菊池寛のレビュー一覧

  • 新撰クラシックス 人間失格 櫻桃 グッドバイ(小学館文庫)
    桜桃忌(6/19)が近いので「櫻桃」のみ読んだ、波風立てない努力とそれがはちきれんばかりに膨らんで弾けるギリギリのところで胃をキリキリ痛める主人公の心の内が明確に表現されている
  • 易と手相
    内容はタイトルまんまで、占いに関して蘊蓄がかたむけられている。芥川龍之介のはなしも少しあり、ふたりの交流がうかがえたりする。
  • 真珠夫人
    瑠璃子のもがきながらも、自らの運命を開こうとする姿が印象的だった。そろそろ、再び新たにドラマ化されてほしい感じもする。
  • マスク スペイン風邪をめぐる小説集
    表題が『マスク』だし、‘スペイン風邪をめぐる小説集’とあるので、その辺りの話ばかりかと思いきや、後半は特にそうではなく…その後半の作品たちが、とても面白かった。
    人の心の動き、人と人との関係(今ならコミュニケーションという言葉で表すのだろうけれど、もっと複雑な)日本的なもの。心が痛くなる瞬間が何度も...続きを読む
  • 恩讐の彼方に
    トンネルを貫通させることが、タイトルの「彼方」とリンクするさまはよく練られた設定だと思う。前半の市九郎が掘削工となるまでの過程も興味深い。
  • 受難華
    女子校の仲良し三人組が女学校卒業後、幼なじみの許嫁との結婚、青年実業家と見合いで結婚、既婚者との道ならぬ恋を胸に秘め…と、三人それぞれが順風満帆とはいかない「受難」を経てたどり着いた先は――

    婦人誌に連載されてただけあって「最後はこうなるだろうな…」という予想通りの方向に向かいつつ、途中それぞれに...続きを読む
  • マスク スペイン風邪をめぐる小説集
    スペイン風邪の時代、文豪の書。
    装丁がリアリティ、マスクは日本人にとってこの時代から、必需品である。
    今は進化したマスクだけど、私の子供の頃のマスクは、著者の時代と変わらない仕様であったはず。それでも、マスクは効果的だったはず。
    他に収録された7編もどれも読み応えあり。
    そして、現在の作家である辻仁...続きを読む
  • マスク スペイン風邪をめぐる小説集
    マスクなど短編集。マスクは100年前のスペイン風邪の流行時の話。菊池寛先生の怯えなんかが、コロナ下の今とほぼ同じなのが面白かった。他の短編、忠直卿行状記、仇討禁止令も面白かった。
  • 真珠夫人
    物語の中でハラハラドキドキさせる展開は良かったと思いますが、作者が意図して通俗小説として書いている事が分かるぐらいに文章は淡々としています。少し物足りないぐらいです。それは多分、昼ドラが流行った時代に私が昼ドラを見過ぎていたので、物語としては慣れてしまっていたからじゃないでしょうか。
     語り手の渥美...続きを読む
  • 真珠夫人
    自分と恋人がある成金男性を侮辱したことで生活をめちゃくちゃにされ、その男性ひいては社会に対して復讐をする話。
    法に背かない範囲で父までも追い詰めた相手に敢えて嫁ぐことにより精神的な苦痛を与え復讐をしようと考えるが、相手はあっけなく死んでしまう。
    いつのまにか矛先は、男は女を弄んでも良いけど逆はダメ、...続きを読む
  • 真珠夫人
    どんなに冷たくつよくあろうとしても隠せない、瑠璃子の可憐さ。

    美奈子に強く感情移入して読んでしまったので、後半はかなりつらかった…
  • 新撰クラシックス 李陵/山月記(小学館文庫)
    ☆3.5
    中学校か高校で習ったなぁ。懐かしい。自らの心の中の、獣の姿になってしまった男か...。他人事ではないんだけどね。
  • 真珠夫人
    彼女は美しい。その美しさは、外面の流麗さだけではなく、内に秘める想いの強さが、自ずと出ているからこそ。
  • 新撰クラシックス 李陵/山月記(小学館文庫)
    【前漢の武帝の時代。侵略をくりかえす匈奴を討つために北辺の地へ向かった李陵であったが、やむなく捕虜となってしまう。そしてその李陵を弁護した歴史家・司馬遷は、宮刑に処され──。
    時代の波に翻弄される男たちの姿を描き、“人間の真の美しさ”を問う「李陵」、己の自尊心のために虎の姿になってしまった詩人・李徴...続きを読む
  • 貞操問答
    斜陽族の主人公が一家を支えるためにお金持ちの家庭教師に行くんですが、そこのダンナさんと恋仲になってしまうと言うお話。「真珠婦人」とはまた違った貴族的・モダンな雰囲気です。

    とにかく姉と妹に振り回される主人公にイライラ・ハラハラ。読んでて疲れました。あと綾子夫人が素敵・・・こんなノーブル・いじわる...続きを読む
  • 貞操問答
    3.5。女の感情をとてもわかってらっしゃる作者で、電車を乗り過ごすほど。精神的な陰翳のある末娘大活躍・大暗躍!ケルク フルールもまだ新しい時代。。。
  • 真珠夫人
    美貌と才知を武器に、父親と恋人を陥れた男を復讐する華族の娘瑠璃子の物語。

    うつくしさって力なんだなあ。ぜんぜん瑠璃子を愛してなかったなり金男が、瑠璃子の美しさに魂を抜かれて、自分の所業を激しく悔いながら死んでいくのが圧巻。

    義理の娘美奈子と瑠璃子のやり取りも好き。愛する娘、愛するお母様とお互いを...続きを読む
  • 貞操問答
    授業でこれの昼ドラを見ていたので教科書として購入。ドラマより原作のが好きだなー。こういう時代のわざとらしい敬語みたいのって結構好きです。しかし予想以上に面白かった。ベビーエロかわいい。そして強し。
  • 貞操問答
    新聞小説だったからか、こま切れで読みやすい。

    美和子みたいな女の子、この時代にほんとにいたのかな。
    「ボクはね。とっても素敵さア」とか言ってみたかったなー。
  • 真珠夫人
    大正時代の小説ながら、新仮名遣いのためもあり、するすると読めた。いつの時代も男は根本的に純情だね。3つの視点が交錯し、収斂する。最後は少々とっちらかり気味。妖婦と思わせつつ、ほろりとさせた直後に急転直下。アドバイスが裏目に出た・・・というか、よけいなお世話な気がするぞ。エンディングでもその件に関し、...続きを読む