辻佐保子のレビュー一覧

  • 「たえず書く人」辻邦生と暮らして

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    #中公文庫 #辻佐保子
    たえず書く人 #辻邦生 と暮らして


    各作品の舞台裏を語った本

    多作のイメージが強い辻邦生だが、著者曰く「基礎的な理論の構築を終えるまで 小説を書き始められなかったため〜執筆は60代半ばから一挙にはじまった」らしい


    「フーシェ革命暦」の三部を書き終わらなかった理由を、阪神淡路大震災やオウム事件など終末的な悲劇の世相のなか、残酷な恐怖政治を書き続ける気持ちになれなかったから、と推定している


    「春の戴冠」は ボッティチェルリの絵を見てから読んでみたい。「銀杏散りやまず」も面白そう


    われわれは実存の孤独な夜の深みに徹することによって、はじめて存在の呼びかけ

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    2025年10月26日
  • 「たえず書く人」辻邦生と暮らして

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    読むのはいつもあとがきばかり
    あとがき−心の闇あるいは水面下の氷山−
    過ぎ去る時と留まる記憶

    八ヶ岳から軽井沢暮らしになるところが懐かしく、また、知らなかった人間関係も見えてきた。辻邦生の松本高校時代の恩師であり結婚の証人になった関屋光彦氏の綾子夫人の兄が森有正氏だった。
    著者は私のなかでは「A」として「パリの手記」に出てくるイメージしかない。
    辻邦生の文学を現実に引き戻す存在としてAのネタばらしは楽しい(引用を見てね)。

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    2011年06月21日
  • 「たえず書く人」辻邦生と暮らして

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    2011/05/25 中公文庫「『たえず書く人』辻邦生と暮らして」(辻佐保子 著)

    辻佐保子という著者は、作家・辻邦生夫人である。
    この著作を初めて見たのは、もう数年も前の事になる。四六小版の薄いハードカバーであったと記憶している。その時読んでみたいと思ったのだが、単行本であったため購入しなかった。
    その後やはり読みたいとその本を探したのだが、既に本屋の棚から消えていた。売れたのであろうが、手に入れられなかったのが残念に思っていた。
    そして今日、朝日新聞の広告欄に中公文庫の出版案内が掲載されており、それらの文庫の一つとして、この作品が紹介されていた。やった!欲しい本が文庫として出版される。

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    2011年05月31日
  • 辻邦生のために

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    作家・辻邦生の妻である著者が夫の死後にその思い出を語った回想や、遺稿集としてまとめられた本の「あとがき」として書かれた文章などが収録されています。

    「ぼくの趣味は哲学だ」と語っていたという辻邦生の意外な日常のすがたが綴られる一方、観念的な思索や理論的な探求へと向かう夫とともに生活するなかで、影響を受けながらもそれとは異なるみずからの資質に目を向けていく著者自身の性格についての分析が語られています。

    若いころには雑文を書くことに対する抵抗を語りながらも、そうした決意が揺らぎ出し、やがて「男が五十、六十で仕事をしなくてどうする!」と豪語するまでになった邦生のエピソードを紹介しながら、「その時々

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    2021年08月28日
  • 「たえず書く人」辻邦生と暮らして

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    辻邦生全集のあとがきを編集した内容。各巻ごとに当時の執筆状況や心理状態を最も近い存在の著者が振り返っている。年代順に追うことができる。

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    2012年08月14日