高岡望のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「自立した個人」を目指すというところがスウェーデンの様々な制度の基礎となっているのだと分かった。そこからは良い面ばかりでなく、冷たい面も見えてくる。
ちょっと子どもが熱を出したら2~3日様子見てくださいとか、何かの症状で具合が悪くなっても大事ではなさそうだったら(もちろん自分では判断のつかない場合もあるのだが)診断が先延ばしにされることなど、ちょっと可哀そうな部分もある。
産業構造を積極的に転換し(その際、後から雇われた者、若い者から解雇される)、国際競争力を高めるというところはいいけれども、15歳から24歳の若者の失業率が25%ってのはかなり高いなと思った。この辺りについて若者はどう思ってるのか。
スウェーデンの制度はやり方として効果的なものはたくさんあると思うが、限度として少しやりすぎではと感じる部分もあり、日本がそのまま真似するべきものではないと感じる。この部分はスウェーデン式やり方をこの程度参考にするというふうに、少しずつ盛り込んでいくのが一番良いんじゃなかろうか。 -
Posted by ブクログ
本書は、一人当たりGDPランキングで世界のトップクラスであるスウェーデン王国について、その文化や社会保障制度・労働市場・医療制度等をわかりやすく紹介したものである。アメリカ的市場経済重視の資本主義が行き詰まりを見せている世界経済の現状において、それとは違う資本主義モデルとして、興味深い思いで本書を読んだ。
本書によると、スウェーデンの専業主婦率はわずか2㌫だそうである。日本の2005年の統計によると日本の専業主婦率は28㌫だそうであるから、スウェーデン国民は良く働く国民であると感心する。
そのほかにも、様々なエピソードを交えてスウェーデン社会の実情を紹介しているが、社会制度の成立には、その特有の歴史とそれにより培われた国民性が背景にあることが、良くわかる紹介の仕方となっており、興味深く読めた。
著者は、東大卒業後外務省に入省し、スウェーデン公使も勤めたエリートのようだが、スウェーデンの社会をよく理解していると感じた。本書はわかりやすく、読みやすく、スウェーデンを全く知らない人でも、その歴史と現状の概略を知ることができる良書であると思った。
本書の最終章「ストックホルムで考える日本外交」において、著者は「ヨーロッパにおけるスウェーデンと同じく、アジアにおいて日本が法の支配・人権の尊重・民主主義という原則を掲げる運動の先頭ランナーであるべき」として、日本が「スウェーデン同様に軍縮・国連のPKO活動・開発援助という分野で積極的貢献を続けることが重要である」と主張している。PKO活動への参加には、いろいろと検討しなければならないこともあるかもしれないが、基本的には賛同するものであると思った。