高岡望のレビュー一覧
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今年の4月からスウェーデン語を勉強し始めた自分にとってスウェーデンの文化について断面的に横断しているこの書は概論として非常に良かった。
筆者によるとスウェーデン人の強さの秘密には2つの側面「自立した強い個人」と「規則に基づく組織力」にある。人類学者のÅke Daunはスウェーデン人を「北欧の日本人」と表現し、有名洋服ブランド「H&M」の日本市場での成功の一要因として見ている。彼も述べたように、スウェーデン人の国民性には横並び意識の強さ、内気で上下関係に敏感、など日本人のイメージに近いものがあり、親しみを持つ事ができた。この内気な国民性は外国人を受け入れることに乏しかったこと、日照時 -
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アメリカの大問題―百年に一度の転換点に立つ大国
著:高岡 望
PHP新書
大転換時期を迎えた21世紀のアメリカの大問題というか、特徴といったほうがいいのではないかと思います。
その問題とは3つ
①格差と移民
②力の行使
③エネルギー(=シェール:頁岩からとれる、天然ガス、石油)
である
■格差と移民
世界的な傾向として、格差が広がっている
その象徴が医療費 10分の診療で錠剤を処方してもらっただけで、なんと30万
その計測は、ジニー係数と、実効税率、西側では格差は広がりつつあるが、顕著なのは、USAだ
人種間の所得格差は過去40年間驚くほどかわっていない その比は、白人100:黒人 -
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トランプを支えたのは、自由貿易の結果、大学にもゆけなかった貧しい白人層であった。
取り残された白人、虐げられた白人に光を当てて、かれらを救おうとしたのがトランプだ。
トランプ政権の発足から5カ月たった状況をまとめたのが本書です。
気になったのは以下です。
■選挙に勝つための方法
①穏健戦略 中道、無党派層を取り込む戦略
②大衆動員戦略 トランプが採用した、従来からの支持者の投票率を劇的に上げるもの
■トランプの政策は、ポピュリズムか
・アメリカで唯一、死亡率が増大している層があった、それは、高卒以下の貧しい白人層だった。忘れられていた存在、失業、不法移民、イスラムのテロ、そして、世 -
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日本はスウェーデンになるべきか――本書を読んだ感想としては、NOです。
否定される一番の要因は、国民が政府を信頼している点にあります。国家が国民を一元管理し、プライバシーもへったくれもない管理国家の印象を受けましたが、これが可能なのは、政府が国民の期待に応えているからです。年金や保険、医療等、政府が一元管理する方が合理的ではありますが、これが日本だと杜撰な管理になってしまい、個人情報が漏れて大変なことになるだろうと思います。またマイナンバー法案成立にも苦戦したことから、もはや日本国民は政府を信用していません。
民主主義の要請、体現が政府の責任で、スウェーデン政府はそれにきちんと応えているのに対 -
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著者の高岡望氏は、2013~15年にヒューストン総領事を務めた外交官。
本書では、(著者曰く)「テキサスがわかれば、これからのアメリカがわかる」というテキサス州・ヒューストンという視座から見た、アメリカが現在直面している3つの最重要テーマ(problemというニュアンスの“問題”ではない)である、「格差と移民」、「力の行使」、「エネルギー」について分析している。
主な内容は以下であるが、私には、日本人には分かりにくい、「低所得者層がなぜ共和党を支持するのか」についての考察が、特に興味深く感じられた。
◆アメリカで格差が拡大している理由は、①「小さな政府」への指向が強く、高所得者層から低所得者層 -
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ネタバレ「住みよい国」の代表としてあげられる事の多いスウェーデンだが、その実態は殆ど知らなかった。人口はわずか1000万人足らず。高税率/高福祉の「大きな政府」の代表格。真面目で内気な国民性は日本人とも共通点がある。スウェーデンモデルは果たして成功しているのか。日本はこれに学ぶところはあるのか。と思い読み進める。長い冬、厳しい気候がもたらした、逞しく自立心のつよい国民性がこの国の有り様を支えている。従って単純にこのシステムを日本に導入することは難しいだろう。なによりも政治家と国民との間に信頼関係が築けない我が国では、このような高負担を国民が飲むことはできない。なぜスウェーデンでは透明性の高い政治が可能
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福祉先進国として、福祉の分野ではよく注目されるスウェーデン。だけど、実際のところどんな国でどんな制度なのか、実はあまりわかってなかったので、話題のこの本を読んでみた。
筆者が考えるスウェーデン国民のキーワードつまり高福祉高負担に必要な要素は、「自立した強い個人」「規則に基づく組織力」「透明性」「連帯」。
この本を読むと、“地域包括ケア”を掲げる日本の介護制度がスウェーデンに近い形をめざしてるのがわかる。
びっくりするのは専業主婦率2%という数字。さらに親との同居率も低い。一体どうやって子どもを育てているのか。社会全体の理解があるとはいえ、これはすごいことだと思う。
あと私が強く感じたのは政治に -
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●感想要約:
医療格差や移民統合の課題を通じて日本社会の将来をも考えさせられる本であった.特に小さな政府を志向する政治文化やシェール革命の背景分析は示唆に富んでおり、米国の構造的強みを感じ取れました.トランプ大統領2期目もあり,格差・民族・宗教対立や外交政策を巡る不確実性の動向が,日本にも影響のある点と思います.
●科学博士の書評指数:
楽しみ度:★★☆☆☆
共感度 :★★★☆☆
学び度 :★★★★☆
話題度 :★★☆☆☆
お薦め度:★★★☆☆
●概要:
外交官であった筆者がテキサスから観察した米国の歴史・政治・移民・格差・外交・エネルギーの複合的危機に直面するアメリカを分析している.覇権 -
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<小川コメント>
「日本人は地政学をきちんと勉強していない」
とはよく言われる。
正直私自身も社会科の授業は高校時代に終わっているから、今となってはほとんどゼロベースだ。
しかし、今後の未来を考えると、ヨーロッパ、アメリカ、アラブ、そして東南アジア&中国で起こっていることを正確に把握していないと、確実に未来を読み間違えてしまう。
地政学には世界史で習う部分も含まれるが、そんなものは断片的にしか覚えていない。
歴史を知らねば「なぜ今がこうなっているのか?」が分かる訳がない。
そして「未来がどうなるのか?」について予測できる訳がない。
日本はあまりにも特殊な環境すぎた。
それ故に、世界の動きに鈍感 -
Posted by ブクログ
トランプ大統領の当選は必然である的な説明もこれまでいくつか耳に入って来ている。つか、いくつかしか耳に入ってこないのが日本のマスコミのあかんところかもしれないけど。
案外というか、大統領選に挑んだ戦略がぴったりハマったようなところがあって驚いた。
ある意味、米国の底にドロドロと渦巻いていたものを噴き出させてしまったというか。
別段トランプ大統領を評した本ではなく、まさにそれ以降、米国を中心とした国際社会の変動とそこに日本がどう関わっていくかを論じている。
日本はまだ、幸運なんだろうなと思うわ。
ただ、このままでいいのかどうかは全く違うわけで。