。
二十九歳の若林誠はプレハブ住宅の営業マン。業績は常にトップで真面目とは言い難いが売り上げはある。だが若林そんなことでは満足しなかった。銀行輸送車襲撃から始まり、資産家の脱税した金の強奪。次第にエスカレートしていく犯行と同時に、裏の顔が表の顔へと変貌してゆく。
途中までは精悍な一匹狼な男のハードボイルドチックな物語(なんだそれ笑)で楽しかった。文章も巧いし、エロティックなシーンも雰囲気があって。
でもね犯行を重ねるうちに、そしてそれがどんどん凶悪になっていくうちに訳が分からなくなってきて。仕舞にはハーレム云々の帝国かよ! え、どうしてそうなったの、と冷めてしまった。無理だよ、と。
まあね、エンターテイメントだっていうのはよおおおおく解るの。ただしやりすぎなんだよ。読者を楽しませるっていうより壮大な男のロマン譚なんだ、という自己満足に見えてしまった、ごめんなさい。
うーん、大藪春彦、もう少しは読んでみよう。