第一章:課長とは何か?
・中間管理職向けビジネス書が見当たらない不思議
・中間管理職は組織のフラット化と共に「消え去るべきもの」として攻撃の対象にすらなっている
・マネジメント理論は、基本的には欧米から輸入されたもの
・英語版ウィキペディアの中間管理職の項目
・日本の組織は、経営者・中間管理職と末端社員が相互に助け合うような三元論を基礎にしている
・日本と欧米の企業組織はその成り立ちの背景からして異なり、日本企業には中間管理職という、日本企業ならではの強みがあるという視点を忘れるべきではありません
・課長と部長は何が違う?
・課長の部下はエース級の人材も問題社員も玉石混交
・部長の部下である課長は、そもそもがエース級の人材のみであり、基本的には粒ぞろい
・課長が良く辞める会社というのは、末期的な状況にある会社以外ではあまり聞きません。
・課長には「部下とはそもそも辞めるもの」という認識が求められてきている
・課長は、部下・顧客・部長の三方向に目配せをしつつ、対立する利害を調整しないといけません。
・そして「予算」という言葉から感じるイメージですが、課長にとっては「達成しないとならないもの」といったところですが、部長にとっては「人を動かす政治的なツール」というのがリアリティーのある解釈になる。
・課長として最も大切なのは「部下のモチベーションを管理する」という仕事
・部下が「自分は会社に大切にされている」という実感を持って仕事に取り組めるかどうかが最も重要
・成果主義では、測定可能な「量」としての数値目標を立てることが必要とされています。しかし、会社への貢献とは、「職場の雰囲気を明るくする能力」のように重要なものに限って、それを数値として測定することが難しい質的価値であったりします。
・課長の上司となる世代は「自らを犠牲にしてでも会社の業績に貢献する」という滅私奉公的な姿勢を大切にしていることが多く、顧客をほとんど神様のようにして尊重するものです。
・若い世代の人材は、リストラの悲劇などを聞かされて育ってきたため、会社というものを冷めた目で見ています。古い世代が大切にするような自己犠牲的な献身を、大げさに言えば軽蔑さえしています。
・異なる価値観を持つ世代がまとまるために必要なのは、どの世代でも変わらない「価値観の共通点」を軸に、世代を超えた議論をすることです。そうした「共通の価値観」として有効だと思われるのが「顧客第一主義」です。
・末端社員が現場で入手したホカホカの情報は、上司への報告という形で経営者にまで伝わります。
・これとはちょうど対照的に、経営者が持つ経営情報は、上司から部下への「指示」や「通達」という形で部下に伝わっていきます。
・なので、現場情報と経営情報をグラフで表すと、それはちょうど逆向きの形になります。
・(1)課長のところで経営情報と現場情報は交差し(2)社内の情報は課長に向かって集まり(3)課長は現場情報と経営情報をバランスよく持っている
・いわゆる「風通しの良い企業」というのは、より多くの情報が流れる組織のこと。「フィルタリングによる情報量の減少が少ない組織」と考えていいでしょう。
・「風通しの良い企業」においては、「情報の洪水の中から、自分に必要な情報だけを抜き出す」という情報のフィルタリングが個人個人に任されている。
・これに対して「役割り分担が明確な企業」は、現場情報は経営者まで殆ど伝わらず、経営情報も末端社員まで伝わらない企業で、「フィルタリングによる情報量の減少が大きい組織」
・このような組織スタイルをかたくなに守ろうとすると、優秀で重要な人材から順に組織あら流出していく可能性もあるでしょう。組織の将来を担うようなエース級の人材は、決められた仕事だけをこなすのいうのは苦痛に感じる。
・中間管理職は、現場から「重要な現場情報」を引き上げ、それを「経営者が描いた大きなビジョン」をつなぐために知恵を絞る「ミドル・アップダウン」な活動をする
・比喩や象徴によって経営者のビジョンを翻訳しつつ末端社員を動かす
第二章:課長の8つの基本スキル
・部下のモチベーションを管理できれば、課長の仕事は務まった
・部下をほめることの反対は、叱ることではなくて、部下について無関心でいること
・必ず人陰でこっそり叱る
・フェーズ1:事実関係を確認する
・フェーズ2:問題に至った原因を究明させる
・フェーズ3:部下が気付かなければ、直接原因を伝え、部下を叱る
・◆仕事に没頭する状態5つの条件
・条件1:やることの目的と価値が明確になっている
・条件2:活動を自分でコントロールできる
・スターバックスには従業員向けの接客マニュアルがない。従業員に「顧客が心から満足するサービス」を自らの頭で考えさせることが従業員のモチベを高める。
・どこか居酒屋ではないところで、立場や肩書を超えた部下全員の本音を聞き出す機会が強く求められている。その方法がオフサイト・ミーティング。
・◆リラックスしたミーティングのための工夫例
・お互いをファーストネームで呼び合う(あだ名でも良い)
・全員、長い自己紹介をする(各人30分以上が目安)
