広島の原爆の被曝者で医師でもある肥田舜太郎氏と、気鋭の映画監督鎌仲ひとみ氏との共著。
第5章「被ばく体験を受け継ぐ」が両氏の対談となっていて、非常に強いメッセージ力を持っている。
肥田氏が外国人から教えられたことの一つが、人類が戦争で受けた被害のなかで最も人権を破壊したのがアウシュビッツと広島
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前者の被害は毒ガスであり餓死。この被害は目に見えて分かりやすい。
後者は原爆によって、一瞬にしてたくさんの人が犠牲なったという事実。こればかりが印象づけられている。実際は爆風や熱風で直接亡くなった人よりも、後の放射線被害で苦しみ亡くなった人もたくさんいるのだ。また、傷つけられた遺伝子が次世代に受け継がれている可能性もある。
これらの被害が目に見えにくく理解しずらいため、核兵器の廃絶を訴えるメッセージが世界へ伝わりにくいのだという。
また第3章「内部被曝のメカニズム」は秀逸。
低量放射線の害について、極めて正確に記述されていて他に例をみない。
日本人必読の書であると断言したい。