森山徹のレビュー一覧
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PHPのサイエンスワールドというシリーズがあることを知らなかった。そしてダンゴムシに心があることも知らなかった。そんな知らないことだらけのダンゴムシの心を知ることができてほんとうに幸せだ。
そして日本語が美しい。うつろい、という言葉を使って心の動きを表現されるとはかなりセンスの良さを感じる。
一言でいうとダンゴムシを通じて知る自分の心という感じか。特に第1章の「どうしてこのような行動を発現させられたのか」という問いが伏線となって、第3章の『ダンゴムシ実験の動物行動学的意味』は本当に充実しているので自分自身をよく知ることができる。
3章の「自律」に関する説明は、交流分析の「今ここへの直接的 -
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心の定義をダンゴムシの観察によって進めていく。生物と無生物のあいだの福岡伸一さんも絶賛と帯にある。「ひょっとするとこの心の科学は大化けするかもしれない。」これって絶賛?ひとつのアイディアを徹底的に考え続けて実験に落とし込む著者の真摯な姿が浮かび上がってくるとてもよい本。こういうものが僕にとっての学問。第一章で、心とはなにか?とやらないと彼のテーマは説明できない。ここでの心の定義は少々あやふやである。しかし、この定義をもって後半のぞうりむしの実験に突き進むとき、大きなテーマを理解することができる。第一章だけでは他人を納得させることはできないし、ぞうりむしの実験だけでは単なる現代のファーブルさんみ
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震災の年に出版され、新聞でも紹介されていたので気になっていたが、そのままにしてしまっていた本である。科学にとって最も扱いにくい「心」を正面から扱った斬新な研究である。しかし、その実験は至って平凡なものであり、地道な観察を積み重ねたものである。
筆者のいう「心」とは、自分の中にある内なる自分であり、それがダンゴムシならば、表面的には見られない「内なるダンゴムシ」のことを言う。不断は隠れていて見えないが、いざという時にふと表面に出てくる。これを実験で浮き彫りにするために、通常では考えられない特殊な状況を作り出し、その時にどのような行動をするのかを丁寧に観察する。その状況が本能のルールでは対処で -
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ネタバレ内容情報
[日販MARCより]
心とは何か。庭先によくいる、小さくて丸くなるダンゴムシにも心はあるのか。大脳がないダンゴムシにも心があり、道具を使う知能もあることを示唆するユニークな実験の数々を紹介し、「心-脳」問題に一石を投ずる。
[BOOKデータベースより]
「ファーブル昆虫記」にも出てくる、庭先によくいる小さくて丸くなるダンゴムシ。このダンゴムシにも「心」があると考え、行動実験を試みた若い研究者がいた。迷路実験、行き止まり実験、水包囲実験など、未知の状況と課題を与え、ついにダンゴムシから「常識」では考えられない突飛な行動を引き出すことに成功した。大脳がないダンゴムシにも心があり、道具を使 -
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我が家でもダンゴムシはたくさん生息しており、過去どれぐらいのダンゴムシを殺してきたか判らない。
微々たるモノではあるやはり食害はあるので一応害虫の扱いを受ける虫なのである。青虫などに比べると可愛いモノであるがなんといっても徒党を組んで生息しているのがいけない。
本書はそのダンゴムシに心があるかどうかがテーマである、森山先生は長年ダンゴムシの研究をとおして認知科学という学問を追究されていらっしゃる。
心があるかどうかと言うことを研究する場合、当然に先ずは心とは何か、どういう状態があれば心があると言えるのかという事を検討する必要がある。と言う事で本書第1章は心とは何かと言うテーマが語られます。 -
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軽い科学読み物と思い手に取ったが、数ページ読んでは立ち止まり考えさせられることの繰り返しで、中々の読み応え。
一般に能動的だと考えられている「心」の働きを、いったん消極面に着目して抑制力とし、それをさらにひっくり返してまた能動的に捉える、と二重に反転させて記述しているために少々取っ掛かりのところで戸惑ってしまったが、それが理解できればあとは一気に読めた。
対象ととことん向き合うことで、未知の状況下での「予想外の行動」としての対象の「心」の働きが見えてくるという…たとえ対象がダンゴムシや石ころ(!)であっても。文章はドライだが、著者の対象に対するある種の愛情が至る所に感じられた。この境地に -
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心について。
心の評価方法が興味深かった。
心=隠れた行動部位。
心を確認することは、未知なる環境に置かれたときに発現する『隠れた行動部位』を確認すること。
動物実験で、通常心によって抑圧されている行動を発現させるためには、骨の折れる作業が必要なんだろうなと感じた。
準備段階から対象動物に対する理解、付き合いを深めていかなければならない。
様々な角度から実験結果を提示されることで、ダンゴムシにも心があるのかもなぁと同意するようになった。タコやイトヨなども。
あるいは石にも?
生き物はもちろん、モノに対しても、丁寧に扱うように心がけようかと。。 -
- カート
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試し読み
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いきなりネタバレすると、ダンゴムシには心がある。石にも心がある。
こういう見方をすると万物に慈しみを持てる。
著者は生物の行動実験をする時には、生物ととことん付き合い、なるべく生物本来の行動ができるように、実験者が自然を提供しなければならないと言う。
著者の定義によると、心は隠れた活動部位だという。生物は自然界から受ける多くの刺激に対してさまざまな行動を発現する可能性があるが、その中から適切な一つの行動を選び取っている。著者の言う「内なるわたくし」=「心」が他の行動を抑制する事で、通常の行動が発現するのだそうだ。
人でも、心がまだ充分に育まれていな