大藪春彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★漆黒の髪と燃えるような瞳褐色の肌を持つとびきりの美女エミー
『野獣死すべし』の伊達邦彦に『汚れた英雄』の北野昌夫、そして『獣たちの墓標』の西城秀夫と、大藪春彦の小説の主人公は、いつだって強靭な肉体と冷徹な精神を併せ持つ男が暴力とカーチェイスとガン・アクションを繰り広げないと始まらないし終わらないのですが、そこはサービス精神旺盛な大藪春彦のことですから、ちゃんと女性が主人公の小説を書いてくれています。
もっともそれは多分、私たち女性のためというのではなく、ニヤニヤ鼻の下を長くして読もうという男性のためだと思いますが、この際そんなことはどうでもいいでしょう、存分に、この猟奇的でサディスティッ -
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大藪春彦『蘇える金狼 完結篇』角川文庫。
ハードボイルド・アクション小説の金字塔、完結篇。既読であるのだが、角川文庫から復刊されたのを機会に再読。
読み返してみると、朝倉哲也のサイコパスぶりと強引で荒唐無稽なストーリー、大時代的な表現にかなり驚かせれた。松田優作主演の映画も観たはずなのだが、こんなストーリーだったろうか……
東和油脂で私腹を肥やす社長や役員を目にし、会社を我が物にしようという野望を持った朝倉哲也は野望を実現のために殺人や強盗、恐喝、薬物犯罪などあらゆる悪事を繰り返す。収賄が露呈し、窮地に陥った社長や役員は朝倉に……
結末はいやに呆気ない。
本体価格880円
★★★★ -
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大藪春彦『蘇える金狼 野望篇』角川文庫。
言わずと知れたハードボイルド・アクション小説の金字塔。大分前に既読であるのだが、この度角川文庫から復刊されたのを機会に再読。
昭和の高度経済成長期の雰囲気と時代を感じる表現は今読むと何故か新鮮さを感じる。
東和油脂 経理部に勤務する朝倉哲也は壮大な野望を実現するために、会社では大人しい羊の姿を演じていた……
冷静に読み返してみると、朝倉哲也という人物は今で言うところのサイコパスなのであろう。自身が勤務する会社の社長や役員らの目に余る腐敗ぶりを知るや、会社を我が物にしようと肉体を鍛え上げ、活動資金を不法に調達し、目的達成のためにヤクザやその関係者 -
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大藪春彦の連作ミステリ短篇集『雇われ探偵』を読みました。
大藪春彦の作品を読むのは初めて……久しぶりの国内ハードボイルド作品ですね。
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“俺”のモットーは「くだらぬモラルよりも、目の前の現ナマと女」。
荒っぽい仕事はお手のものだ。相棒は、女にめっぽう強い高木と美貌の秘書・千津子。
今日も愛車の改造ルノーを駆り、モーゼルHscをぶっぱなす!
息もつかせぬ展開に、キレの良いセリフ―無頼の私立探偵津島のダーティー・ヒーローぶりが光る!
大藪ワールドが炸裂する連作11編!
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1965年(昭和40年)に刊行 -
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途中から展開についていけず、な一冊。冒険小説だけれど、冒険しすぎだって。現実離れしてる。
二十九歳の若林誠はプレハブ住宅の営業マン。業績は常にトップで真面目とは言い難いが売り上げはある。だが若林そんなことでは満足しなかった。銀行輸送車襲撃から始まり、資産家の脱税した金の強奪。次第にエスカレートしていく犯行と同時に、裏の顔が表の顔へと変貌してゆく。
途中までは精悍な一匹狼な男のハードボイルドチックな物語(なんだそれ笑)で楽しかった。文章も巧いし、エロティックなシーンも雰囲気があって。
でもね犯行を重ねるうちに、そしてそれがどんどん凶悪になっていくうちに訳が分からなくなってきて。仕舞にはハーレ