宇能鴻一郎のレビュー一覧

  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    「鯨神」からの「西洋祈りの女」が、形の違う壮絶な神殺しの話2連発で圧倒された。
    他はやたら文章の上手い足フェチ変態小説なんだけど、物悲しさの敷かれたホラーやコメディとしてどれも出来が良過ぎる。強い短編集だった

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    2025年01月27日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    筒井康隆のエッセイでよく見た名前だな、くらいのとっかかりと、タイトル、表紙に惹かれて買いましたが面白いのなんの。

    「姫君を喰う」とはそういう意味なの?と読んでびっくり。何を読まされているのだ(笑)。
    とは言え古い元ネタがありそれを現代(といっても1970年の作品!)にエロくかつ怪談のように蘇らせてお見事。食事と性欲の身近さが濃密に感じられて若者が読むと性癖が捻じ曲げられそうです。

    続く「鯨神」も明治初期の話で、巨大な鯨に祖父、父、兄貴が殺され仇を討つ若者が主人公。
    そこまで熱も無いのに鯨と死闘を繰り広げる主人公の独白がまたしても現代に通用してしまうのが全く恐ろしい。
    他の作品も楽しみです。

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    2023年02月08日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    「姫君を喰う話」
    千年の時を超えて生きる虚無僧と並び、モツ焼きを喰いながら
    セックス&カニバリズム談議にふけるという話
    モツ焼きを食べるということが
    むかし愛した女を想ってするオナニーのようなものであるらしく
    それを指摘された虚無僧はどこかに消えてしまう

    「鯨神」
    明治時代初頭の長崎で
    巨大な鯨に親兄弟を殺された若き漁師が
    これに復讐をこころみる話
    復讐を果たした彼は、自らも深手を負ってしまうのだが
    死に際の夢の中で鯨と和解する
    人を人たらしめるのは物語であり
    そこを離れれば人も自然界の一部にすぎないという
    ひとつの気づきであるが
    死を目前にしなければそれを実感できないという
    物悲しさもある

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    2021年09月30日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    ふーん。えっちじゃん。
    ドン引きするような性癖を読まされて勃ちはしないけど、何故かエロいと感じる文章で、これが官能的ということかと思ったりした。

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    2025年09月04日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    『花魁小桜の足』
    愛する男と天国で出会うためカトリックに入信した小桜が来たる踏み絵に向けて苦慮する話。
    踏み絵を断った遊女が処刑される場面が強烈で、ハリツケを受け入れる信者の盲信が不気味で結末も捻りのある展開で好ましいものであった。

    『西洋祈りの女』
    青年会館での場面では、その場の異質な雰囲気に呑まれる大衆に対して一人黙って凌辱され続ける女との対比が素晴らしい。

    上記に加え『姫君を喰う話』、『ズロース挽歌』が好き。

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    2025年08月26日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    文化人類学、官能倒錯の世界、神話、怪奇と読み手を揺さぶるようなテーマとストーリー展開にちょっと衝撃を受けた。

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    2024年12月07日
  • アルマジロの手―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    古い時代をベースにしたエロティックな文章で綴られた短編が6篇.戦後間もない情景が出てきて、ああそんなこともあったなと膝を打つ回数が何度もあった.このような形で小説に残っていることは、後の世代の人々が味わえるので素晴らしいと感じたが、ある程度の年代の者にしか分からない感情も多くあるだろう.「蓮根ボーイ」に出てくる少年の行動は、当時の少年の雛形のような感じがした.

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    2024年08月08日
  • アルマジロの手―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    「アルマジロの手」が怪談風な話で他の話と一線を画しているが、全体的に第3者から見れば不幸であるが、本人にしてみればそれが幸せ?という話が多く、それが返って、悲哀を浮き出している。

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    2024年07月14日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    人間の生と性を、食という角度から描いた作品が多く、読んでいて、食欲が湧いたり減退したり、ジェットコースターに乗っている気分だった。

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    2024年07月11日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    食と性に焦点を置かれた話が多い印象。
    官能的と強調されているせいか、普通のこともなんだか少し官能的に見えてくる。

