菊池寛のレビュー一覧
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ネタバレ2002年の昼ドラの時に、興味は持ったもののドラマを観ていなかったので、せめてと買った小説が積読でした。
北村薫の『円紫さんシリーズ』で、芥川をめぐる文壇の謎解きから、この作品に言及され、引っ張り出して読みました。
凄いですね、メロドラマの元祖?
何が凄いって、男性の筆によるメロドラマだから。
女性の怖さ、男の愚かさが余すことなく書かれているから。
そして、文庫版の解説が川端康成だから(!)
川端先生の解説の結びでは、通俗小説ながら家庭の読み物としての健康を保ったのは、瑠璃子の悲劇と処女性に同情があったからのように、瑠璃子が美化されているけれど、この時代ではそうだったのでしょうか?
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Posted by ブクログ
ネタバレドロドロの昼ドラでやっていたという真珠夫人。すごく刺激的な内容なのかしらとドキドキしながら手に取ったが、大正時代の作品ということもあり、とても美しい印象を受けた。
まず、文章の美しさ。椎名林檎の歌詞カードを読んでいるような仮名遣いの数々。日本語ってこんなに美しい言葉だったんだと、今改めて思い出す。
そして、主人公瑠璃子の心の清さ。悪女といっても、今の時代の悪女とは全く違う、品のある心は真珠のような悪女。
物語も、現代小説を読んでいる時のあの残酷な刺激はなく、最後にはホロホロと涙が流れてしまう程度の心地よい読み終わり。
昼ドラではかなりストーリーが変わって毒々しかったらしいので、是非原作 -
Posted by ブクログ
☆あらすじ☆
真珠のように美しく気高い、男爵の娘・瑠璃子は、子爵の息子・直也と潔い交際をしていた。が、家の借金と名誉のため、成金である勝平の妻に。体を許さぬうちに勝平も死に、未亡人となった瑠璃子。サロンに集う男たちを弄び、孔雀のように嫣然と微笑む妖婦と化した彼女の心の内とは。話題騒然のTVドラマの原作。
500ページ以上もあるかなりの長編だったけど
すらすら読み進められました。
大正、昭和の時代の女性は初恋を大切にしていたのだと
しみじみ思いました。
当時は初恋の人と結ばれて一生添い遂げることが
一番の幸せだったんですね。
面白かったので、再読したいです。 -
Posted by ブクログ
恥ずかしながら菊池寛初体験。
菊池寛といえば「文芸春秋」創設者で、芥川賞・直木賞を設立した人。
また「父帰る」や「藤十郎の恋」等の純文学を生み出してもいる。
大正九年に「真珠夫人」を新聞小説として発表して爆発的ヒットを生んで以来、いわゆる通俗小説を手がけるようにもなった。
「真珠夫人」ってなんだか淫靡な響きじゃありませんか。
林真理子の「白蓮れんれん」を読まなければここにたどり着かなかったと思う。
年下の恋人と駆け落ちした大正の美しき歌人、柳原白蓮を描いた小説だけど、その中に彼女をモデルにして菊池寛が「真珠夫人」を書いたというくだりが出てくるのだ。・・・・でも柳原白蓮と荘田瑠璃子では設定がまる -
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文語体漢文調の語り口
文語体漢文調の語り口が、数多くの犠牲者を出した闘いの挽歌によくマッチしている。作者菊池寛の描き方は取り立てて新奇なところ、斬新な解釈などはなく定説通りの安定した描き方である。日本では比較的例の少ない「宗教戦争」の体裁をとった戦いであり、宗教というものの持つ怖さをよく描き出している。
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戦闘の様子を詳説
元ネタは帝国陸軍参謀本部の公文書なのだろうか、戦闘の様子が詳説されている。しかし、政府軍 薩軍ともに指揮官や部下たちの気持ち感情は殆ど描かれていない。小説ではないな。同じ田原坂の戦闘を描いた司馬遼太郎の「翔ぶが如く」の同じ場面と比較するとよく分かる。
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淡々と
作者菊池寛自身が最後の節で述べているように、どっちつかずの勢力が多くゴタゴタした戦いであったことがよく分かる。作者は一応定説通りの記述をしながらも、幕末の方向性を決めた重要な戦いを、文語調の比較的冷静な語りで表現している。
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読みやすいが
信長公記を元ネタとした江戸時代の通俗的な軍記物に基づいた、古典的な解釈で描かれた軍記物である。これと言った新奇なものはなくありきたりである。逆にその分読みやすい。
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菊池寛の評価は
菊池寛の新撰組への評価を中心に描かれている。本書の最後に書いてあるが、新撰組が有名になったのは大衆小説のせいである と断じているが、たしかにそのとおりだろう。さらに子母澤寛や司馬遼太郎そして浅田次郎が華やかに描きあげている。それと比べると本書はやや地味であるが、読むのには苦労はない。