・多少の合理性が犠牲になっても、チームのメンバーがお互いに心の壁を取り払って話し合えるような状態にあることが理想的
・オフサイト・ミーティングの度に、きちんと集合写真を撮影してメンバー全員に配るということを忘れずに実施しておくと良いでしょう。
第三章:課長が巻き込まれる三つの非合理
・組織は「こういうインプットがあったら、こういうアウトプットが出る」というナイーブな期待によって成り立っている。
・「社内政治」という言葉には、ネガティブな印象を持つ人が多いでしょう。しかし、基本的に人間が3人以上集まっている集団において、政治が発生しないことはない。
・予算の数値目標には、説得力のあるストーリーを準備する。
第四章:避けることができない9つの…
・課長として最も対応が難しいのは、経営学の世界でCクラス社員と呼ばれるような、職務を遂行する能力が極端に低い社員への対処
・Cクラス社員にもこなせる仕事を、課長が見つけ出してきて与える
・できる仕事がある、会社の役に立てることがある、課長から「ありがとう」と言われるような小さくてもそれなりの成果を出せるという状況になれば、Cクラス社員のモチベーションを回復させ、能力を向上させていきます。
・リトマス試験紙は、仮にそのCクラス社員が自分の子供だったとするなら、同じような対応をするかどうか、自らに問うことです。
・武将、小早川隆景は「損得ではなく、仁愛によって決断すれば結果によらず後悔することなどない」
・「本物」とは個人的な利害ではなく、会社全体の利害を考えて会社を成長させることができる人物、さらに従業員のみんなをハッピーにするために、無私に優れた仕事をすることができる人物
・本物といえるような若手の部下というのは、控えめに言って生意気、はっきり言って無礼で可愛げのない人材であることが多い
第五章:課長のキャリア戦略
・「これからは中国の時代だから」と、英語の勉強もそこそこに中国語やほかの言語の勉強を始める人を見かけるが、中国は10年以内に英語を話す人口ナンバーワンの国になる。
・あなたの「典型的な一日」を思い出して、英語のトレーニングの時間がないなら非常に危険。
・起業以外の方法で、部長が経営者に上り詰めるために必要なのは「運」です。
第六章:活躍する課長が備えている5つ
・機能1:個の力=組織長としての正当性
・ 現状(is)ばかりでなく、どうあるべきか(should)についてのビジョンを持っている
・ 自分の責任範囲を超えて、全体のために「善いこと」をする気力に充実している
・ ほかのみんなが諦めるような最悪な状況でも、ポジティブに笑顔で前進することができる
・ 問題が発生したら、いきなり我流でこなそうとせず、まずは先人の知恵を参照する
・ 少なくとも2つの分野において、組織内では専門家と言えるレベルにある
・ 数多くの挫折や修羅場を乗り越え、他人に認められる成功体験を経てきた
・機能2:指示を受け、指示を出す=経営情報の翻訳
・ 多種多様な仕事の経験を通じて、組織の仕組みに精通している
・ ビジネス一般(マーケティング、会計、IT、グローバル)について、十分な教養を持っている
・ 全社レベルで、物事のプライオリティを理解することができる
・ 目的を達成するためのタスクを、ロジカルに分解することができる
・ 指示を出す相手に、適切な「粒度」で指示を出すことができる
・ 押し付けにならず、部下も納得する形で指示を出すことができる
・機能3:報告を引き出し、報告する=現場情報の翻訳
・ ホウレンソウの徹底が組織内に浸透している
・ 報告を待つのではなく、部下のところに情報を取りに行く態度をとる(悪い情報は隠される)
・ 部下が報告している事柄が、「事実」なのか「意見」なのかを常に気にする
・ いかなる物事も測定し、グラフや図として報告する習慣がある
・ 経営層が把握すべき指標(KPI)を理解し、最新の数値を記憶し、必要に応じてアラートを出せる
・ 経営層にエスカレーションすべき問題と、そうでない問題の切り分けを間違えない
・ 他部門の目標を理解し、その目標達成を積極的にサポートする姿勢がある
・ セクショナリズムを嫌い、他部門との意見交換や人材交流を積極的に行う
・ 部門をまたがる組織横断プロジェクトでリーダーシップをとることができる
・ 組織の代表者として、組織外の目から見て恥ずかしくない対応が取れる
・ 利害が対立する現実から目を背けずに、交渉すべき時はどこまでも交渉する強さがある
・ 守秘義務やコンプライアンスなど、組織外の人々と連携するときに必要な法務規定を遵守できる
・ 部下のキャリア観を理解しつつ、部下のキャリア形成を積極的にサポートしている
・ 「雑談」「対話」「議論」の違いを理解し、意識して部下と「対話」の機会を持っている
・ 自分自身も、さらなる高みに向けて常に学習を心掛けている
・ 組織内に高い就業倫理観を醸成し、一般的には高いレベルの仕事でも「当たり前」と判断する
・ ノウハウを貯めこむような態度は認めず、ノウハウを組織内で効率的にシェアしている
・ なんとなく理解していること(暗黙知)を言語化(形式知化)することに価値を置く