    脚に焦点が置いている表現が多いのも印象的。語彙力の高さは舌を巻くものがあるが、本を読む瞬間のない人間が読んだら退屈そうな内容にも感じられた。

    歴史小説を読んでいるような感覚にもなるし、男向けの作品のようにも感じられる。
    面白いとは思うが、あくまで読書好きならば、という言葉が付随しそう。

    解説→気になる話を読むの順番が個人的にはおすすめ。

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    2024年04月22日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    奇妙な感触が得られる6篇だが、「鯨神」に登場するシャキと紀州男の戦いは心理作戦も含めて強烈なものだ.鯨退治に挑む二人だが、紀州男の配慮が秀逸だと感じた.隠れキリシタンに対する酷い仕打ちが出てくる「花魁小桜の足」では,
    官僚たちの醜さが目立った.「ズロース挽歌」は共感する部分が多かった.女学生に憧れる男の習性は永続すると感じた.「リソペディオンの呪い」では鍾乳洞で安楽を得る釜足の気分は理解できる.解説にもあったが、著者のほかの作品を読んでみたい気持ちになった.

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    2024年04月13日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    「姫君を喰う話」居酒屋にいた坊主は、はるか昔高貴な姫君をなぜ喰ってしまったのか・・・
    「鯨神」鯨神と呼ばれた巨大鯨と祖父、父を鯨神に殺された漁師の戦い。

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    2023年06月09日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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     1961(昭和36)年から1970(昭和45)年にかけて発表された短編小説を集めたもの。
     令和3年8月に出たこの新しい新潮文庫を店頭で見かけ、「宇能鴻一郎ってどこかで聞いた名だけど誰だっけ」と首をかしげ、巻末の解説をパラパラ見てみたら、そういえば「官能小説家」ではないか。団鬼六と並んで、中学時代にはこれらの作家の名を出しただけで淫靡な笑いを友人たちと共有したものだ。
     知らなかったのだが、この宇能鴻一郎さんはもともと芥川賞作家であって、当初は純文学畑の小説家であったそうなのだ。この新刊の帯には「ただならぬ小説がここにある。」「官能の巨匠か、文芸の鬼才か。」「人間の深淵を容赦なく抉る至高の六

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    2023年02月07日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    筆力は重厚で迫力がある。特に表題作や『ズロース挽歌』など男の性倒錯・変態性を描いた話は本人もノリノリの為凄まじい出来栄えだった。
    ただ、そういった作品とその他で露骨なバラつきがあり、得手不得手を感じた。

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    2023年01月01日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    最近の作家とは違い、文体に酔うことなんて久しぶり。鯨神は、凝縮された世界。昔ながらの芥川賞作品。官能作品ばかりでなく、本当に文学と感じた。
    今まで避けていて損した気分。読み終わるのがもったいない。

    芥川賞受賞作は、流石!

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    2023年07月12日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    結構前から積んでたけど、そろそろと満を持して取り出した本書。平積みから買ったけど万人が手に取っていいのだろうか。

    表題は意表を突かれたけど妙に納得と官能と食欲を刺激される怪作。凄い筆致で驚いた。谷崎や安部公房なんかを彷彿とさせる艶かしさ。

    鯨神は芥川賞受賞作なのね。全体的には何となく陰鬱な雰囲気を受けるけど最後の鯨神との対話でパァーッと陽光がさすような。

    花魁小桜の足。小品。うん、まぁ、といったところで過分感慨もないといったところだが。文体は少しクセになってきた。次に期待。

    西洋祈りの女。ややアングラな日本映画のような情景。西洋祈りというカルトな雰囲気が深い靄をかけたように揺蕩う。幕切

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    2022年11月10日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    どの話も変態が出てきて面白かった。
    女性の足への強いこだわりは谷崎潤一郎ライク。
    ネットでのレビューを見て買ったが「これが読みたかったんだよ!」って作品が並んでて楽しかった。
    ちくま文庫の『猟奇文学館』シリーズだれかプレゼントしてください。

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    2022年07月25日
  • 味な旅 舌の旅 新版

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    わたしは甘党で下戸で偏食であり、宇能先生とは正反対の嗜好の持ち主なのだが、先生の文章力のせいで、紹介されている食べ物のいくつかは食べてみたくなったなあ。

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    2022年03月25日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    収録されている短編全て、高貴な文体で土俗的な猥雑なことが語られる、かなりのインパクトと不思議な読後感を感じる短編集でした。

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    2022年02月27日
  • 姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)

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    ★4.5「花魁小桜の足」
    終わり方がいい!
    ★4.0「姫君を喰う話」「鯨神」
    ★3.5「西洋祈りの女」「ズロース挽歌」「リソペディオンの呪い」

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    2021年11月19日