肥田舜太郎のレビュー一覧
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ネタバレ“福島原発事故から2年。日本中のすべての人が「被曝」してしまいました。” という帯の言葉が衝撃的な、広島原爆で被爆した96歳の医師による渾身の提言。認めたくないことだけれども、この事実を受け止めるところからしか私たちはスタート出来ないのかも知れません。
私たちは多少の違いはあっても被曝している。
それが健康に害を及ぼすかどうか、それがいつなのかはわかりません。
でも、著者の経験からすると、規則正しい生活、適切な食事、明るく前向きな心持ち、呼吸法など、要は人間がもともと持っている生命力=免疫力を高めることで、長期的な内部被曝の影響を最小限に食い止めることができるようです。
このような事故をお -
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内部被ばくについて紹介する本。2011年のうちに読めてよかった。
著者は広島原爆を体験した医師とジャーナリスト。外部被ばくよりも低占領の内部被ばくのほうが被害が大きいことや、劣化ウラン弾が中東地域の戦争で使用され子供達に障害をもたらしていることが説明されている。また、アメリカの原子力施設付近でも、周囲に奇妙な障害がでても原子力と因果関係はない、と繰り返され被害が拡大しているケースが存在する。付近で作られた小麦は世界中に輸出されており、知らぬ間に原子力の弊害が世界中に広がっている。そして、世界的な乳がんの増加との相関関係も強いこともわかっている。
100年も経たないうちに甚大な被害を次々に起こし -
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広島の原爆の被曝者で医師でもある肥田舜太郎氏と、気鋭の映画監督鎌仲ひとみ氏との共著。
第5章「被ばく体験を受け継ぐ」が両氏の対談となっていて、非常に強いメッセージ力を持っている。
肥田氏が外国人から教えられたことの一つが、人類が戦争で受けた被害のなかで最も人権を破壊したのがアウシュビッツと広島だという。
前者の被害は毒ガスであり餓死。この被害は目に見えて分かりやすい。
後者は原爆によって、一瞬にしてたくさんの人が犠牲なったという事実。こればかりが印象づけられている。実際は爆風や熱風で直接亡くなった人よりも、後の放射線被害で苦しみ亡くなった人もたくさんいるのだ。また、傷つけられた遺伝子 -
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是非、多くの人に読んで頂きたい本。今こそ、全国民が読むべき。
原発うんぬんの話ではなくて、イランで使われた大量の劣化ウラン弾を初めとした、核兵器による放射線、放射性物質のお話。
元をたどれば劣化ウラン弾はプルトニウムを再生する過程で生まれる原子力発電のゴミなので、まぁ同じことですけどね。
福島原発の事故以来、チェルノブイリとスリーマイル島、この二つの原発の名前は嫌というほど聞いた。
でもハンフォードという、シアトルから約350キロに位置する地名は一度も聞いたことが無かった。
ハンフォードでは冷戦時代、九つの原子炉から大量のプルトニウムを核兵器のために生産していた。そしてその過程で生まれる劣 -
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とてもわかりやすい本だった。そして現実は怖い。
広島の原爆で被爆し、その後60年間内部被曝について研究を
続けてきた医師と、社会派ジャーナリストとの共著。
ひろしまのピカという絵本で小学生の頃原爆の怖さを知った。
原爆は怖い、戦争は怖いって印象が残った。でもそれは爆発で
けがをした人々の絵、外傷などの怖さ、残酷さだった。
内部被曝、その怖さ、原爆死ではなく原爆生の残酷さ
体内で放射性物質から放射線を浴び続けることの怖さが
よくわかった。今まで他人ごとととらえていたことが
福島原発の事故によって身近な出来事になってしまった。
知ることは怖いことだけれども、知っておくことは -
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取り急ぎ、レビュー・感想ではなく、本文から抜粋します。ごめんなさい。
国連放射線防護委員会(ICRP)は、放射線に関する世界的権威である。
ICRPは長い間、微量の放射性物質による内部被ばくを過小評価してきた。
この考え方の根本にあるのは「放射性防護の主たる目的は、
放射線被ばくを生じる有益な行為を不当に制限することなく、
人に対する適切な防護基準を作成することである」。
すべての被ばくは可能な限り低く保つべきであるという助言が
注目されてはいたが、意識的に適用されることがまれであった。
その後、全ての被ばくは“経済的、社会的要因を考慮に入れて合理的に
達成できる限り低く”保つという欲求がいっ -
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今ならすんなり理解できる、放射能の本。
1カ月前までは「内部被曝」と「外部被曝」をここまで明確に区分けする必要性を理解していなかったし、「シーベルト」と「ベクレル」っていう単語も耳に馴染みがなかったわけで。
わかりやすく書かれているせいもあって……結果的にかなり読みやすかったです。読みやすくなんてなりたくなかったけどっ(泣
ずっと、漠然と抱いていた疑問が、この本ではっきり見えてきました。
どうして基準値は変わるのか。どうして放射線技師になると基準値が特別枠になるのか。「自然界から受けている放射能より低いから安全」という言葉にもやもやとした不安を感じるのはなぜか。ラドン温泉みたいな -
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福島の事故で、被ばくに関して自分は何もしらないことに気が付き、早速、入門として新書を読んでみた。
作者の肥田医師は広島の原爆を体験し、原爆被爆患者を60年以上診てきた医者&活動家。鎌仲氏は、新進気鋭の社会派映像ジャーナリスト。両者とも、私は3月の原発震災が起こるまで知らなかった。
そもそも、「内部被ばく」という言葉じたい、福島原発以前には馴染みがないものでであった。外部から受ける放射線からの被ばくは、たとえら医療の放射線を浴びる原爆の直接的な被害であったりするわけだ。しかし、違う意味で恐ろしいのは、体の内部に放射性物質を取り込んでそこから出る放射線によって被ばくすることである。広範囲で長 -
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医師である著者の肥田舜太郎氏は、1917年の生まれである。28歳の時、広島郊外で被爆し、キノコ雲を見る。はじめは重症患者の治療に当たるが、やがて、ピカ(閃光)に遭っていない、爆発の数日後に広島市内に入った人たちが、頭髪が抜け、血を吐きながら死んでいくのを目の当たりにする。被爆後何十年も経っても、原爆の後遺症である「ぶらぶら病」に苦しめられる人もいる。著者は、こうした患者と向き合いながら、60年にわたって内部被爆の研究に携わってきた。
微量の放射線が人体に与える影響については、諸説がある。しかし、仮に著者の主張のすべてが正しいとは限らないとしても、本書は自身の直接の体験に基づいているため、説得 -
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放射線の「内部被ばく」についての概説。著者の一人は医師であり、広島で原爆に被爆、直後の凄惨な現実を直接経験するが、その後、しはらくして直接被曝していない人が不自然になくなっていくことに不信を持ったことから、放射線の「内部被ばく」の脅威を追及することになる。この内部被ばくは、原爆に限らず、最近頻繁に使用されることになった劣化ウラン弾、また過去繰り返し行われた大気中の原爆実験、そして原子力発電所の周囲、と原子力があるところに可能性として間違いなく、内部被ばくを被る危険性があるという。少量だから安心というものではなく、少量であるがゆえに、遺伝子を傷つけ、細胞の突然変異を引き起こし、癌などを誘発する。